2009年に全日本2歳優駿を制してNARグランプリ年度代表馬に輝くなど、地方競馬を盛り上げたラブミーチャンが3月27日、初仔となる牡馬を出産した。馬主であるDr.コパ氏が自身のツイッターで報告している。
今から期待に胸膨らむが、実際のところ、将来性はどうなのだろうか? また、ラブミーチャンの相手に最適な種牡馬は何なのか?
今回は、彼女たち親子の未来について考えていきたい。
目次
父は“ダート王”
待望の初仔の父はゴールドアリュールだ。同馬は言わずと知れたサンデーサイレンス系最強の“ダート王”である。
サンデーサイレンス系は芝を得意としているが、ゴールドアリュールはダート路線で開花した。3歳時に世代最強を決めるジャパンダートダービーを2着に1.3秒差をつけて快勝すると、3歳の暮れに東京大賞典を制覇。翌年にフェブラリーステークスを制し、“ダート王”の名をほしいままにした。
ただゴールドアリュールが進化を発揮したのは種牡馬になってからと言っていいかもしれない。日本ではダートGIを勝っても評価されず、種牡馬になれないことすらある。ゴールドアリュールにしても、最初から繁殖牝馬に恵まれていたわけではない。
そんな中、ダート路線で活躍馬を次々と輩出した。現ダート王者のコパノリッキーをはじめとして、エスポワールシチー、クリソライト、オーロマイスター、シルクフォーチュンなどなど、産駒たちはダート界を席巻している。
今ではその地位を確立し、2014年の種付け頭数は188頭に上る。2015年は300万円という高額な種付け料ながら満口となっている。
父がダート王、母もダートGIを制した地方競馬の年度代表馬となれば、期待せずにはいられない。
ラブミーチャンの活躍は決してフロックではなく、半弟のダブルスター(父シニスターミニスター)はオープン馬、半妹のハニーハニー(父メイショウボーラー)も1000万条件まで勝ち上がっている。近親にはポルックスステークスを制したイッシンドウタイも。
そうなると、(競馬なので「大成功します!」と断言できないのが心苦しいところだが)活躍する可能性は高いのではないだろうか?
ラブミーチャンの次なる相手
ラブミーチャンがダート馬なのだから、ダート王のゴールドアリュールをつけるというのは理にかなっている。おそらく活躍してくれるはずだ。
ただ、個人的にはもう少し夢を見てみたい。ラブミーチャンの相手にふさわしい種牡馬はどこかにいないものか?と考えたくなる。
そこで今回は、私が思う“最適の相手”を紹介しよう。その種牡馬は「ハーツクライ」だ。
ハーツクライは芝の一流種牡馬である。ラブミーチャンはダート馬だが、ハーツクライをつければ芝適性の高い仔が生まれてくるかもしれない。
「ハーツクライ×短距離馬」というのがハーツクライの“成功配合”なのだ。
ハーツクライは自身が重たい血統をしている。だから母系にスピードの血が入ると重さが緩和されてちょうどいい中距離馬が生まれる。ワンアンドオンリーやヌーヴォレコルトといったGI馬はほとんどがこの配合だ。またジャスタウェイやウインバリアシオンは母系がダート血統で、この点も強調できる。
仮に芝で走らなかったとしても、ハーツクライ産駒は意外とダートで走ることが最近になって分かってきた。“成功配合”で芝での活躍を狙い、ダートという“保険”をかけられる意味でも、ハーツクライは最適の種牡馬ということができるのではないだろうか?
初仔のデビューは2017年
今年生まれた初仔は、早ければ2017年にデビューすることとなる。
まずは無事にデビューを迎えられるように願うばかりだ。願わくば、父や母に負けないくらいの活躍を期待したいところである。