目次
ハービンジャー産駒が息を吹き返した理由
では、なぜハービンジャー産駒が復調してきているのか?
理由をいくつか挙げて考えていくことにしよう。
晩成血統
一番大きな理由が血統だと考えられる。
父ノーザンダンサー系は全般的に仕上がりが遅い傾向にある。競走馬時代のハービンジャーを振り返ってみても、本格化したのは古馬になってからだ。
特にディープインパクトを筆頭とするクラシック血統は仕上がりが早い。日本における主流血統と比較すると、3歳春の段階では完成度の差がどうしても出てしまう。(2歳時に簡単に勝ち上がれていたのは、新馬や未勝利なら才能だけで勝ち上がれるため)
しかし、クラシックが終わる頃になると成長がやっと追いついてくる。だから、ようやく2勝目、3勝目を挙げる馬が出てきているわけだ。
ローカル開催
レースが行われる競馬場の変化も躍進の理由の一つだ。
本格的に夏競馬が始まったことでローカル開催が増えた。洋芝の函館や札幌を筆頭に、ローカルの競馬場ではスピードよりもタフさがあるかどうかが好走する上で重要になってくる。
ハービンジャーは欧州の荒れ馬場を苦にしないスタミナを持っている。一方、瞬発力はどうしてもサンデー系に見劣りしてしまう。東京や京都での開催で結果を残せなかった点を見れば明らかだろう。
だからこそ、タフさが要求されるローカル開催に移行したことで自身の長所を活かし、勝ち星を重ねているわけだ。
長距離レースの増加
もう一つの理由が選択できるレースの幅が広がったことだと考えられる。
ハービンジャーはクラシック血統に比べてスタミナが豊富なため、長距離レースに向いている。しかし、2歳や3歳1、2月の段階ではなかなか中距離以上のレースを選択できない。言ってみれば自分の得意な条件のレースを選びたくても選べない状況だったのだ。
3歳春以降は徐々に2400m以上のレースを選択できるようになった。
実際、6月以降に挙げた9勝のうち、8勝が1800m以上、さらにうち3勝が2400m以上のレースである。
まとめ
「晩成血統」が本格化し始め、「ローカル開催」に移行したことで馬場の恩恵を受け、「得意な長距離レース」を選択できるようになった。
だからこそ、ハービンジャー産駒は勝ち星を伸ばしてきたと考えられる。
そもそもファーストクロップというのは牧場関係者や調教師の方々といった育成を手がける人間たちが手探り状態にある。だから特徴がつかめてきた2年目以降に結果を出すケースが多い。ディープインパクトもキングカメハメハもそうだった。
となると、ハービンジャーが今後、さらに勝ち星を重ね、現2歳世代が躍進していく可能性は十分にあると言っていいだろう。
本格化し始めたハービンジャー産駒。その将来に期待したい。
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