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リアルインパクトとワールドエースに勝機は?ドンカスターマイル2015を展望

ザ・チャンピオンシップの公式HP(画面キャプチャ)

オーストラリアの豪州のロイヤルランドウィック競馬場で4月4日に行われるドンカスターマイル(GI/芝1600m)にリアルインパクト(牡7)とワールドエース(牡6)の2頭が出走する。

ドンカスターマイルは南半球の秋シーズンのビッグイベント『ザ・チャンピオンシップ』における主要レースの一つ。同イベントは1週間に1日ずつ、計2週にわたって行われ、1週目の最高賞金レースがドンカスターマイルだ。

果たして日本馬はオーストラリアで新たな快挙を達成できるのか? 探っていくことにしよう。

想定人気

1番人気 ハロウドクラウン
2番人気 カーマデック
3番人気 リアルインパクト、ポミシェ
5番人気 ロイヤルディセント

上位人気はこんなところだろう。

ライバルたち

最大のライバルとなるのが3歳馬のハロウドクラウンだ。今年3月のランドウィックギニー(豪GI/芝1600m)を制したオーストラリアのクラシックホースである。

キャリア8戦6勝と抜群の安定感を誇っている。前走のローズヒルギニー(豪GI/芝2000m)は3着に敗れたが、「距離」という明確な敗因があった。マイルに戻れば間違いなく大将格だろう。距離短縮というローテーションや、斤量52キロも評価され、1番人気となっている。

2番人気の3歳馬カーマインはリアルインパクトが勝った前哨戦のジョージライダーステークス(豪GI/芝1500m)で3着。このレースで大きく出遅れながら3着まで迫ったことや、ハロウドクラウンと僅差の競馬をしていること、さらに斤量50キロで出走できることが評価されている。

ただ、出遅れグセがあり、差し馬ということもあって7戦2勝と不安定なキャリアを送っている。ハマれば強いが、不利を受けるリスクが常に付きまとう。

リアルインパクトと同じ3番人気に支持されているのはポミシェはフランスの2000ギニー(芝1600m)で3着の実績を持つ。この時の勝ち馬カラコンティは昨年のブリーダーズカップ・マイルの覇者。先週行われた2000mのGIII戦を勝ってここに参戦してくる。過酷なローテがどうか。

ロイヤルディセントは昨年のドンカスターマイルで2着になった実績馬だ。昨年は外枠から発走となった中で距離をロスしながら最後は勝ち馬に半馬身まで迫った。2着が多いタイプでなかなか勝ち切れないキャリアが続いているのがどうか。

日本馬たちに勝機は?

ではリアルインパクトとワールドエースに勝機はあるのだろうか?

現実的に考えると、簡単なことではないと感じられる。

まずオーストラリアのこの路線のレベルは決して低くない。前走、リアルインパクトがいきなりGIを制したが、あくまでも前哨戦だ。ドンカスターマイルは南半球のマイル王決定戦であり、日本円にして約1億6000万円の賞金がかかるレースだ。各陣営の本気度は高く、“メイチ”で仕上げてくるはずだ。

また、2頭とも外枠からの発走になってしまったのは痛い。最大で20頭立てとなるため、どうしても外枠は距離ロスにつながり、不利になりがちだ。特にワールドエースは前走のように外を回らせられると厳しい。

さらにリアルインパクトは前走の人気薄から、マークされる立場に変わった。前走は楽にレースが運べて押し切れたものの、今回はそうならないはず。

となると、日本馬にとって厳しいレースになる可能性は十分ある。

ただ、上記したように、不安を抱えていたり、勝ち味に遅かったりする上位人気馬が多い。そう考えると、日本馬にチャンスが出てくる可能性はある。特に前走凡走して人気を落としているワールドエースに注目したい。

前走は1500mと、ワールドエースにとって明らかに距離が短かった。今回は1600mに距離が伸びる。ディープインパクト産駒は数々のマイルGI馬を輩出しているため、ワールドエースもポテンシャルは秘めているはずだ。しかも前走の凡走によって気楽な立場で臨める。そうなると、一発あってもおかしくないのではないか。

