2018年5月20日、東京競馬場でオークス(GⅠ/芝2400m)が行われる。アーモンドアイ、ラッキーライラック、サトノワルキューレ、リリーノーブル、マウレア、トーセンブレス、カンタービレ、ゴージャスランチらが出走するが、どんなレースが展開されるのか?台頭する可能性を秘めた伏兵とは?
イギリスのオークスにならってスタートした日本のオークス(優駿牝馬)は今年で79回目を迎える。3歳牝馬三冠の2冠目となるオークスは長い間、芝2400mという3歳牝馬のほとんどの馬が経験したことのない距離で行われてきたこともあり、過酷なレース条件の中でも毎年素晴らしいレースが繰り広げられている。
特に2010年に蛯名正義騎手騎乗単勝1番人気のアパパネと横山典弘騎手騎乗単勝5番人気のサンテミリオンが中央競馬のGⅠ史上初の同着となったレースは、レース後の両騎手の喜び合う姿も含めて記録にも記憶にも残るレースとなった。2018年はどのような決着となるのか。
今回は過去10年のオークスの結果を元としてデータ分析するが、特に過去の穴馬の共通項から激走馬を探っていく。
目次
過去10年の該当馬(2008年以降・単勝6番人気以下で3着以内)
年 | 着順 | 馬名 |
---|---|---|
2017 | 2 | モズカッチャン |
2015 | 3 | クルミナル |
2013 | 1 | メイショウマンボ |
2012 | 3 | アイスフォーリス |
2011 | 1 | エリンコート |
2011 | 2 | ピュアブリーゼ |
2010 | 3 | アグネスワルツ |
2008 | 2 | エフティマイア |
注目点① 人気薄を狙うなら単勝6番人気から9番人気を中心に
該当馬のリストを見てもわかるように、過去10年で馬券圏内に入った延べ30頭のうち単勝6番人気以下が8頭と3割を切っていることから人気薄を狙う場合は選定を慎重に考えなければならない。
しかも、今回の該当馬を人気別に見ると、高配当になる場合の人気にはそれほど気にする必要がないことがわかるが、単勝10番人気以下の極端な人気薄を狙うのが得策ではない。
人気別集計 オークス 過去10年
人気 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
---|---|---|---|
1番人気 | 4- 2- 1- 3/ 10 | 40.0% | 70.0% |
2番人気 | 1- 3- 2- 4/ 10 | 10.0% | 60.0% |
3番人気 | 2- 0- 1- 7/ 10 | 20.0% | 30.0% |
4番人気 | 1- 0- 1- 8/ 10 | 10.0% | 20.0% |
5番人気 | 1- 1- 2- 6/ 10 | 10.0% | 40.0% |
6番人気 | 0- 1- 1- 8/ 10 | 0.0% | 20.0% |
7番人気 | 1- 0- 0- 9/ 10 | 10.0% | 10.0% |
8番人気 | 0- 1- 1- 8/ 10 | 0.0% | 20.0% |
9番人気 | 1- 0- 1- 8/ 10 | 10.0% | 20.0% |
10番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% |
11番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% |
12番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% |
13番人気 | 0- 1- 0- 9/ 10 | 0.0% | 10.0% |
14番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% |
15番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% |
16番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% |
17番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% |
18番人気 | 0- 0- 0- 8/ 8 | 0.0% | 0.0% |
集計期間:2008年 ~ 2017年
年 | 馬名 | 人気 | 単勝オッズ |
---|---|---|---|
2017 | ダノンディスタンス | 6 | 17.9 |
2016 | アグネスフォルテ | 9 | 41.5 |
2015 | アルバートドック | 6 | 10.4 |
2014 | サウンズオブアース | 8 | 13.7 |
2013 | ペプチドアマゾン | 9 | 52.6 |
2013 | ジャイアントリープ | 11 | 58.4 |
2011 | サウンドバスター | 10 | 42.8 |
2008 | ロードアリエス | 9 | 18.7 |
2008 | マイネルローゼン | 6 | 16.4 |
注目点② 父・ロイヤルチャージャー系かネイティブダンサー系に注目
過去10年単勝6番人気以下で3着以内に入った8頭中7頭がロイヤルチャージャー系かネイティブダンサー系種牡馬となっている。
ディープインパクトやゼンノロブロイ、ハーツクライに代表されるように現在の日本種牡馬界の王道とも言えるロイヤルチャージャー系の成績は、クラシックで活躍するようなマイルから中距離で特に目立ち、オークスは絶好の舞台と言える。
また、ネイティブダンサー系の代表種牡馬はキングカメハメハだが、競馬場・距離問わず比較的成績を残す万能型でありオークスでも検討に値する。
種牡馬系統別集計 オークス 過去10年
種牡馬系統別 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
---|---|---|---|
ロイヤルチャージャー系 | 8- 6- 8-103/125 | 6.4% | 17.6% |
ニアークティック系 | 1- 1- 2- 20/ 24 | 4.2% | 16.7% |
ネイティヴダンサー系 | 1- 1- 0- 19/ 21 | 4.8% | 9.5% |
ナスルーラ系 | 1- 0- 0- 5/ 6 | 16.7% | 16.7% |
