ロードカナロアの引退以降、確たる主役が不在の古馬短距離・マイル戦線。
そのロードカナロアはスプリンターの印象が強く、“マイル王”にふさわしい馬を探すとすればウオッカやダイワメジャーまで遡らなければなりません。
生まれては消えるスター候補により、混沌とした時代が続いていましたが、その流れに終止符を打てる馬が現れました。
その名はミッキーアイル。
ここでは勢いに乗る4歳馬が王者となりうる根拠を示して行きましょう。
目次
ディープ産駒の“庭”!芝1600m
まずは父のディープインパクトのおさらいからはじめましょう。
マイルを走ったことがありませんが、産駒はマイルGⅠ12勝と、このカテゴリーが大得意です。
東京競馬場を舞台とするGIではミッキーアイルがNHKマイルカップを、リアルインパクトが安田記念を制しています。卓越したスピードが、マイルGIで活きるわけですね。
ミッキーアイルは3歳だった昨年、安田記念で16着と大敗していますが、先行馬が総崩れという展開の中を逃げていたので致し方ないところもあるでしょう。展開さえ向けば、チャンスは十分にあるはずです。
脈々と流れる世界に轟くマイル血統
続いて母系に移りましょう。
母スターアイルは競走馬として大した成績を収めていません。しかし、血統背景はかなり強調できます。
まず祖母のアイルドフランスはフランスのマイルGIマルセルブサック賞2着の実績があります。曽祖母ステラマドリッドはアメリカの1200~1800mのGⅠを5勝した名牝です。
さらに母父ロックオブジブラルタルは欧州の1400~1600mのGⅠを7連勝した歴史的名マイラー。産駒もマイルを中心に活躍しています。また、曽祖父ヌレイエフは種牡馬としてジャックルマロワ賞(仏GI/芝1600m)などGI10勝のミエスク、同GIを連覇したGI5勝馬スピニングワールドらを輩出。安田記念馬も2頭出しています。
このように、母系には世界的なマイルの血が凝縮されているのです。
その肌馬にディープインパクトを重ねたこと生まれたのが、ミッキーアイルなのです。
騎手が抑えきれずにハナを切ってしまうほど爆発的なスピードを持っているのは、母系に流れる名血の影響というわけですね。
モデルチェンジした戦法で再び頂点へ
前述のとおり、卓越したスピードは戦法にも現れています。昨年のマイルチャンピオンシップで敗れるまで、常にハナを切って逃げていました。
しかし、逃げてばかりではポテンシャルを発揮できないと考えた陣営は、先々を見据えて脚質転換に踏み切ります。
転換初戦こそ7着でしたが、阪急杯(GⅢ/1400m)、高松宮記念(GⅠ/1200m)をともに4番手から競馬をして2着、3着と結果を出しています。いよいよ、先行押し切りというスタイルをものにしてきたわけです。
また、安田記念は過去10年で先行馬が4勝しています。
能力を最大限発揮できる走法と、先行馬が結果を出しているGI。2つがマッチしているのですから、十分にチャンスはあるはずです。
得意のマイルから快進撃の幕を開ける
前走の高松宮記念では3着ながら、優勝したエアロヴェロシティと0.1秒差という接戦を演じました。
1200mはどちらかというとエアロヴェロシティの得意距離。そんな相手を向こうに回して好走してみせました。自分の距離に戻る安田記念では、いやが上にも期待が高まります。
確固たる主役が不在だった古馬の短距離路線ですが……
「新マイル王ミッキーアイル、君の登場を待っていた!」
そんな見出しが新聞の一面を飾ることになるかもしれません。そう期待していいポテンシャルと血統背景を、ミッキーアイルは持っています。
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