ウインバリアシオンが種牡馬になれなかった“事情”…経営方針と血の飽和


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【追記】5月6日、一転して種牡馬入りが決定!

ウインバリアシオンが種牡馬入り!乗馬から一転、オルフェーヴルと“再戦”へ

【追記】5月7日、JRAの発表が誤報だったと判明……やっぱり乗馬に

ウインバリアシオンは乗馬へ…JRA発表は行き違い「血統背景で種牡馬入り困難」


残念な一方が飛び込んできた。

ウインバリアシオン(牡7)が乗馬に――。

5月3日に行われた天皇賞春(GI/芝3200m)で左前浅屈腱不全断裂により競走能力喪失と診断されたウインバリアシオンが引退して乗馬になると、ウインレーシングクラブが発表したのだ。日本ダービー、菊花賞、天皇賞春、そして有馬記念と、GIで計4度の2着がありながら種牡馬入りできなかった。競馬ファンとしては率直に残念でならないニュースだと感じる。

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ただし、冷静にウインバリアシオンの背景にある“事情”を見ていくと、乗馬という判断が「やむなし」だったことが分かる。彼の背景にあったものとは、何だったのだろうか?



ウインレーシングクラブの“事情”

ウインバリアシオンの馬主は一口クラブのウインレーシングクラブだ。

ウインレーシングクラブは過去2度の身売りがあった。現在は「マイネル・コスモ軍団」の傘下となり、“総帥”岡田繁幸氏の三男である岡田義広氏が代表を務めている。

前身は「ゼンノ」の冠名で知られる大迫忍オーナーが社台グループの後ろ盾を得て、多くの有力種牡馬の産駒を走らせてはいた。しかし、厳しい経営状況が続き、岡田総帥に身売りした経緯がある。

その中で大きな影響を受けたの馬こそ、ウインバリアシオンなのだ。

同馬の生産牧場は社台系のノーザンファームだ。前記の大迫オーナー時代に生産された馬であることが分かる。ダービーや菊花賞で2着となり、古馬になってからも7歳まで第一線で活躍し続けた背景には、クラシック競走に適した教育を行うノーザンファームの存在があった。特に放牧先としてノーザンファームしらがきが使えたことが大きかったと考えられる。

ただし、取引が行われた後、クラブはマイネル軍団の傘下に入った。

マイネル軍団と社台グループはライバル関係にあり、経営方針や理念が全く異なる。その状況下でライバルの放牧先を使うことは特例といっていい。

ウインバリアシオンの背景には「身売り」や「馬主のライバル関係」といった複雑な事情があり、少なくない“摩擦”があったと考えられる。

馬の余生を変えた「経営方針」という非情な現実

ノーザンファーム生産馬だからといって、社台グループが引退後に面倒を見るとは限らない。

特にそれがマイネル軍団の傘下にいる馬となればなおさらだ。


さらにマイネル軍団の総帥岡田繁幸氏の意向も見え隠れする。

2014年、マイネル軍団が所有するハーツクライ産駒の馬たちは11回出走して未勝利に終わった。一方でお気に入りのステイゴールド産駒は148回出走して14勝を挙げている。出走頭数、戦績ともに偏ったものとなっていて、岡田総帥が惚れ込む馬とそうでない馬では待遇に大きな違いが出てくると推察される。

また、前述のとおり、種牡馬入りするとなると、社台グループとの兼ね合いが生じてくる可能性がある。そう考えると、乗馬という選択はある意味当然の結果なのかもしれない。

“血の飽和”

仮にこういった状況がなかったとしても、ウインバリアシオンが種牡馬入りするのは難しかったと考えられる。理由はひとつ。“血の飽和”だ。

現在の日本競馬界にはサンデーサイレンス系の種牡馬が山ほどいる。

しかもウインバリアシオンの場合、父のハーツクライは常にリーディングサイアー争いの上位にいる現役バリバリのトップサイアーだ。加えて2014年の世界最高レーティングを獲得したジャスタウェイが満を持して種牡馬入りしている。

そうなると、GIタイトルのないウインバリアシオンの需要がないことは残念ながら頷けてしまう。

種牡馬入りの選定はあくまで「人」が行うモノ

種牡馬入りではなく乗馬という結果に驚かれた方も多かったはずだ。

GI未勝利とはいえ、4度の2着があり、7歳まで第一線で活躍したのだから評価されてもおかしくない。ブラックタイドやオンファイアのようにGI未勝利でありながらディープインパクトの兄弟という血統を評価されて種牡馬入りする馬はいる。2度の屈腱炎の印象は良くないものの、同じように故障を経験したカネヒキリも種牡馬入りしている。

そう考えると、競走成績や血統背景といった側面以外の“大人の事情”が嫌でも見えてきてしまう。


(“タラレバ”になってしまうが)前身の大迫オーナーの元で社台グループと懇意な関係であったなら、もしかしたら種牡馬入りが可能だったかもしれない。

競馬は人が競争馬を創り、人が競争馬を走らせるモノだ。

様々な事情が重なりあう関係者たちの狭間で翻弄されたのが、ウインバリアシオンという馬だったのかもしれない。

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