2018年10月28日、東京競馬場で天皇賞・秋(GⅠ/芝2000m)が行われる。
注目の1頭が、昨年のダービー馬レイデオロ。3歳秋の神戸新聞杯以降、しばらく勝利から見放されていたが、前走のオールカマーで同世代の皐月賞馬アルアインを競り落として貫禄の勝利を飾った。調教師として史上2位の天皇賞(秋)5勝(1996年バブルガムフェロー、2002、03年シンボリクリスエス、04年ゼンノロブロイ、14年スピルバーグ)を誇る藤沢和雄調教師が自信を持って送り出す。
ダービー馬の完全復活へ、舞台は整ったかに思える。しかし、データと臨戦過程からは3つの不安が浮かび上がる。
目次
不安① オールカマー組の優勝はなし
グレード制が導入され、天皇賞(秋)が芝2000mで施行されるようになった1984年以降、オールカマーから参戦した馬の優勝はない。いずれも春秋連覇を狙ったライスシャワーが6着(1993年)、ビワハヤヒデが5着(1994年)、サクラローレルが3着(1996年)と、1番人気に支持された3頭も連対すらできなかった。
特に過去10年を見ると、オールカマー組は延べ27頭が出走して3着すらない。レイデオロにとってはかなり嫌なデータだ。
不安② 1週前追い切りでアクシデント
17日に行われた1週前追い切りでは、まさかのアクシデントが発生。美浦Wコースで追い切られたが、直線入り口でバランスを崩して鞍上が手綱を引く場面があった。その後、立て直して時計は出したものの、歩様が乱れ、騎乗していた五十嵐騎手は向こう正面で下馬した。
馬場が深くなった部分に脚を取られたとのことで、診断で異常はなかったようだが、重要度の高い1週前追い切りを予定通りに消化できなかったのは痛いはず。21日に仕切り直しの追い切りを問題なく行ったが、その分、調整にズレが生じてしまった可能性はある。
不安③ ルメール騎手と天皇賞(秋)
今年もリーディングを独走するクリストフ・ルメール騎手は現在、府中牝馬S(ディアドラ)→秋華賞(アーモンドアイ)→富士S(ロジクライ)→菊花賞(フィエールマン)と重賞騎乗機会4連勝中。勢いが止まらない。
しかし、そんなルメール騎手の天皇賞(秋)の騎乗成績は【0・1・1・6】。8頭中6頭が5番人気以内であり、2014年に1番人気のイスラボニータで3着、2005年に2番人気のハーツクライで6着、2011年に3番人気のエイシンフラッシュで6着と、人気馬にも多く騎乗しているだけに、あまりいい成績とは言えない。ルメール騎手の驚異的な成績からすれば物足りない数字で、相性が良くないレースなのかも知れない。
まとめ
もし前日のスワンSを1番人気が確実なモズアスコットで優勝していれば、ルメール騎手はJRA記録の重賞騎乗機会6連勝を懸けて天皇賞(秋)に臨むことになる。レイデオロは様々な不安やジンクスを吹き飛ばし、現役最強を証明することができるか。