2018年4月29日、京都競馬場で天皇賞春(GⅠ/芝3200m)が行われる。シュヴァルグラン、クリンチャー、レインボーライン、ガンコ、サトノクロニクル、チェスナットコート、アルバート、トーセンバジルらが出走するが、どんなレースが展開されるのか?台頭する可能性を秘めた伏兵とは?
トーセンバジルは重賞で2着1回、3着3回。タイトルに手が届いていないながらも、昨秋の香港ヴァーズで3着と能力の高さを示している。叔父にトーセンジョーダン、トーセンホマレボシがいる良血で、期待は大きい。
天皇賞(春)は2年連続の挑戦。今年も伏兵的な存在ではあるが、上位を狙える可能性は十分に秘めている。その理由を挙げていく。
目次
理由① 前々走の価値と前走の敗因
重賞未勝利ながら、香港ヴァーズ3着の実績は光る。優勝したハイランドリールはキングジョージ6世&クイーンエリザベスSをはじめ、3か国でGⅠを7勝した名馬。特に香港ヴァーズは2015年1着、2016年2着(勝ったのはサトノクラウン)、2017年1着と相性抜群だった。2着だったタリスマニックは昨秋のブリーダーズCターフを制し、今年初戦のダルシャーン賞では昨年の凱旋門賞で2着だったクロスオブスターズを撃破している。この強豪2頭に次ぐ3着であれば、かなり高い価値を見出せる。レーティングを見ても、重賞を勝っていないにもかかわらず、メンバー中で3位タイの115ポンドと高い評価を受けている。
長距離戦では、昨年の阪神大賞典でサトノダイヤモンド、シュヴァルグランに次ぐ3着と好走している。香港シャティンの芝はパワーとスタミナを要求されるだけに、香港ヴァーズ3着なら、3200mの長丁場を乗り切るスタミナは十分に備えていると考えていいだろう。
前走の日経賞は5着に敗れたが、海外遠征後の休み明けだった上、陣営も言うように、良馬場発表ながら直前の雨で水分を含んだ緩い馬場が合わなかった。勝負どころの3~4コーナーで右に寄れ、直線では鞍上のミルコ・デムーロ騎手が無理をさせなかった。
休み明けをひと叩きして、狙ったレースにきっちりと照準を合わせてくるのが藤原英厩舎流。この中間は追い切りの動きも良好で、前走からの上積みはかなり大きいと見ていい。
理由② 重賞未勝利でも…
重賞未勝利という点は、GⅠでは大きなマイナス材料になりそうが、このレースに限って言えばそうでもない。過去10年だけを見ても、2009年マイネルキッツ、2010年ジャガーメイル、2012年ビートブラックと、3頭も天皇賞(春)で重賞初制覇を飾っている。
全体的にレースがスピード化して生粋のステイヤーが減った近年、天皇賞(春)は特殊な適性が求められるレースとなっており、むしろ中距離の決め手勝負でもうひと押しが足りないようなタイプこそ狙い目なのだ。
理由③ 藤原英厩舎は絶好調
今年は藤原英厩舎の勢いが凄まじい。既に29勝を挙げ、2位の角居厩舎に9勝差を付けてリーディングを独走。勝率2割超ですら3厩舎しかいないという中で、勝率.302、連対率.500という驚異的な数字を残してる。皐月賞をエポカドーロで制したのは記憶に新しいが、それを含めて重賞も3勝している。
一方で、騎乗するミルコ・デムーロ騎手も年明けからリーディングを快走。先週もフローラSをサトノワルキューレで制し、今年の重賞6勝目をマークした。騎手、調教師ともに、今一番勢いがある。
まとめ
ミルコ・デムーロ騎手を配し、休み明けをひと叩きされて型通りに良化しているトーセンバジルは、非常に不気味な存在。重賞初制覇をGⅠで飾るシーンがあるかも知れない。