3歳馬が初めて走る3000mの菊花賞は、血統の傾向が出やすいレースとされる。本記事では、過去10年(2016〜2025年)の3着以内馬30頭の父・母父を整理し、2026年の出走馬18頭の血統と照らし合わせる。
種牡馬別成績|ディープインパクト5勝、近年はドゥラメンテ
| 父 | 成績 | 主な好走馬 |
|---|---|---|
| ディープインパクト | 5-1-3-14 | サトノダイヤモンド、フィエールマン、ワールドプレミア、コントレイル、アスクビクターモア |
| ドゥラメンテ | 3-0-0-5 | タイトルホルダー、ドゥレッツァ、エネルジコ |
| ルーラーシップ | 1-1-0-7 | キセキ、ヘデントール |
| スワーヴリチャード | 1-0-0-0 | アーバンシック |
| エピファネイア | 0-2-1-6 | アリストテレス、オーソクレース、ディヴァインラヴ |
| ステイゴールド | 0-2-0-8 | レインボーライン、エタリオウ |
| キズナ | 0-1-0-11 | エリキング |
| レイデオロ | 0-0-2-1 | アドマイヤテラ、エキサイトバイオ |
| キングカメハメハ | 0-0-2-6 | エアスピネル、ユーキャンスマイル |
| ハーツクライ | 0-0-0-13 | ― |
| ハービンジャー | 0-0-0-8 | ― |
| オルフェーヴル | 0-0-0-6 | ― |
| ゴールドシップ | 0-0-0-4 | ― |
2016〜2022年はディープインパクト産駒が7年で5勝。2021年以降の5年はドゥラメンテ産駒が3勝した。ディープインパクトの産駒は2024年以降は出走していないが、その血を引く後継種牡馬の産駒が今年は多い。
意外なのは、長距離に強いイメージのあるハーツクライ、オルフェーヴル、ゴールドシップの産駒が、10年で1頭も3着以内に来ていないことだ。菊花賞は「ステイヤー血統」だけで決まるレースではなく、中距離のGⅠで通用するスピードも要る。
系統別|キングカメハメハ系の複勝率が高い
| 系統 | 成績 | 主な種牡馬 |
|---|---|---|
| ディープインパクト系 | 5-2-3-37 | ディープインパクト、キズナ |
| キングカメハメハ系 | 4-1-4-19 | ドゥラメンテ、ルーラーシップ、レイデオロ |
| ロベルト系 | 0-3-1-9 | エピファネイア、スクリーンヒーロー |
| ハーツクライ系 | 1-0-1-18 | スワーヴリチャード、ジャスタウェイ |
| ステイゴールド系 | 0-2-0-21 | ステイゴールド、オルフェーヴル、ゴールドシップ |
キングカメハメハ系は複勝率32.1%と、頭数のわりに好走が多い。ロベルト系は勝ちこそないが、2着3回と相手には来る。エピファネイア産駒は3頭が3着以内に入り、そのうち2頭がC.ルメール騎手の騎乗(アリストテレス、オーソクレース)だった。
母父の傾向|母父ディープインパクトと欧州の長距離血統
母父ディープインパクトは1-2-1-4で、複勝率50%(キセキ、アリストテレス、オーソクレース、ディヴァインラヴ)。また、勝ち馬や好走馬の母父には、欧州の長距離血統がよく見られる。サトノダイヤモンド(母父Orpen)、ワールドプレミア(母父Acatenango)、アスクビクターモア(母父Rainbow Quest)、タイトルホルダー(母父Motivator)、エリキング(母父High Chaparral)などだ。一方、母父サンデーサイレンスは0-0-1-8、母父キングカメハメハは0-0-0-9と振るわない。
2026年の出走馬の血統
| 馬番 | 馬名 | 父 | 母父 |
|---|---|---|---|
| 1 | エムズビギン | キタサンブラック | Galileo |
| 2 | コンジェスタス | コントレイル | Alamosa |
| 3 | アウダーシア | キズナ | ルーラーシップ |
| 4 | ショウナンガルフ | ハービンジャー | ハーツクライ |
| 5 | ジャスティンシカゴ | スワーヴリチャード | キングカメハメハ |
| 6 | バステール | キタサンブラック | Aldebaran |
| 7 | ラージアンサンブル | ベンバトル | ジャスタウェイ |
| 8 | ロブチェン | ワールドプレミア | Giant’s Causeway |
| 9 | ゴーイントゥスカイ | コントレイル | Tapit |
| 10 | ダノンヒストリー | エピファネイア | Tizway |
| 11 | アスクエジンバラ | リオンディーズ | マンハッタンカフェ |
| 12 | サノノグレーター | グレーターロンドン | ジャングルポケット |
| 13 | キンググローリー | ダノンプレミアム | Duke of Marmalade |
| 14 | マジョレルブルー | コントレイル | シンボリクリスエス |
| 15 | シートゥサミット | モーリス | Discreet Cat |
| 16 | ショウナンハヤナミ | レイデオロ | ディープインパクト |
| 17 | チャリングクロス | キタサンブラック | Cape Cross |
| 18 | ナリタエスペランサ | キタサンブラック | Invincible Spirit |
今年はキタサンブラック産駒が4頭、コントレイル産駒が3頭。過去10年で3勝のドゥラメンテ産駒は出走していない。父自身が菊花賞馬という馬が多いのも今年の特徴で、キタサンブラック(2015年)、ワールドプレミア(2019年)、コントレイル(2020年)の産駒が計8頭いる。
血統面で注目したい馬
ロブチェン(父ワールドプレミア)
父ワールドプレミアはディープインパクト産駒で、2019年の菊花賞馬。過去10年5勝のディープインパクトの血を父系に持つ。母父Giant’s Causewayはストームキャット系のスピード血統で、長距離向きとまでは言えないが、皐月賞のレコード勝ちが示すスピードの裏づけになっている。
ジャスティンシカゴ(父スワーヴリチャード)
2024年の勝ち馬アーバンシックと同じスワーヴリチャード産駒で、ローテーションもセントライト記念1着からと同じだ。母父キングカメハメハは過去10年で振るわないデータがあるが、父系の相性はいい。
ダノンヒストリー(父エピファネイア)
エピファネイア産駒は勝ちこそないが、2着2回・3着1回。ルメール騎手とのコンビで2着に来たアリストテレス、オーソクレースと重なる。血統面では2着候補の筆頭だ。
ショウナンハヤナミ(父レイデオロ、母父ディープインパクト)
レイデオロ産駒は2024年アドマイヤテラ(7番人気3着)、2025年エキサイトバイオ(13番人気3着)と2年連続で人気薄から3着に来ている。さらに母父は複勝率50%のディープインパクト。予想オッズでは100倍を超える人気薄だが、血統面では穴として一考の余地がある。
エムズビギン(母父Galileo)
父キタサンブラックに、母父は欧州の大種牡馬Galileo(Sadler’s Wells系)。欧州の長距離血統の母父という好走パターンに当てはまる。ただし枠は過去10年で3着以内ゼロの1枠だ。
まとめ
菊花賞の血統は、ディープインパクトとキングカメハメハの2大系統が中心で、近年はドゥラメンテ、スワーヴリチャード、レイデオロといった新しい世代の種牡馬が結果を出している。今年はドゥラメンテ産駒が不在のなか、菊花賞馬を父に持つ8頭と、アーバンシックと同じ父・同じローテのジャスティンシカゴ、相手に来やすいエピファネイア産駒のダノンヒストリーが血統面の注目になる。

