2018年12月23日、中山競馬場で有馬記念(GⅠ/芝2500m)が行われる。シュヴァルグラン、サトノダイヤモンド、レイデオロ、キセキ、オジュウチョウサンらが出走するが、どんなレースが展開されるのか? 台頭する可能性を秘めた伏兵とは?
競馬TIMES編集部では一週前全頭展望ということで、3回に分けて出走馬全頭の展望を行う。出走予定馬の長所と短所を軸に、ファン投票上位5頭→次位5頭→賞金順の並びで展望していきたい。
今回は、ファン投票上位5頭に続く5頭(シュヴァルグラン・マカヒキ・モズカッチャン・クリンチャー・ブラストワンピース)について展望する。馬名の後の騎手は現時点での騎乗予定騎手だ。
目次
シュヴァルグラン ボウマン
【長所】
昨年のジャパンカップを制し、続く有馬記念も直線で致命的な不利がありながらの3着。今年に入ってからも天皇賞春で2着、前走のジャパンカップでも高速時計に対応し4着と地力を示している同馬。今秋シーズン初戦の京都大賞典であっさり馬券圏内を外したあたりに衰えの可能性もあったが、前走のジャパンカップは4着と言えどタイム的には昨年以上の走りであり、昨年程度のポテンシャルはありそう。騎乗停止で来日が遅れた主戦・ボウマン騎手が満を持しての手綱となり、昨年の雪辱を晴らすか。
【短所】
長所で衰えはないと書いたが、逆に上積みがそれほどないのは事実。昨年のジャパンカップ(1着)はキタサンブラックを完全にマークした競馬がハマった感もあり、追い込んだレイデオロがまだ完成していなかったというのも幸運だったか。昨年よりメンバーが揃っている印象もあり、強調点に欠けるのは否めない。
マカヒキ 岩田
【長所】
一昨年のダービー馬で、そのダービー後に遠征したニエル賞以来勝ち星に恵まれていないものの、今シーズンは久々の連対(札幌記念:2着)を果たし復活気配がある同馬。前走の天皇賞秋は高速時計決着が向かなかった印象で、時計が落ち着きやすい中山コースに変わるのは今なら悪くない材料と言える。事実、これまで中山コースでは馬券を外していない。岩田騎手がテン乗りとなるが、いかにも一瞬の脚を生かすタイプで手が合いそう。インで立ち回れれば一発も。
【短所】
同世代のディープインパクト産駒で同じくクラシックホースであるサトノダイヤモンド同様に、以前ほど長く足を使えなくなっている印象は否めない。そうなると時計勝負はキツく、前走同様にキセキが出走するのはあまり歓迎できない材料だ。ジャパンカップを回避した理由が天皇賞秋の疲労が抜けなかった――というのも気になる。
モズカッチャン M.デムーロ
【長所】
昨年のエリザベス女王杯を制しており、今年も勝鞍こそ無いものの強敵相手の札幌記念で牡馬に混じって3着、連覇を期した前走のエリザベス女王杯も3着と堅実に走っている同馬。爆発力というよりは牝馬らしいキレとインサイドワークで立ち回るタイプであり、トリッキーな中山コースはいかにも合いそうだ。事実、中山コースは1戦しかしていないが先行して勝っている。脚質の自在性も魅力でタメても出してもそれなりにまとめるタイプ。デムーロ騎手の勝負勘が活きればアッと言わせることも可能だろう。
【短所】
古馬になってから勝ちがないという点と、前走のエリザベス女王杯が着順以上に勝ち馬(勝ち馬リスグラシューに0.5秒差)に引き離されたという点が気になる。新馬戦を除いては1秒以上の負けがないという相手なりに走るタイプではあるが、連まではどうかという印象。
クリンチャー 福永
【長所】
今年の京都記念でアルアインやレイデオロといった同世代のクラシックホースを抑え込んで勝利した同馬。天皇賞春でも急遽の乗り替わりながら3着と健闘した後は、果敢に海外に挑んだ。残念ながら前哨戦のフォワ賞、本番の凱旋門賞とも惨敗に終わってしまったが、単純な能力であれほど負ける馬ではなく、馬場適性が無かったのだろう。帰国後も入念に調整されており、それほど乗り難しいタイプではないだけにテン乗りの福永騎手がそれほどマイナスになるとも思えない。人気が落ちるようなら警戒したい一頭。
【短所】
特にこの舞台に関して不安はないタイプではあるが、懸念するなら海外遠征のダメージだろう。馬場適性がなかったにしろ、追って全く反応せずに沈んでしまった凱旋門賞は精神的なダメージがあってもおかしくはない内容だった。追い切りや当日の気配で確認が必要か。
ブラストワンピース 池添
【長所】
今年の3歳大将格で、ダービーと菊花賞では人気を集めながらそれぞれ4着と期待に応えられていない同馬。体質的に使い込めない部分はあるものの、新潟記念で古馬相手に見せた最後方から超のつく大外一気のパフォーマンスからも、地力はGⅠ級であるのは間違いない。鞍上の池添騎手もそろそろこの馬に関しては後がない印象も受け、ここは勝負にいくだろう。
【短所】
能力は間違いないが器用さに欠ける印象は否めない。古馬勢に機動力を活かすタイプの実力馬が揃っており、そこを地力でねじ伏せるほどのパフォーマンスができるかどうかはダービーや菊花賞の結果を見ても微妙なところ。