2019年3月31日、阪神競馬場で大阪杯(GⅠ/芝2000m)が行われる。キセキ、ブラストワンピース、ペルシアンナイト、ステルヴィオ、サングレーザーなどが揃う中、ワグネリアンがどこまでやれるのか、注目が集まる。長期休養明けで勝負勘が戻っていることも考えられるが、ダービー馬の意地を見せることができるのか。
ワグネリアンの前走は神戸新聞杯だったが、メイショウテッコンが前半1000メートル61秒9で逃げるやや遅い流れの中、7番手あたりで折り合いをつける。最後の直線で追い出し、逃げるメイショウテッコンを交わして、最後はエタリオウの猛烈な追い込みを半馬身退けて勝利した。この後、ワグネリアンは休養に入り、秋競馬を全休する。
ダービーを勝ちながら最優秀3歳牡馬を獲得できなかったワグネリアン。その賞を獲得したブラストワンピースを始め、ここは差を見せつけたいが、思惑通りになるか。
目次
不安① ダービー馬初の古馬との対戦は?
ワグネリアンは大阪杯で初めて先輩たち、古馬との対戦を経験する。ダービーに勝った馬が初めての古馬との対戦がGⅠだった場合の戦績は非常に分かりやすい。
後の三冠馬になる馬が有馬記念を制するケースばかりが目立つ。GⅠ以外ではドゥラメンテやトウカイテイオーのように勝つケースもある。この場合は二冠馬。
1986年のダービー馬、ダイナガリバーが有馬記念を勝つなどあるにはあるが、それだけの名馬でなければ、いきなりの古馬との対戦、しかもGⅠという舞台はしんどい。
そもそもダービーや菊花賞で燃え尽きる馬が多く、キングカメハメハのように神戸新聞杯で快勝してケガで引退した馬もいる。
有馬記念のように菊花賞を使ってから参戦できるケースと違い、今回はぶっつけ本番。ダービー馬とはいえ荷が重いと言わざるを得ない。
不安② 小回りが苦手?
これまでに7戦のワグネリアンだが、負けたのはいずれも中山競馬場の2000メートルだ。他の5戦はいずれも直線が長く、少々のもたつきや不利はどうってことない。
ところが、中山の場合はちょっとした判断や迷いで仕掛けが遅れて、結果的に負けることがある。
阪神の2000メートルは中山の2000メートルと比較的類似点が多い。ある程度小回りであることや急坂があることなど、似たような形状だ。
負けているのがそこだけということになると、内回り2000メートルの大阪杯では器用に立ち回らないと負けてしまうかもしれない。
阪神は2戦2勝で問題ないという見方が多いが、直線が長くて力勝負になりやすい。紛れが起こりやすい内回りへの不安は残る。
不安③ 半年の休み明け
産経大阪杯時代を含め、過去10年のデータを見ると、凱旋門賞からの直行があるぐらいで、たいていは年内に一戦している。そこで古馬と対戦して勝つとか、力量差を知る。
凱旋門賞以来の参戦で勝利したキズナは凱旋門賞4着と、古馬との力量どうこうを語る必要もない結果を残している。
最初に触れたが、古馬との対戦が初めてでしかも半年の休み明けというのは、大阪杯の傾向を見るにかなり厳しいことが分かる。
それは明け4歳だけでなく、明け5歳や6歳の馬も同じ。ましてGⅠとなれば、1回叩きたいと考えるのが普通である。
本来ならドバイシーマクラシックなど2400メートルのレースで使いたいところ、それが叶わなかった。状態的にまだこれからと考えてもいいのではないか。
まとめ
ダービー馬がダービー馬としての意地を見せるケースは意外と少ない。二冠馬や三冠馬は別だが、例えばダービーだけを勝った馬は古馬になって相当苦戦する。もちろんエイシンフラッシュのように復活する馬もいるが、その多くは善戦マンにとどまることが多い。
ワグネリアンが果たしてどのタイプになるかは大阪杯を見ないことには分からない。しかし、初の古馬との対戦、半年の休み明けなど不安要素があり、大阪杯の舞台がぴったりとも言えない。軸に据えるのは果たしてどうか、気になるところだ。