無敗馬に挑む――。
2018年4月8日、阪神競馬場で桜花賞(GⅠ/芝1600m)が行われる。阪神ジュベナイルフィリーズを含む重賞3勝、4戦無敗のラッキーライラックが出走予定だ。他にはチューリップ賞組のリリーノーブルやマウレア、シンザン記念勝利のアーモンドアイも出走する。そんな中で期待されているのがアンコールプリュだ。2番人気だったフィリーズレビューでは上がり最速タイムを叩き出し鋭く追い込みながら2着を確保し、桜花賞への優先出走権を獲得した。本番の桜花賞に向けたステップレースとしては上々のスタートを切ることが出来ている。
今回の桜花賞はラッキーライラックの1強状態というムードで行われる。しかし、果たして本当にラッキーライラックの1強なのか。もしラッキーライラックを倒すのであればどの馬かを考えた時にアンコールプリュが浮上する。去年のソウルスターリングも圧倒的な人気がありながら負けてしまった。1強状態だからこそ、その状況を疑い、勝てそうな馬を探す。アンコールプリュに秘めた逆転の要素に着目する。
目次
要素① ラッキーライラックと戦っていない
クラシック競走では時折1強状態になるレースが出てくる。この時に大事な考え方はまだその馬と対戦していない馬を見つけることだ。短期間で逆転する力をつけるのは難しい。例えば2005年の日本ダービーでは、ディープインパクトとその時点まで対戦がなかったインティライミが2着に食い込んでいる。
ラッキーライラックと戦ったことがなくて、重賞やトライアルレースを制している馬は何頭かいる。もしラッキーライラックに勝つ馬を探すのであればそこからだ。アンコールプリュの初出走は阪神ジュベナイルフィリーズの1週前の新馬戦だ。到底この時点では対戦のしようがない。
フィリーズレビュー組はあまり見所がなかったというが、本当だろうか。少なくともアンコールプリュに関しては最後方から鋭い追い込みを見せた。それも阪神の内回りコースでのことだ。それが外回りコースに変わる。追込み馬の成績が桜花賞ではずば抜けていいからこそ、ここは勝負だ。
要素② 4戦目のフレッシュさ
以前の競馬は出せるのならいくらでも出すという具合に、たくさんのレースに出させていたが、今はそんなことをさせない。できる限り走るレースを減らして効率よくクラシック競走のタイトルを獲るのが目的になっている。日本ダービーを目指す馬でも無理に皐月賞は使わない。1戦でも少なくして本番を迎えることはとても大事だ。そんな中でアンコールプリュはこれが4戦目である。新馬戦、500万条件を勝ち、フィリーズレビューで2着に入った。これだけ賞金を積めばオークスも賞金で間違いなく出走できる。
例えばマウレアは賞金を重ねるためにクイーンカップに出たがそれに失敗し、チューリップ賞に出てなんとか権利を獲得した。1戦余計に走り、体重を落としてしまった。しかも美浦からの輸送が待っている。できるだけフレッシュな状態が求められるが、間隔をあけ過ぎてもなかなか来ない。牝馬はそれだけ繊細だが、非の打ち所がないローテーションでやってきたアンコールプリュを評価したい。
要素③ 展開不問の器用さ
芝1400メートルのレースでは後方からレースを進め、安定した結果を出した。中京競馬場の芝1400メートルは追い込みが届きやすい。むしろ後ろにいた方がチャンスが大きい。一方で新馬戦は前目でレースをしている。新馬戦の舞台は桜花賞と同じ阪神1600メートルだ。すんなりと先行できれば前でのレースは問題ない。
最後の直線に向けて慎重に乗ろうとする馬が多くペースがさほど流れないことが多い。そこでうまく前でレースができれば直線抜け出して押し切ることもできる。たとえ後方でレースをしていたとしても、鋭い脚で差し切ることも可能だ。どちらであっても勝てるだけの筋書きは描ける。そこがアンコールプリュの強い部分だ。
まとめ
桜花賞は近年紛れの少ないレースと呼ばれているが、フィリーズレビュー2着のレーヌミノルが勝利した。フィリーズレビューは桜花賞に直結しないと言われているが、そんなことはないことを証明している。
ラッキーライラックが強いことは明らかであり、チューリップ賞のレースを見る分にはラッキーライラックにハプニングが起きなり限り実力で逆転するのは厳しい。それならばこれまでにラッキーライラックと戦っていないメンバーで勝負をするのが理想的だ。
アンコールプリュの母オイスターチケットの子供の中にはクラシックであと一歩で涙をのんだ馬が何頭かいる。そうした馬たちの無念を晴らすには絶好の舞台が用意された。