最後に

南半球の秋競馬の一大イベントということで、好メンバーが揃った。


そんな中に日本馬が2頭参戦するというのは楽しみだし、今後に向けてもいい経験になるはずだ。ここでいい成績を残せれば、今後「春のオーストラリア遠征」は定番化するかもしれない。

まずはいいレースを期待し、願わくば日本馬たちの活躍という吉報がとどくことを願いたい。


最強の未勝利馬は誰だ!?現3歳世代未勝利馬ランキング│芝編

(C)阪神サラブレッドクラブ

いよいよクラシックの開幕を迎える。

来週の桜花賞を皮切りに、皐月賞、オークス、日本ダービー、そして秋の秋華賞、菊花賞と続いていく。

いまや世間は「クラシックホースはどの馬か?」でもちきりだ。が、クラシックだけが競馬じゃない! 下のクラスで頑張っている馬もいる。

公明正大な諸君は一流大学を出て、一流企業に所属しているクラシックホースかもしれないが、世間には諸君を支えるために頑張っているワープアたちがたくさんいるのだ。

そんなワープアのひとりとして、いまだに未勝利をウロウロしている馬たちが気になって仕方がない。今回はそんな麗しきワープアたち(=未勝利馬)にスポットを当ててみよう。

今回は芝馬編。芝の未勝利を闊歩する猛者たちを見てみよう。

5位 グランディフローラ

父メイショウサムソン
母父アグネスタキオン

成績(0―4―1―3)

最初からなんという猛者だろうか。半数以上、連対しているのに勝ちきれていない。

新馬戦は1200mで2着。そこで勝ち切れないとなるやどんどん距離を伸ばし、前走は2000mを使われている。

厩舎の努力……と言いたいところだが、リーディング下位の厩舎らしく、適正を見極められていない感が否めない部分も……。

メイショウサムソン産駒ということで東京の中距離や中山で使ってほしいところだ。

4位 パーフェクトビュー

父ハービンジャー
母父サンデーサイレンス

成績(0―1―3―0)

すべて馬券圏内ながら勝ち切れないという、こじらせ系未勝利馬。

ここ3走はすべて1番人気だが、勝ちきれていない。

勝ち切れない理由は瞬発力がないせいだろう。ここ2走はマイルで上がり36秒台!ハービンジャー産駒らしい。ジリ貧だ。

3位 トーセンカナロア

父ブラックタイド
母父メジロブライト

成績(0―4―2―5)

ここ5走で4度の2着! とにかく堅実に走るが勝ち切れない。


このクラスになると、おそらく500万条件で走っても2、3着に来られる力はある。あとは勝ちきれるか勝ち切れないかだけの問題だ。未勝利を突破できれば上のクラスでもやれると思うが……。

あとこの馬は厩舎力が残念な印象を受ける。

小桧山悟厩舎は昨年4勝で179位という下位厩舎だ。この馬の使い方を見ても、「ああ、そういう厩舎だよな」と一発で分かる。去年の8月から11走し、レース間隔は連闘〜4週。1度も休養を取っていないのだ。

言うなれば、ろくな休みを与えられないブラック企業の社員のようなものだ。壊れないで無事に未勝利を突破してほしいが、果たして……。

2位 ヒアカムズザサン

父ステイゴールド
母父キングカメハメハ

成績(0―4―0―1)

ああああああああ、なんて歯がゆい。デビュー戦で4着後、すべて2着!また2着!