その他のエクリプス系 | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% |
トゥルビヨン系 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% |
集計期間:2008年 ~ 2017年
ソート:着別度数順
馬名 | 父系統 | 種牡馬 |
---|---|---|
ダノンディスタンス | ネイティヴダンサー系 | ルーラーシップ |
アグネスフォルテ | ニアークティック系 | ハービンジャー |
アルバートドック | ロイヤルチャージャー系 | ディープインパクト |
サウンズオブアース | ロイヤルチャージャー系 | ネオユニヴァース |
ペプチドアマゾン | ロイヤルチャージャー系 | アグネスタキオン |
ジャイアントリープ | ロイヤルチャージャー系 | ネオユニヴァース |
サウンドバスター | ネイティヴダンサー系 | ヘクタープロテクター |
ロードアリエス | ロイヤルチャージャー系 | シンボリクリスエス |
マイネルローゼン | ロイヤルチャージャー系 | グラスワンダー |
注目点③ 前走は3着以内
今回の該当馬8頭中7頭までが前走でも3着以内と好走している。
クラシックへ向けては勝ち抜き戦の様相が強いこともあり、オークスでは他馬との比較で人気を落としていても前走で好走していた馬が、前評判を覆した場合に馬券圏内に入ってくることを示している。
前走着順別集計 オークス 過去10年
前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
---|---|---|---|
前走1着 | 6- 3- 2- 41/ 52 | 11.5% | 21.2% |
前走2着 | 1- 4- 4- 18/ 27 | 3.7% | 33.3% |
前走3着 | 2- 1- 1- 14/ 18 | 11.1% | 22.2% |
前走4着 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% |
前走5着 | 0- 0- 1- 10/ 11 | 0.0% | 9.1% |
前走6~9着 | 1- 1- 0- 25/ 27 | 3.7% | 7.4% |
前走10着~ | 1- 0- 2- 31/ 34 | 2.9% | 8.8% |
集計期間:2008年 ~ 2017年
馬名 | 前走着順 |
---|---|
モズカッチャン | 1 |
クルミナル | 2 |
メイショウマンボ | 10 |
アイスフォーリス | 2 |
エリンコート | 1 |
ピュアブリーゼ | 3 |
アグネスワルツ | 2 |
エフティマイア | 2 |
注目点④ 前走は東京か阪神で出走
今回の該当馬8頭すべてが前走は東京競馬場か阪神競馬場で出走していた。
レース間隔だったり、東京競馬場とのコース適性を調教師など関係者が考慮・調整して出走してきた結果が、オークスで人気に関係なく着順に反映されていることがわかる。
前走場所別集計 オークス 過去10年
前走場所 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
---|---|---|---|
札幌 | 0- 0- 0- 0/ 0 | ||
函館 | 0- 0- 0- 0/ 0 | ||
福島 | 0- 0- 0- 0/ 0 | ||
新潟 | 0- 0- 0- 0/ 0 | ||
東京 | 1- 4- 4- 63/ 72 | 1.4% | 12.5% |
中山 | 0- 0- 1- 5/ 6 | 0.0% | 16.7% |
中京 | 0- 0- 0- 0/ 0 | ||
京都 | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% |
阪神 | 10- 5- 5- 75/ 95 | 10.5% | 21.1% |
小倉 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% |
集計期間:2008年 ~ 2017年
馬名 | 前走場所 |
---|---|
モズカッチャン | 東京 |
クルミナル | 阪神 |
メイショウマンボ | 阪神 |
アイスフォーリス | 東京 |
エリンコート | 阪神 |
ピュアブリーゼ | 東京 |
アグネスワルツ | 東京 |
エフティマイア | 阪神 |
注目点⑤ 前走は1600mか2000m戦に出走
最後に前走の距離から見た時に、今回の該当馬8頭すべてが前走で1600mか2000mの距離を走っていて、1800m戦を使われていた馬は1頭もいなかった。
1600mはGⅠ・桜花賞組が多いことを示していて、2000mはOPEN特別・忘れな草賞もしくはGⅡ・フローラS組が活躍していることを示している。
前走距離別集計 オークス 過去10年
前走距離 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
---|---|---|---|
1600m | 8- 5- 5- 68/ 86 | 9.3% | 20.9% |
1800m | 0- 0- 0- 37/ 37 | 0.0% | 0.0% |
2000m | 3- 4- 5- 43/ 55 | 5.5% | 21.8% |
集計期間:2008年 ~ 2017年
馬名 | 前走距離 |
---|---|
モズカッチャン | 2000 |
クルミナル | 1600 |
メイショウマンボ | 1600 |
アイスフォーリス | 2000 |
エリンコート | 2000 |
ピュアブリーゼ | 2000 |
アグネスワルツ | 2000 |
エフティマイア | 1600 |
まとめ
ここまでの5つの注目点から、人気薄で激走する可能性のある馬を選定すると次の1頭が該当する。
オールフォーラヴ
なお、本原稿は特別登録の段階で執筆しているが、今年のオークスの登録頭数は20頭(出走可能頭数18頭)となっていて賞金順により抽選対象となっている馬がいるので注意が必要だ。
後は予想時点での単勝人気やオッズも確認の上、検討を加えていくのも、面白いのではないだろうか。