逃げ切るか――。
2018年7月8日、福島競馬場で七夕賞(GⅢ/芝2000m)が行われる。今年の福島牝馬ステークスを制したキンショーユキヒメ、去年の京都新聞杯を勝ったプラチナムバレット、福島民報杯勝ちのマイネルサージュなどが参戦予定だ。その中で小回りの福島競馬場で逃げ切る可能性があるのがマイネルミラノだ。
マイネルミラノの前走はエプソムカップだったが、当日は大雨が降り、馬場が急激に悪化していった。マイネルミラノは7番手から徐々にポジションを押し上げて2番手まで上げて最後の直線に入った。積極的な作戦を見せたがこの馬場ではどうにもならず、1.8秒差の11着に惨敗した。ただ消極的なレースをしていたわけではなく、勝ちに行く競馬をしていたのは事実だ。
今回はマイネルサージュにマイネルフロストと同じ馬主の馬が3頭出る。しかもどれも勝つ可能性が十分にあり、その中でマイネルミラノは3番手の立ち位置だ。しかし、競馬は2頭出しなら人気のない方が来るように、ここでもマイネルミラノが好走する可能性はある。展開などからそのあたりをチェックする。
目次
要素① 見込める単騎逃げ
マイネルミラノの勝ちパターンや好走パターンを見ると、単騎逃げからの逃げ残りが目立つ。今年1月のアメリカジョッキークラブカップでは単騎逃げを見せ、1000メートル通過61秒3という比較的スローに落としレースを進め、3着に逃げ粘った。この馬の好走パターンは1コーナーから4コーナーまで先頭にいるパターンであり、コーナー4つのコースの相性は抜群だ。
その一方で途中からポジションを上げる競馬になると少し分が悪くなる。下手に控えるくらいなら最初から先頭を走らせた方がいい。そういう意味では分かりやすい馬だ。出走予定馬を見ると、何が何でも前へ行きたい馬は見つからない。マイネルフロストが前に行ってもおかしくないが、競輪のようにマイネルミラノに先頭を譲って脚を溜めるようなことをする可能性がある。
単騎逃げが見込めるのであればマイネルミラノの勝ちパターンになる。まして、人気があまりない状況なので、マークしにくい。斤量57キロと久しぶりにハンデ戦で多少軽い斤量で挑めるのも魅力的だ。
要素② 珍しい鞍上起用
冠名マイネルはサラブレッドクラブ・ラフィアンが馬主だが、騎手の起用は非常に明確である。ここ数年は柴田大知騎手を筆頭に、丹内祐次騎手と松岡正海騎手、津村明秀騎手などが騎乗している。その中では柴田大知騎手が有力馬に乗る。今回ではマイネルフロストに騎乗予定だ。マイネルミラノのこれまでの騎乗した騎手の傾向を見ると、ほとんど丹内祐次騎手と柴田大知騎手の2人が乗ってきた。
今回騎乗するのはあまりマイネルの馬には乗らない田辺裕信騎手が騎乗する。マイネルの馬にはほとんど乗らない印象がある田辺騎手がここで起用されたのは何かしらのメッセージと言える。田辺騎手といえば逃げ残りがうまい騎手であり、コパノリッキーやロゴタイプでは東京の長い直線を逃げ切ることができた。
今年は柴田大騎手も丹内騎手も調子がさほど良くない。その中で田辺騎手は関東リーディング4位である。頼りになる存在であり、マイネルミラノへのテン乗りで新しい一面を引き出せるかに注目が集まる。
要素③ 2000メートルに良績
マイネルミラノはこれまでに8勝しているが、そのうちの5勝は2000メートル戦だ。その中には重賞の函館記念や七夕賞と同距離の福島民報杯も含まれている。1800メートルでも一応結果は出ているが、どちらかと言えば2000メートルで強いと言える。
七夕賞はハンデ戦だが、秋に行われる福島記念もハンデ戦となっており、58キロや57.5キロなどやや重いハンデになる。福島記念でさほど結果が出ていない分、意外にも初出走となる七夕賞も同じような結果になるのではないかという向きがある。ただ今回は斤量が57キロになり、状況はやや好転する。
福島2000メートルでの実績も十分にあり、コースが合わないことは全くない。あとはレース展開がどうなるか、すべてはそこにかかっている。
まとめ
エプソムカップは斤量58キロに重馬場、果敢な先行策があったため、結果的に惨敗に終わった。七夕賞の週は天気があまり良くなく、マイネルミラノがあまり得意とはしない馬場になる可能性がある。それでも洋芝の函館で良績を残すなど、馬場は不問という見方もできる。田辺騎手に乗り替わり、新たな味を見せたいところだ。
展開が向けばマイネルミラノにとってはプラスに働く。比較的福島競馬場は逃げが残りやすい。あとはペースを落とし、いかに余力を残して回ってくるか。ハナを切れるか、そこにすべてがかかる。