しかもタイム差なしの2着が2回。惜しすぎる。

二ノ宮先生、ステイゴールドもキングマンボ系も育てるの得意でしょ!? なんとかしてよ! と言いたくなってしまう(※二ノ宮厩舎はステイゴールド産駒のナカヤマフェスタと、キングマンボ系のエルコンドルパサーで凱旋門賞2着)

前走、前前走と瞬発力勝負になったのが痛かった。展開さえ向けば勝ちきれる力はあるはずなので、気長に機会を待ってほしい。あみんバリに。


1位 レジメンタル

父ハービンジャー
母父フレンチデピュティ

成績(0―4―2―3)

栄えある?第1位はまたしてもハービンジャー産駒!もう3歳未勝利界の帝王の称号を挙げたい。

この馬のすごいところは安定感。9回走って掲示板を外したことが1度もない。着外の3回は4、4、5着と常に安定している。すべて13頭立て以上の多頭数でこれだけ安定した成績というのは、力がないと出せない。

さらにキャリア9走中8走で上がり3位以内の末脚を使っている。

これでなぜ未勝利なのだろうか……。ある程度上がりが使えるのに勝ち切れないというのは……ハービンジャーのせいだろう。もう、そうに違いない。帝王のせいにする以外、説明がつかない。

母は桜花賞馬のレジネッタということでポテンシャルは十分なはず。

はやいとこ本格化して、上のクラスでやってほしい。

最強未勝利馬にさちあれ!

いかがだっただろうか。少しは注目してみたくなったはずだ。

明日にも最強の未勝利馬ではなくなってしまうかもしれないが、こうやって注目してみるのもひとつの競馬の見方として面白いのではないだろうか?


将来のGI馬!?スクリーンヒーロー産駒モーリスに注目したい4つの理由

(C)Mina Mina

はじめまして!初投稿させてもらいます。

YUKIといいます。YUKIと書いて「ゆうき」です。女子じゃありません、健全な20代の男子です。期待させてしまった方、ごめんなさい!

僕は若い馬が好きです。

ロ◯コンではありません。人間では年上が好きです。若い馬の将来を考えて妄想するのが好きなんです。

競馬TIMESでは2〜4歳の将来性のある馬を取り上げて“未来予想図”を作り上げていきたいと思います。ここで取り上げた馬がDREAMS COME TRUEで重賞やGIを勝ったら最高ですね。

第1回目に取り上げるのはモーリスです。

前走、スピカステークスで圧勝したスクリーンヒーロー産駒です。日曜日に中山で開催されるダービー卿チャレンジトロフィーでは上位人気になりそうですね。

将来性のある馬なので、ぜひぜひ注目してもらいたいです!!

モーリスを推す理由① スクリーンヒーロー産駒

モーリスはスクリーンヒーローの初年度産駒です。

実はスクリーンヒーローってめちゃくちゃ優秀な種牡馬なんですよ!

3月31日現在、JRAに登録しているのはわずかに64頭です。しかし、2頭も重賞ウィナー&GI好走馬を出しています。

ゴールドアクター 菊花賞3着
ミュゼエイリアン 毎日杯
グァンチャーレ シンザン記念

モーリスは2、3歳時に重賞に挑戦して4着以下に負けています。が、スクリーンヒーローは古馬になってから力をつけた馬なので、晩成血統です。

モーリスも今年に入ってから1000万、準オープンを連勝して本格化しています。さらに大きなところも狙えるのではないでしょうか??

モーリスを推す理由② 応援したくなる母系

モーリスの母方の血統表を見ると「メジロ、メジロ、メジロ、メジロ、そんでまたメジロ」という血統になっています。

母メジロフランシス
母母メジロモントレー
母母母メジロクインシー
母母母母メジロボサツ
母母母母母メジロクイン

「H」と「A」押しすぎてキーボードが凹みましたorz

というのは冗談として、生粋のメジロ血統なんですね。

特に母母のメジロモントレーはアメリカジョッキークラブカップ、アルゼンチン共和国杯など重賞3勝、オークスでは5着になった名牝です。

昔ながらの血統は応援したくなりませんか? 今はなきメジロ牧場の血をつないでいってくれたら、とても素敵だと思うんですよね。


モーリスを推す理由③ 重厚&晩成血統なのにキレる

①と②で紹介したように、モーリスは晩成血統です。しかも母父カーネギー、母母父モガミというのを見ると、明らかに重厚な血統をしています。

それなのに、モーリスは33秒の上がりを連発しています!!

