2018年9月30日、中山競馬場でスプリンターズステークス(GⅠ/芝1200m)が行われる。出走予定馬には、サマースプリントシリーズ覇者アレスバローズ、春秋スプリント制覇を狙うファインニードル、モレイラ騎手が騎乗するナックビーナスなどがいる。その中で、悲願のスプリントGⅠのタイトルに燃えるのがレッツゴードンキだ。
レッツゴードンキの前走はキーンランドカップだったが、前半3ハロンはナックビーナスが33秒7で逃げ、レッツゴードンキは9番手でレースを進めた。馬場状態からすればややペースが速めに感じられたが、モレイラ騎手が4ハロン目で12秒0に落とし、うまくペースを握ったことでそのままナックビーナスが押し切ることになる。前の馬がほとんど残り、レッツゴードンキもジリジリと伸びはしたが、5着同着、コンマ8秒負けという結果に終わった。
2017年2018年の高松宮記念、前回のスプリンターズステークスはいずれも2着に終わった。三度目の正直ならぬ四度目の正直でここは勝ちたい。しかし、レッツゴードンキにとっていい材料が揃ったとはいえない。レッツゴードンキが克服すべき壁がいくつか存在する。
目次
壁① 好不調の波という壁
レッツゴードンキは桜花賞を勝つなど3歳時から一定の成績を残している。しかし、その後はなかなか結果を出せない。1回目の高松宮記念は10番人気8着、上積みはこれ以上ないのではないかと言われ始める。復調気配は夏の北海道から始まり、2017年に京都牝馬ステークスを勝ち、次の高松宮記念で2着に入る。好調時は続けて好走し、不調時は続けて大敗する。
現在の状況を見ると、不調時ではないかと思われる。そのバロメーターは上がり3ハロンのタイムにある。好調時は上がりタイムが3位以上のことが多いが、不調時は4位以下になりやすい。これは桜花賞までの時期、2017年シーズンの時期などで見られた。前走も上がり3ハロンで3位以上になっていない。不調時だとすれば、ここでの好走は厳しいと言える。
壁② ナックビーナスの壁
ナックビーナスはレッツゴードンキと違い、3歳時はクラシック戦線とは無縁だった。しかし葵ステークスで勝つなど、スプリント能力を見せつけオープンや古馬の壁に挑み続けた。レッツゴードンキとの差は京都牝馬ステークスや高松宮記念でコンマ6秒差あったが、今年の高松宮記念でコンマ1秒差、そしてキーンランドカップでついにコンマ8秒先行することになる。
キーンランドカップの場合はレッツゴードンキは休み明け、斤量も1キロ思ったがそれにしては差がついた。レッツゴードンキが休み明けでも走れることは去年のスプリンターズステークスで証明されている。確実にナックビーナスは力を付け、しかも今回はモレイラ騎手が騎乗する。先行して粘りの脚を見せられるナックビーナスを果たして上回れるか。この壁を乗り越えない限り、勝利はない。
壁③ 木曜段階で馬体重減の壁
レッツゴードンキの調子の良し悪しの物差しは馬体重にある。今年の高松宮記念はプラス8キロで臨んで2着に入るなど体重を増やしながらも、実は相当な稽古をしている状況が好調と言える。ところが、JRAが発表した木曜段階での馬体重は496キロとキーンランドカップからすでにマイナス2キロの状態となっている。
なぜこれが問題かといえば、馬体重を計測する場所にある。栗東で馬体重を測り、その後に輸送を行う。なので、輸送を行う馬は基本的に重めの体重だ。ラブカンプーはプラス12キロ、ファインニードルはプラス16キロ、ダイメイプリンセスに至ってはプラス26キロだった。それがレッツゴードンキはマイナス2キロである。これから輸送を行い、確実に体重は減る。果たしてどこまで落ちるか。
ちなみに去年のレッツゴードンキはプラス16キロ、最終的にプラスマイナスゼロとなった。明らかに去年とは状況が違う。当日の馬体重はしっかりと確認しないといけない。もし相当なマイナス体重となれば思い切って切るのも手だろう。
まとめ
レッツゴードンキはファンが多く、特に高松宮記念では直線で抜け出して勝ったと思わせながら差されての2着だったことで女性ファンが涙するという場面もあったようだ。もどかしいほど2着が多い。そして、ここで悲願のタイトルを願う声もある。しかし、そのために乗り越えるべき壁は厚く高い。他の馬が順調に見える分、調子落ちを思わせるデータは不安でしかない。
牝馬6歳、繁殖入りを考えればここがラストチャンスの可能性が高い。何が何でも勝ちたいだろう。ただ、よく分析をしていくとそれは厳しい注文に思えてならない。