欲しいのは1着だけ――。
2018年6月3日、東京競馬場で安田記念(GⅠ/芝1600m)が行われる。去年のマイルチャンピオンシップを制したペルシアンナイトやマイラーズカップを勝ったサングレーザー、そして大阪杯を優勝したスワーヴリチャードなどが参戦を予定している。その中で、悲願成就に燃えているのがリスグラシューだ。
リスグラシューの前走はヴィクトリアマイルだったが、2ハロン目以降1度も12秒台に落ちない息がつけないペースの中、13番手とマイペースを堅持し最後の直線でやや重ながら上がり3ハロン32秒9というメンバー最速の末脚で追い込んだが、ジュールポエールの前にハナ差届かなかった。これでGⅠは4度目の2着となったが、まだタイトルはつかめない。
今回はヴィクトリアマイル以来となるが、元々安田記念を目標にしていたこともあり、反動はさほど気にしなくていい。むしろヴィクトリアマイルで得た自信を安田記念にぶつけ、悲願のGⅠタイトルを手にしたい。
目次
見方① 後手を踏んだヴィクトリアマイル
元々リスグラシューは出遅れる可能性が高く、テンションが高くなりやすい傾向にある。この時はゲートで後入れとなる偶数枠だったため、心配は少なめだったが、ゲートが開き、ダッシュがさほどつかなかったのが13番手で推移することになる。リスグラシューが勝利したケースはいずれも前目でレースをした時であり、後方でレースをしたケースはあまり結果が出ていない。
外枠が災いした形にはなったが、アルテミスステークスでは同じ馬番だったものの、前目につけて勝利を収めている。ゲートをうまく出られれば前目で勝負することはできないわけではない。そういう意味では後手を踏んだレースでもあった。そんな中で32秒9の末脚をあのやや重馬場で見せたというのはプラス材料であろう。ジュールポレールと同じ位置で競馬ができていたら勝負はわからなかった。日本ダービーでも前残りが顕著だったが、その傾向は変わらないだろう。少しでも前に行くには馬番と当日のテンションにかかっている。
見方② 高速馬場に対応
ヴィクトリアマイル前のリスグラシューの評価の中に、高速馬場での時計がないことを懸念する声があった。実はマイルでのベストタイムはチューリップ賞3着時の1分33秒6だった。東京新聞杯を制した時は1分34秒1、阪神牝馬ステークスは超スローペースに落とされて1分34秒8だったことから時計勝負で分が悪いのではないかという分析も見られた。結果的にその懸念はヴィクトリアマイルで一蹴されることになる。
1分32秒3で駆け抜けたが、過去の勝ちタイムを見ても平均的なタイムだがやや重、しかも雨が降っている中でのこのタイムであったことは忘れてはならない。高速馬場にももちろん対応するし、雨にもしっかり対応する。中間は府中でも雨が降ることが想定されており、たとえどのように転んだとしても対応する可能性は高い。ヴィクトリアマイルでの敗戦はこれまでのGⅠでの敗戦とは違う収穫を色々得ている。マイルのスペシャリストが集結したとは言い切れない今回の安田記念で大きな一発を放ちたい。
見方③ 初めての56キロは克服できるか
今回、安田記念で初めて斤量56キロを背負う。今のところGⅢでしか勝っていない関係で別定戦で斤量が増えることがない。阪神牝馬ステークスでも56キロの馬がいる中でリスグラシューは54キロで出走した。初めて経験する斤量にどう対応するかは注目だが、それは他の馬も同じである。しかもリスグラシューの場合は55キロではあるが、東京新聞杯で牡馬相手に勝利を収めている。
この時はアドマイヤリードよりも斤量が重く、多くの牡馬とは1キロ差しかなかった。その中でもきっちりと勝ち切っている。重馬場で活躍できるということはパワーは十分にある。パワーがある馬が1キロ重くなって一気に鈍るとも思えない。安田記念で好走した牝馬の馬体重と比較するとやや軽めというのは懸念材料だが、ヴィクトリアマイルと同じパフォーマンスができれば勝ち負けになっても全く不思議ではない。
まとめ
今回もヴィクトリアマイル同様、アエロリットが前で競馬をしてくれる可能性が高いので前回のような流れになる可能性は十分考えられる。それでいて有力馬同士での牽制が見られれば、武豊騎手の経験を最大限に見せ付けて、有力馬のスキをついて最後の直線で突き抜けられる。外枠を引いても前回の経験を活かせるが、内枠であれば内枠なりのプランをもって競馬に臨む。
とにかく8番手9番手あたりで競馬をしたい。ただ脚を使ってそこに行くよりも流れの中でそうなるのが一番いい。外枠だとそれができないので、できれば内枠、しかも偶数番を引きたい。タイトルはすぐ目の前に来ている。あとはどう掴み取るかだ。