スピカS 上がり33.8(1位)
若潮賞 上がり34.6(2位)
白百合S 上がり33.5(1位)

どこからこの瞬発力はきているのでしょうか……。やっぱり父母父のサンデーサイレンスがきいているんでしょうかね。

こういった重厚な血統の馬はサンデー系にキレ負けしてしまうので、大レースを勝てないことが多いんです。だけど、これだけキレるようなら重賞、いや、GIでも……と夢が広がります。

モーリスを推す理由④ 種牡馬になったら……

モーリスの夢は競走馬としてにとどまりません。

もしモーリスが種牡馬入りすることを考えると、種牡馬として成功できるかもしれません(かなり願望が入っていますが(笑))。

なぜなら、(血は濃くなってしまいますが)サンデー系の牝馬につけられるんです。

モーリスは父母父サンデーサイレンス。つまり、種牡馬になったら父父母父サンデーサイレンスというようになります。

父サンデーサイレンスの牝馬だとサンデーサイレンスの3×2と、濃くなってしまいますが、父父サンデーサイレンスの牝馬なら同3×3になります。


同じように父父母父サンデーサイレンスのアドマイヤムーンはサンデー系の牝馬とつけてアドマイヤドバイ(サンデーサイレンスの3×2)やミヤビジャスパー(同3×3)といった重賞にでるような馬を出していますから、モーリスも期待できるのではないでしょうか?

いざ、GI戦線へ!

いかがだったでしょうか? 4つ目の注目ポイントは時期尚早ですけど(笑)、楽しめそうな気がしてきませんか??

ダービー卿CTで勝てるかどうかは分からないですけど、いつか重賞を勝ってGIに出られる器です! 飛躍を期待して見守りたいと思います!!


エピファネイアのドバイWC惨敗は必然?浮かび上がる3つの“準備不足”

(C) Koichi Takahashi

3月28日に行われたドバイワールドカップで最下位の9着に終わったエピファネイア。昨年のジャパンカップで圧勝し、ジャスタウェイに次ぐ世界レーティング2位に評価されたことでドバイでも注目されていたが、結果は惨敗に終わった。

挑戦が失敗に終わるのは仕方がない。ただし、ここに来ていくつか「準備不足」と言われても仕方がない事実が浮上してきている。

そこで、今回は改めてエピファネイアが惨敗した理由を考えていきたい。

1.準備なき芝GI馬のダート挑戦

芝GI馬のダート挑戦は厳しい結果に終わることが多い。

なぜエピファネイアのドバイWC挑戦を“批判”するメディアはないのか?

この記事で触れたが、過去を振り返るとカレンブラックヒル、トゥザグローリー、グランプリボス、リーチザクラウン、ローエングリンといった芝GIで好走した馬が、ダート初挑戦で惨敗している。

芝とダートでは使う筋肉をはじめとして、求められる資質が全く違う。だから惨敗するのは当然といえば当然で、トゥザヴィクトリー(初挑戦のフェブラリーステークスで3着→ドバイワールドカップで2着)やアグネスデジタル(芝・ダート両方のGIを制覇)のような馬のほうが稀なのだ。

しかもアグネスデジタルはもともとダートを使われていた馬だし、トゥザヴィクトリーはドバイワールドカップを使う前にフェブラリーSでダートを経験していた。

大前提として、ドバイワールドカップでダートに初めて挑戦するというのは極めて厳しいシチュエーションだったわけだ。

2.ドバイ直行というローテーション

今回のドバイワールドカップデーを振り返ると、ほとんどの馬が前哨戦をドバイで戦っていた。

ドバイワールドカップを制したプリンスビショップは前走、ステップレースのアルマクトゥームCR3で2着。UAEダービーを制したムブタヒージュは前哨戦のアルバスタキヤで勝っていた。さらにゴドルフィンマイルを勝ったタマークズも前哨戦のブルジュナハールステークスを叩いて臨んでいた。

