5月31日に東京競馬場で行われる第82回東京優勝・日本ダービー(GI/芝2400m)に、皐月賞2着のリベンジを期してリアルスティールを送り込む矢作芳人調教師。
12年ディープブリランテ以来のダービー制覇に向け、厩舎全体の意気も上がっている。
今回はそんな矢作厩舎にスポットを当て、データ面からその特徴を探っていく。
目次
圧倒的な出走数の多さ
まず矢作厩舎の特徴といえば、圧倒的な出走回数の多さだ。過去1年(14年5月31日~15年5月24日)の矢作厩舎の出走数は513回。2位の山内厩舎が390で、10位の牧厩舎が350回であることからも、矢作厩舎の出走数が他厩舎よりもずば抜けて多いことがわかる。
より多くの賞金を稼ぎ、効率よく馬房を回転させようという中ででも、リーディングを獲得するほどの成績を残せるのは、調教師、厩舎スタッフが一体となった努力の賜物だろう。
ただ、ファンからすると出走回数が非常に多いため、勝負気配を読み取りにくいことは確か。そこで今回は、これからの夏競馬シーズンを中心に、ファンの参考にできそうなデータをご紹介したい。
ある騎手とのコンビで儲けろ!?
矢作厩舎の騎手起用で注目したいのは、先日美浦から栗東所属に変更となった中谷雄太騎手。実質的には昨年も栗東中心に騎乗しており、特に調教を手伝っている矢作厩舎の馬に騎乗する機会は多い。
しかし原則的には能力の低い馬を依頼することが多く、中でも中央場所には有力騎手がいるため、馬券に絡む機会はほとんどないと言っていい。
その代わりに狙い目となるのがローカル開催だ。ローカル開催は騎手が手薄になる。中谷騎手に有力馬の依頼が来ることも少なくない。ローカル開催において中谷騎手が騎乗した1~6人気の馬の成績は【7-3-2-7】(12年以降)。過去の中谷騎手の成績を鑑みると、この勝率は驚異的であり、夏の北海道シリーズで注目しておきたい。
盤石仕上げのデビュー戦
もう1つ、これからの季節に注目したいデータがある。ダービーが終われば、翌週から始まるのが新馬戦だ。
矢作厩舎は新馬戦の成績が非常に良く、12年以降(13-17-10-59)で勝率13.1%、複勝率40.4%。単勝・複勝回収率ともに100%を超えている。昨年の6月以降で見ても勝率18.8%、複勝率は40%で同じく好成績だ。
効率よく馬房を回転させる、ということは無駄な出走はさせないということ。勝ち上がりが早ければそれだけローテーションにも幅が広がるため、新馬戦からしっかりと仕上げ勝利を狙う。もちろん上位厩舎であれば、素質馬を新馬戦からきっちりと勝利に導くのだが、矢作厩舎は中穴人気の好走も多いため、こうした回収率をはじき出している。
最多勝から、更なる高みへ
昨年、リーディングトレーナーとなった矢作調教師だが、意外にも重賞勝利はゼロ。本人にも悔しい思いはあるだろう。ただ、管理馬を見ると層が薄かったことは否めない。代わりにここまで現3歳世代の勝ち上がり数(地方交流戦除く)は、全調教師中トップの23頭だ。
2月には素質馬リアルスティールが共同通信杯を勝ち、さっそく重賞タイトルを手にした。昨年の最多勝を受けて、今年の2歳馬の馬質がさらに向上することも大いに考えられる。
さらにダービーで好走馬を出せば……評価は揺るぎないものとなるはずだ。
皐月賞のリベンジを果たす意味でも必勝体制で臨むはず。いざ、ダービーへ。矢作厩舎から目が離せない。
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