2019年4月28日、京都競馬場で天皇賞春(GⅠ/芝3200m)が行われる。フィエールマン、ユーキャンスマイル、グローリーヴェイズ、メイショウテッコン、クリンチャーなどが集まった。シャケトラの不慮の死が大変残念であり、全馬無事に走り切ることを願いたい。この中で人気に支持されそうなのがエタリオウである。
エタリオウの前走日経賞は、メイショウテッコンが稍重ということもあってある程度スローに落としてレースを進め、エタリオウは途中まで5番手、3コーナーあたりで進出を開始し、2番手で最後の直線を迎える。しかし、メイショウテッコンは余力を残しており、エタリオウは差し切れない。2着は何とか確保したが、上がり3ハロンのタイムで逃げたメイショウテッコンに負けており、これでは勝てない。
父ステイゴールドにそっくりな2着続きの状況、次こそは勝利!そう願うファンも多い。主な勝ち鞍2歳未勝利を天皇賞春に変えられるか。
目次
不安① 菊花賞のレベルは高くなかった?
菊花賞2着という結果が出ており、天皇賞春も距離は問題なしという見方がある。確かにそう思えるが、では、その菊花賞のレベルはどうだったか。
菊花賞の勝ちタイムは3分6秒1、エタリオウはハナ差2着なのでほぼ同じとする。このタイム、はっきり言って遅く、2013年不良馬場でエピファネイアが勝った時より遅い。
ラスト2ハロン目で10秒7が出ていることから明らかに最後の末脚勝負で決まった感がある。スタミナよりスピードで決まった形だ。
天皇賞春は3200メートルで行われ、スピードだけで決まる程甘いコースではない。後述するが、血統的にも微妙なエタリオウに対応できるか、そこは疑問だ。
不安② デムーロ騎手の不振
エタリオウの鞍上はミルコ・デムーロ騎手だが、この騎手はやたら特別戦や重賞で勝つ傾向にある騎手で、4年連続重賞10勝以上をマークしている。
ところが、そのデムーロ騎手、今年は22戦重賞に乗りながら、勝ったのはわずか1回。年間3勝ペースにとどまっており、明らかに調子が良くない。
現時点で勝っているのは日経新春杯のみ、3か月以上重賞で勝っていないことになる。人気の馬にたくさん乗ってはいるが、全然勝てていない。
去年も6月から10月まで重賞勝ちがなく、その後に固め打ちがあった。バイオリズムで考えれば今が底の時期と言える。
出走のタイミングが常にデムーロ騎手の調子の底あたりになってしまうエタリオウの運のなさもあるが、本番までに復調できるか。
不安③ 距離に不安ありな血統
エタリオウの母ホットチャチャは、アメリカで活躍し、9ハロンの芝GⅠを制したことがある。守備範囲はマイルから9ハロンで、母父はダート8ハロンの重賞を勝っただけだ。
ステイゴールドの説明は今更不要だろうが、長い距離でも大丈夫だからカバーできると普通は考える。でも、母のスタミナも少しは遺伝されるものだ。
ステイゴールド、母父メジロマックイーンの相性の良さはあまりにも有名だったが、メジロマックイーンは長距離でこそ輝く平成の怪物である。
エタリオウの母父は4戦4勝ではあるが、ダート8ハロンまでしか走っておらず、組み合わせ的に大きく跳ねるようなイメージはない。
メイショウテッコン、ロードヴァンドールなど逃げそうな馬が多く、ペースが読めない。スタミナ勝負に持ち込まれて勝てるのか。
菊花賞の時はメイショウテッコンは逃げられていないことを考えても、菊花賞2着を過信するのはどうか。
まとめ
2着続きで1番人気になるという光景は、午前中のレース、未勝利戦で多い。圧倒的な人気に支持されるが、人気通りに勝ち切れるほど甘くはない。
エタリオウも人気を集めるだろうが、勝って人気になるのと2着続きで人気になるのでは信頼度が違う。いきなり大敗を喫しても何らおかしくはない。
2着続きといえばサウンズオブアースもそうで、菊花賞2着というのも同じ。天皇賞春はパッとしなかったのは何の因果か。
シャケトラが亡くなり、1番人気はエタリオウかフィエールマンか、このどちらかとなりそうだが、はっきり言えばどちらも信用できない。その評価はどのように変わっていくか。