日本馬はドバイで前哨戦を使うことがほとんどない。それでいて結果を出しているわけだから、その点を一概に批判することはできない。ただ、ダートの経験がないエピファネイアに関しては、前哨戦を使うという選択肢はなかったのだろうか? 極端な話、前哨戦でダートがダメだと分かれば目標をドバイシーマクラシックやドバイターフに変更できたはずだ。

有馬記念から間隔が空いていないこともあって難しかったのかもしれないが、考慮しても良かったのではないか。

3.スパイク蹄鉄などの事前準備

これが後に分かった一番残念なニュースだ。

JRAのドバイワールドカップデー特設HPに記載されている角居厩舎スタッフの回顧を引用する。

蹄鉄についての部分などで、勉強が必要だとも感じさせられました。(中略)今のエピファネイアは芝馬の形で蹄が出来ているので、スパイク鉄は後脚の角度が余分に大きくついてしまうため、履くことはできませんでした。

スパイク蹄鉄はダート競馬が主流なアメリカでは一般的に広く使われている。蹄の引っ掛かりを良くする効果があるため、ドバイでも多くの馬が使用していた。そのスパイク蹄鉄を、エピファネイアは使えなかったという。

ここで疑問に思うのは、「事前に調べられなかったのか?」、「調べて履けないと分かったなら、代替になる蹄鉄を準備できなかったのか」ということだ。ドバイワールドカップを使うなら、事前に調べておくべきだし、世界中にネットワークを持つ角居厩舎なら調査は可能だったはず。それなのに「芝馬の蹄なので履けなかった」で済ますのはいかがなものなのだろうか?

エピファネイアの馬主はキャロットファーム。つまり、多くの一口馬主の方が出資している。出資している人数が多いからどういうというわけではないが、多くの期待を背負っていることは間違いないのだから、下準備を徹底する必要はなかったのだろうか。

スパイク蹄鉄が直接の敗因だとは思わないが、以上の3つを見ると、「全体的に準備不足だったのではないか」と思わずにはいられない。


芝で真の実力の証明を

エピファネイアのドバイ遠征は疑問と課題が残るものだった。「ジャパンカップの勝ち馬」、「前年の世界レーティング2位」という肩書は世界的に注目を集めるため、日本を代表する意味でもベストな状態で出走するか、ベストなレース(=芝)を選択してほしかった。

終わった後の後出しジャンケンのようなことは書きたくなかった(一応、事前にも指摘していたのでお許し頂きたい)が、今回の経験が次の挑戦にいきるよう、振り返りを忘れないでほしいという意味でキーボードを叩いた。

エピファネイアは芝に戻ればエース格であることに変わりない。次は宝塚記念という報道もちらほら出ている。春のグランプリで真の実力を発揮できるよう、日本のファンに本当の姿を見せられるよう、祈るばかりだ。


ロードカナロアの偉大さを痛感…最強スプリンター誕生の条件は?


3月29日に中京競馬場で行われた高松宮記念は、香港馬のエアロヴェロシティ(騙7)が勝利を収めた。スプリント大国香港の力を見せつけた一方、日本馬にとっては力の差を痛感させられたレースとなった。

日本の競馬ファンは少なからず、悔しい思いをしたのではないだろうか? そして同時に、ある共通の想いを抱いたはずだ。

ロードカナロアって凄かったんだな、と。

2013年、日本史上最強のスプリンターが引退して以降、スプリント界は混沌としている。それほど、ロードカナロアという馬は偉大で特別な存在だったのだ。

今、改めてロードカナロアという名馬を振り返りたい。

スプリント戦で脅威の複勝率100%

1200mはとても難しい距離だ。少しの出遅れ、少しの不利が命取りとなる。

そんな中、ロードカナロアの生涯成績は(13−5−1−0)。なんと生涯、一度も複勝圏を外したことがなかった。唯一の3着はGIの高松宮記念だから、どれほど安定して走っていたかが分かる。

