武豊騎手の復活と騎乗依頼数の増加
しかし、武豊騎手の復調によって徐々に“雪解け”が進んでいる。ここ最近は社台グループからの騎乗依頼が確実に増えているのだ。
例えば以下の馬主たちからの騎乗数を集計してみよう。(生産牧場で集計すると、馬主が個人の場合、オーナーの意向が優先されるケースがある。このため、社台系馬主を対象に集計するのが好ましいと判断する)
・社台レースホース
・サンデーレーシング
・キャロットファーム
・吉田一族(吉田照哉、勝己氏ら)
年・年月 | 着別度数 |
---|---|
2015年 | 9- 6- 2- 24/ 41 |
2014年 | 9- 11- 6- 25/ 51 |
2013年 | 9- 4- 5- 26/ 44 |
2012年 | 3- 7- 3- 26/ 39 |
2011年 | 3- 6- 7- 31/ 47 |
2010年 | 11- 9- 5- 31/ 56 |
2009年 | 22- 15- 16- 60/113 |
2008年 | 29- 17- 8- 46/100 |
2007年 | 29- 16- 13- 48/106 |
2006年 | 30- 21- 16- 53/120 |
2005年 | 44- 18- 10- 55/127 |
集計期間:2005. 1. 5 ~ 2015. 6.28
武豊騎手のJRAにおける年間最多勝は2005年の212勝だ。この時期を全盛期とすると、社台グループからいかに多くの騎乗依頼を受けていたか分かる。
しかし、2010年以降は如実に減っている。特に故障から復帰したにもかかわらず、11年、12年は40頭程度と全盛期の約1/3に減り、勝利数もわずか3勝となった。
ただし、ダービーを勝って復調を果たした13年は勝率20%と、故障前と遜色ない結果を残している。この成績が評価されたのか、今年15年は上半期終了時点で40頭超と、10年以降で最多となるペースで騎乗している。
09年以来の騎乗数となることは確実で、100頭の大台も夢ではないペースとなった。
有力馬への騎乗依頼
さらに騎乗馬を見ても両者の関係が回復していることが伺える。例えば今年の春のクラシックにおける騎乗馬を見てみると……
桜花賞
レオパルディナ
馬主:キャロットファーム
皐月賞
騎乗馬なし
オークス
マキシマムドパリ
生産:社台ファーム
日本ダービー
ポルトドートウィユ
馬主:サンデーレーシング
生産者:ノーザンファーム
ご覧のとおり、4レース中3レースで社台グループが関連する馬に騎乗していた。
騎乗馬がなかった皐月賞にしても、当初はポルトドートウィユで参戦する予定だった。若葉ステークスで結果が出なかったことにより回避が決まったが、本来なら皐月賞も同馬で乗っていたことになる。
(事実上)春のクラシックのすべてで社台グループ関連馬に騎乗したのは、故障後初めてのことである。
さらに6月から始まった2歳戦ではポルトドートウィユの弟でエアグルーヴを母母に持つ超良血馬ポルトフォイユに騎乗。兄で結果を出したことが大きかったとはいえ、これだけの良血馬が新馬戦から回ってくるケースはここ数年、ほとんどなかった。
武豊騎手と社台グループの関係は確実に回復してきているのだ。
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