(C)Y.Noda

2018年10月28日、東京競馬場で天皇賞秋(GⅠ/芝2000m)が行われる。出走予定馬には、去年のダービー馬のレイデオロ、2年前のダービー馬マカヒキ、大阪杯で快勝したスワーヴリチャードなどがいる。超豪華メンバーが揃ったが、その中でも注目はキセキだ。去年の菊花賞馬が天皇賞秋に参戦する。

キセキの前走は毎日王冠だったが、前半はアエロリットが淀みなく逃げ、59秒という平均よりやや速めで流れたがキセキは2番手で追随する。アエロリットは脚色が鈍ることなく2着に1馬身以上の差をつけ勝った。逃げたアエロリットが上がり3ハロン33秒8では後ろはどうしようもない。キセキも33秒9の上がりタイムを出し、ステルヴィオにこそ差されたが何とか3着は確保した。菊花賞以降いいところがなかったが、ここで復調気配を見せた形だ。

毎日王冠から天皇賞秋は王道の路線であり、毎日王冠最先着馬として天皇賞秋に臨む。まさにキセキの復活はなるか。それを分ける要素があり、そのあたりを紹介したい。


要素① 実は中距離が得意?

キセキと言えばどうしても泥んこ馬場の菊花賞を思い浮かべる。最後の直線では明らかにほとんどの馬の脚が上がっていたが、3コーナーから4コーナーでスパートをしたキセキは後続に2馬身差をつける完勝だった。このイメージも手伝ってか、使われたのは長い距離のレースが多く、いずれもいいところなく敗れた。ただ香港では疾病に、日経賞では早仕掛けにそれぞれ沈み、宝塚記念はポジションが後ろ過ぎたなど、実は敗因がはっきりとしている。

それ以上にキセキは中距離で結果を残している。2000メートルは2戦2勝、いずれも新潟と中京の左回りでのものだ。特に新潟では2000メートルを1分56秒9で駆け抜けた。タイムが出やすいとはいえ、これだけのスピードがある。まして泥んこ馬場の菊花賞でも勝ったスタミナもある。そのどちらも兼ねているキセキにとって天皇賞秋の舞台は実力を出しやすい環境と言える。

要素② 斤量58キロも関係なし

以前のように斤量の重さが60キロ以上になる場合は別だが、57と58なら大して変わらないという見方をする人がいる。ただ、やはり58キロになると勢いが鈍る馬は出てくる。そのあたり克服しているかどうかは大事な要素となるが、キセキは毎日王冠と宝塚記念で経験し、3着と8着になっている。宝塚記念の場合はメンバー中上がり3位のタイムであったため、斤量の影響は感じさせない。毎日王冠では他より2キロや3キロ斤量が重かったのにそれでも3着だったという事実はとてつもなく大きい。

別定戦の58キロでそれなりの結果が出たということは定量戦の58キロ、牝馬なら56キロだが、これは大きなアドバンテージと言えなくもない。58キロでやや速いペースで追走してもバテずに3着だったのだから、全く影響がなかったといっても過言ではないだろう。フラットな条件になり、むしろキセキにはいい展開となりそうだ。

要素③ 負けず劣らずの良血

キセキの母ブリッツフィナーレ自体は未出走で終わってしまったが、その血統自体は良血である。その母は桜花賞2着の実績もあるロンドンブリッジ、全弟にはグレーターロンドン、姉にはオークス馬ダイワエルシエーロがいる。グレーターロンドンもまた左回りで強い競馬を見せており、ブリッツフィナーレがもし体質が万全だったら左回りで頑張っていたかもしれない。体質の弱さはキセキにも受け継がれているが、それでもこれだけの結果を出せており、母の雪辱は晴らしたと言える。

キセキの父ルーラーシップはリーディング争いをしており、人気は上がっている。何といっても産駒における芝での勝ち上がりの平均距離が2000メートルに迫っている。ルーラーシップも中距離路線で活躍した馬だったが、スピードやスタミナをしっかりと子供に伝えている。どちらも良血でそれがキセキを支えている。体質の弱さが災いしたのが香港ヴァーズだったかもしれないが、毎日王冠ではプラス10キロであれだけの競馬が出来て、直前の調教は抜群の動きだった。父ルーラーシップが果たせなかった天皇賞秋のタイトルを手中に出来る可能性はある。

まとめ

スワーヴリチャードやレイデオロ、マカヒキなどがいるせいか、意外と人気が伸びない。ただ毎日王冠ではこの馬本来の姿は出せており、ステップレースとしては満点といえる成績だったのではないか。ダービーで活躍した馬が人気を集めるのは仕方がない。ただキセキもまたクラシック競走を制した立派な馬である。体質の弱さや厩舎のトラブルなど様々なことで悩まされた時期はあったかもしれないが、ここでキセキの復活は十分にある。

この後はもう1度香港へリベンジとなるかは分からないが、天皇賞秋のタイトルを獲得しておきたい。

おすすめの記事