史上最強牝馬の1頭として生涯連対率100%のダイワスカーレットが挙げられるように、「絶対的な安定感」というのは「絶対的な実力の証明」と言い換えられる。

あのサクラバクシンオーでさえ、スプリンターズでは6着に敗れている。また、マイル戦では馬券圏外に消えることが多かった。

「絶対的な安定感」という意味で、ロードカナロアの右に出るものはいないわけだ。

香港スプリント連覇という大偉業

ロードカナロアを語る上で欠かせない実績といえば、香港スプリントの連覇だろう。

かつて、香港スプリントは凱旋門賞に匹敵する「高い壁」だった。

日本のサラブレッドの生産は芝の中距離馬に偏っている。芝2400mの日本ダービーが「ホースマンが目指す頂」だからだ。一方、香港やオーストラリアはスプリント戦に比重が置かれている。

日本はただでさえスプリンターが出にくい土壌にある。だからスプリンターがピラミッドの頂点にいる香港のスプリントGIを勝つなど、一昔前までは「夢のまた夢」だった。事実、2011年まで香港スプリントに14頭の日本馬が臨んだが、最高順位はカレンチャンの5着。ほとんどの馬が二桁着順に敗れていた。

「香港スプリントを制するのは凱旋門賞で勝つより難しい」

一時期はそう言われたものだ。

しかし、ロードカナロアは「夢のまた夢」と思われた快挙をいとも簡単に達成した。しかも2年連続。さらに2年目は5馬身差という考えられない着差で圧勝してみせた。

2着のソールパワーは後に英国の短距離GIを2勝、香港GIを1勝した。5着のスターリングシティは翌年のドバイゴールデンシャヒーンを制覇。ラッキーナイン、スレードパワーも後にGIを勝っている。決してレベルの低いメンバーではなかった。

ロードカナロアという馬がいかに特別で偉大だったか、今振り返っても痛感させられる。

ロードカナロア級の馬を育てるために……

ここまで偉大なスプリンターは今後、なかなか出てこないだろう。日本が芝2400mに比重をおいている限り、どうしても短距離やダート界は手薄になってしまう。


ただ、ロードカナロアが出たのだから、「絶対に現れない」と断言することはできない。むしろ、スプリンターが生まれにくい環境の中でロードカナロアという怪物が出たことをプラスに捉えるべきだろう。

彼を生んだ最大の要因は安田隆行調教師にあったと感じられる。安田隆行厩舎はスプリンター育成のスペシャリスト集団だ。

ロードカナロア以外にもカレンチャンやダッシャーゴーゴー、レッドオーヴァルといったスプリンターを数多く輩出している。彼らのような特定の距離に特化した厩舎があってもいいと思うし、そういう厩舎で花咲く馬も出てくるはずだ。

何より馬の距離適性を把握して中途半端に中距離で走らせるようなことをしなかったのは、ある意味“英断”といえる。おそらくロードカナロアくらいの能力があればマイルや中距離でもそこそこやれたはずだ。そんな中でスプリント路線に絞って育て上げたからこそ、史上最強スプリンターは完成したと考えられる。

日本ではどうしても芝の中距離を勝った馬が称賛される傾向にある。種牡馬ビジネスを考えても、高松宮記念馬より天皇賞秋馬のほうが重宝される。

ただし、馬が持っている可能性はそれぞれ違う。

幸い、近年はレースの選択肢が海外へ広がった。今春、多くの日本馬がオーストラリアやドバイに渡ったように、レースの選択肢は多い。馬の適正を見極め、適切なレースに使っていくことができれば、いずれは第2のロードカナロアも出てくるのではないだろうか?

いずれにしても、ホームで海外勢にやられるというのは悔しいことだ。香港馬に太刀打ちできるような、世界で活躍できるような、新たなスプリント界のエース誕生に期待したい。


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