モーリスが達成した史上初の快挙とは?堀厩舎転厩後の開花と圧巻の走り

怪物か、それともフロックだったのか。

6月7日に東京競馬場で開催される安田記念(GI/芝1600m)で、新たな時代の幕が上がるかもしれない。

その中心にいるのが4歳馬のモーリスだ。前走のダービー卿チャレンジトロフィーで圧倒的なパフォーマンスを示したスクリーンヒーロー産駒は、春の栄冠を手にすることができるのだろうか。


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届かなかった3歳クラシック

モーリスは2歳時から期待された存在だった。

1番人気で新馬戦を快勝すると、2走目の京王杯2歳ステークスでも1番人気に支持された。6着に敗れたものの、使った上がりは33秒1。3走目の500万条件を快勝したことで「クラシックへ」と期待は高まった。

しかし、皐月賞トライアルのスプリングステークスで4着に惜敗すると、京都新聞杯でも7着に敗れ、路線に乗ることができなかった。その後も白百合ステークスで3着と勝ち切れず、“鳴かず飛ばず”の日々が続いた。

怪物の才能を開花させた堀厩舎の手腕

そんなモーリスの転機になったのが、吉田直弘厩舎から堀厩舎への転厩だった。関東を代表するリーディングトレーナーの元へ行ったことで“怪物”の才能は開花する。

今年1月の復帰戦で3馬身差の圧勝劇を演じると、準オープン、ダービー卿CTと圧巻の3連勝で重賞ウィナーの仲間入りを果たした。特にダービー卿は中山の急坂で力強く伸び、上がり33秒フラットという驚異的な末脚を発揮。ラスト2ハロンが11秒7−10秒9という加速ラップを踏む規格外の走りで一気にマイル路線の主役となった。

堀厩舎はダービー馬ドゥラメンテ、同3着のサトノクラウン、今年豪州GIを制したリアルインパクトらを管理するトップトレーナーだ。今年のリーディング争いで堂々の1位につけている。モーリスが才能を開花させた背景に“厩舎力”があったことは間違いないわけだ。

史上初の快挙

では、モーリスは安田記念を勝つことができるのだろうか?

適性等があるため一概に「勝てる」ということはできない。ただし、GI級の実力があることは証明されている。というのも、実は前走のダービー卿CTでものすごい快挙を達成していたのだ。

中山は最後の直線に急坂がある。よって通常はラスト1ハロンは減速する。例えば今年の皐月賞のラスト3ハロンのラップは「11秒8−11秒0−11秒7」だ。

しかし、モーリスは減速するどころか加速し、10秒9という驚異的なタイムを叩き出した。いくら昨年末の路盤改修工事によってタイムが出やすくなっているとはいえ、並の能力で叩き出せる時計ではない。事実、

・中山芝コース(距離問わず)
・前半5ハロン60秒以内
・ラスト1ハロン10秒台

この条件に該当した馬はモーリスただ1頭なのだ。手元にある1990年以降のデータで初ということは、間違いなく史上初の快挙ということになるだろう。GI級の能力を持ち、GIを勝つにふさわしい走りをしてきたことは間違いない。

マイル路線の主役へ

安田記念は登録19頭のうち、13頭が6歳以上の高齢馬である。マイル路線の高齢化が浮き彫りになっているわけだ。

そんな中、このスクリーンヒーロー産駒は数少ない4歳馬の1頭である。

前走で示した能力を府中の直線で発揮できれば、結果は自然についてくるはずだ。

新時代の扉を開け、マイル界の主役へ上り詰めるために――。

モーリスが府中の1600mに挑む。

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