成長力に富んだ血統
逆風の中でGIを制したモーリスは、今のマイル路線で抜けた存在といえる。
しかも、未来は明るい。
父のスクリーンヒーローは古馬になってから力をつけた馬で、母系を見ても奥手の馬が目立つ。成長力に飛んだ血統なのだ。モーリスもまた、成長途上にあり、より一層のレベルアップが期待できる。
また、ジャパンカップを制した父に凱旋門賞馬の母父カーネギーということで、マイルにとどまる器ではないと考えられる。気性面が成長すれば、中距離へ行っても活躍できる力を秘めている。
4歳春の時点でGIを制してさらなる成長が期待できる馬――。
それが、モーリスなのだ。
今後の課題と見たくなる夢
もっとも、全てが明るい要素というわけではない。
例えば安田記念で上手くスタートを決めたとはいえ、慢性的な出遅れグセが解消されたわけではないはず。スタートをミスすれば取りこぼすこともあるだろう。
また、秋の大目標になる(はずの)マイルチャンピオンシップは、安田記念よりスピードや瞬発力が求められるレースだ。言い換えると、ヴァンセンヌやフィエロといったディープインパクト産駒にとって最高の舞台といえる。
言ってみれば京都外回りのマイル戦はディープインパクト産駒のホーム。モーリスにとって、アウェーの戦いを強いられることになる。最大の不安要素と言っていいだろう。
ただし、安田記念で多くの不安要素を弾き飛ばして激走したほどの馬だ。順調に成長を遂げれば、圧倒的な力で他馬をねじ伏せるシーンすら見ることができるかもしれない。
父スクリーンヒーローにメジロの血が詰まった母系。決して派手な血統とはいえない。しかしだからこそ、夢を見たくなる。
春のマイル王として迎える秋、“怪物”がどんな走りを見せてくれるのか。今から、楽しみでならない。
【関連記事】
●モーリスの血統や将来性は?安田記念の覇者を徹底分析
●ヴァンセンヌの血統や将来性は?安田記念2着馬を徹底分析
●モーリスが達成した史上初の快挙とは?堀厩舎転厩後の開花と圧巻の走り
●モーリスは安田記念で除外の可能性も?4歳賞金問題の改善を!
●堀厩舎旋風!ドゥラメンテやモーリスを管理する敏腕調教師の“狙い目”とは?