エピファネイアのドバイWC惨敗は必然?浮かび上がる3つの“準備不足”

3月28日に行われたドバイワールドカップで最下位の9着に終わったエピファネイア。昨年のジャパンカップで圧勝し、ジャスタウェイに次ぐ世界レーティング2位に評価されたことでドバイでも注目されていたが、結果は惨敗に終わった。

挑戦が失敗に終わるのは仕方がない。ただし、ここに来ていくつか「準備不足」と言われても仕方がない事実が浮上してきている。

そこで、今回は改めてエピファネイアが惨敗した理由を考えていきたい。

目次

1.準備なき芝GI馬のダート挑戦

芝GI馬のダート挑戦は厳しい結果に終わることが多い。

なぜエピファネイアのドバイWC挑戦を“批判”するメディアはないのか?

この記事で触れたが、過去を振り返るとカレンブラックヒル、トゥザグローリー、グランプリボス、リーチザクラウン、ローエングリンといった芝GIで好走した馬が、ダート初挑戦で惨敗している。

芝とダートでは使う筋肉をはじめとして、求められる資質が全く違う。だから惨敗するのは当然といえば当然で、トゥザヴィクトリー(初挑戦のフェブラリーステークスで3着→ドバイワールドカップで2着)やアグネスデジタル(芝・ダート両方のGIを制覇)のような馬のほうが稀なのだ。

しかもアグネスデジタルはもともとダートを使われていた馬だし、トゥザヴィクトリーはドバイワールドカップを使う前にフェブラリーSでダートを経験していた。

大前提として、ドバイワールドカップでダートに初めて挑戦するというのは極めて厳しいシチュエーションだったわけだ。

2.ドバイ直行というローテーション

今回のドバイワールドカップデーを振り返ると、ほとんどの馬が前哨戦をドバイで戦っていた。

ドバイワールドカップを制したプリンスビショップは前走、ステップレースのアルマクトゥームCR3で2着。UAEダービーを制したムブタヒージュは前哨戦のアルバスタキヤで勝っていた。さらにゴドルフィンマイルを勝ったタマークズも前哨戦のブルジュナハールステークスを叩いて臨んでいた。

日本馬はドバイで前哨戦を使うことがほとんどない。それでいて結果を出しているわけだから、その点を一概に批判することはできない。ただ、ダートの経験がないエピファネイアに関しては、前哨戦を使うという選択肢はなかったのだろうか? 極端な話、前哨戦でダートがダメだと分かれば目標をドバイシーマクラシックやドバイターフに変更できたはずだ。

有馬記念から間隔が空いていないこともあって難しかったのかもしれないが、考慮しても良かったのではないか。

3.スパイク蹄鉄などの事前準備

これが後に分かった一番残念なニュースだ。

JRAのドバイワールドカップデー特設HPに記載されている角居厩舎スタッフの回顧を引用する。

蹄鉄についての部分などで、勉強が必要だとも感じさせられました。(中略)今のエピファネイアは芝馬の形で蹄が出来ているので、スパイク鉄は後脚の角度が余分に大きくついてしまうため、履くことはできませんでした。

スパイク蹄鉄はダート競馬が主流なアメリカでは一般的に広く使われている。蹄の引っ掛かりを良くする効果があるため、ドバイでも多くの馬が使用していた。そのスパイク蹄鉄を、エピファネイアは使えなかったという。

ここで疑問に思うのは、「事前に調べられなかったのか?」、「調べて履けないと分かったなら、代替になる蹄鉄を準備できなかったのか」ということだ。ドバイワールドカップを使うなら、事前に調べておくべきだし、世界中にネットワークを持つ角居厩舎なら調査は可能だったはず。それなのに「芝馬の蹄なので履けなかった」で済ますのはいかがなものなのだろうか?

エピファネイアの馬主はキャロットファーム。つまり、多くの一口馬主の方が出資している。出資している人数が多いからどういうというわけではないが、多くの期待を背負っていることは間違いないのだから、下準備を徹底する必要はなかったのだろうか。

スパイク蹄鉄が直接の敗因だとは思わないが、以上の3つを見ると、「全体的に準備不足だったのではないか」と思わずにはいられない。

芝で真の実力の証明を

エピファネイアのドバイ遠征は疑問と課題が残るものだった。「ジャパンカップの勝ち馬」、「前年の世界レーティング2位」という肩書は世界的に注目を集めるため、日本を代表する意味でもベストな状態で出走するか、ベストなレース(=芝)を選択してほしかった。

終わった後の後出しジャンケンのようなことは書きたくなかった(一応、事前にも指摘していたのでお許し頂きたい)が、今回の経験が次の挑戦にいきるよう、振り返りを忘れないでほしいという意味でキーボードを叩いた。

エピファネイアは芝に戻ればエース格であることに変わりない。次は宝塚記念という報道もちらほら出ている。春のグランプリで真の実力を発揮できるよう、日本のファンに本当の姿を見せられるよう、祈るばかりだ。

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