5月23日に京都競馬場で行われた平安ステークス(GIII/ダート1900m)は、3カ月の休み明けだったインカンテーション(牡5)が逃げの手を打ち、そのまま逃げ切り勝ち。昨年のみやこS以来の重賞3勝目で、帝王賞の有力馬に名乗りをあげた。
インカンテーションの血統背景や将来性はどんなものなのだろうか? 徹底分析を行っていこう。
血統評価は?
インカンテーションは父シニスターミニスター、母オリジナルスピン、その父マキャベリアンという血統。シニスターミニスターは現役時代、アメリカのGIを1勝したエーピーインディ系の種牡馬で、昨年の南部杯を勝ったベストウォーリアの父マジェスティックウォーリアと同系統だ。
母のオリジナルスピンは愛国で生産された馬でありながら、産駒はダートで活躍する傾向にある。半妹のスピナッチ(父ゼンノロブロイ)や、半姉ヒラボクビジン(父ブライアンズタイム)もダートで準オープンまで出世している。
母父マキャベリアンは、母父としてヴィクトワールピサ(ドバイワールドカップなど)、ヴィルシーナ(ヴィクトリアマイル連覇)、アサクサデンエン(安田記念)とGIホースを輩出。また、ランフォルセ(ダイオライト記念など)やノーザンリバー(東京盃など)のようにダート重賞でしぶとく活躍する馬も送り出している。
インカンテーションの得意条件
今後は帝王賞への出走が予想される。この馬自身は京都を得意にしていて、他場でも昨年のエルムステークスのように水分を含んだダートで好走していることから軽い砂が得意なタイプと考えられる。地方の力の要るダートが合うかといえば疑問だ。
参考:インカンテーションの重賞好走時の馬場状態
13年 レパードS(1着) 稍重
13年 みやこS(2着) 良発表も、10R前から雨が降っていた
14年 エルムS(3着) 不良
14年 みやこS(1着) 良発表も、レース前まで雨が降っていた
15年 東海S(3着) 良発表も、前日は重馬場、この日も8Rまでは稍重
15年 フェブラリーS(2着) 良発表も、時計の出やすい東京ダートマイル戦
このように、やはりこの馬の適性は軽いダート。先週にしても、京都は週中にかなり雨が降っていたため、散水も行われなかったように含水率の高い良馬場だった。逃げという新たな脚質を見出した同馬には、地方の砂でどういった走りを見せてくれるかも含めて今後に注目したい。
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