サニーブライアンという“前例”
ただし、再び恵まれる可能性がゼロというわけではない。長い競馬の歴史を紐解くと、ある前例がある。
それが、1997年の2冠馬サニーブライアンだ。
同馬は伏兵として皐月賞に臨み、逃げ切り勝ちを収めた。しかし、皐月賞がスローペースの前残りだったことから「フロックだった」との見方が一般的だった。
事実、皐月賞馬であるにもかかわらず、ダービーでは6番人気の低評価だった。だが、大外の18番枠からスタートしたサニーブライアンはハナを切ると、直線に入っても後続を寄せ付けず、先頭でゴール板を駆け抜けた。
レッツゴードンキは伏兵として桜花賞を制した。サニーブライアンよりは人気になるだろうが、それでも想定人気ではルージュバックが1番人気。さらにディープインパクト産駒の2頭、ミッキーアイルやクルミナルもレッツゴードンキより人気になるかもしれない。
再び伏兵という立場でオークスに臨むことができれば、“サニーブライアンの再現”を果たすことも夢ではなくなってくる。
1番人気ではなく1着を目指す戦い
出走予定馬を見渡すと、前走逃げたのはレッツゴードンキのみ。是が非でもハナを主張したい馬はいない。
フェアリーステークスを逃げ勝ったノットフォーマルや、フローラステークスを制したシングウィズジョイらが候補だが、桜花賞上位組に比べるとレベルが落ちる。
しかもレッツゴードンキは何が何でもハナにいかなければいけない馬ではなく、番手から競馬ができる器用さを持っている。行きたい馬がいれば行かせて、道中マイペースに過ごすことは可能だろう。
戦前の主役はルージュバックやディープインパクト産駒かもしれない。だが、レースになれば前評判は関係ない。サニーブライアンの主戦ジョッキー、大西直宏が言った言葉が思い出される。
「1番人気はいらない。ほしいのは1着」
果たしてレッツゴードンキはサニーブライアンになれるのか? 今年のオークスを盛り上げる“副題”としては、上々の着眼点ではないだろうか。
【関連記事】
●ダサいなんて言うな!レッツゴードンキの真の強さと岩田康誠騎手の判断力
●マンハッタンカフェ産駒はオークスで勝てるのか?GI馬の共通点を紐解く
●ルージュバックは桜花賞でなぜ負けたのか?“優等生”マンカフェ産駒の呪縛
●優駿牝馬オークス(2015年)の人気馬は?勢力図と予想オッズを展望
●オークスに届かなかった馬たち〜ロカ、ダイワミランダ、フロレットアレーら〜