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(C)はねひろ

6月25日、阪神競馬場で春競馬の“総決算”宝塚記念(GI/芝内回り2200m)が行われ、サトノクラウン(牡5)が優勝した。圧倒的一番人気に支持されたキタサンブラックは、まさかの9着に敗れた。

勝者、敗者をわけた“分岐点”はどこにあったのだろうか? 振り返っていくことにしよう。


結果・着順

2017年 6月25日(日) 3回阪神8日 天候 : 曇  馬場状態 : 稍重
【11R】 第58回宝塚記念
3歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定) 芝・内 2200m 11頭立

馬名S性齢
11サトノクラウン牡53
2ゴールドアクター牡65
8ミッキークイーン牝54
6シャケトラ牡42
7レインボーライン牡47
1ミッキーロケット牡48
3スピリッツミノル牡59
5シュヴァルグラン牡56
10キタサンブラック牡51
104クラリティシチー牡611
119ヒットザターゲット牡910

LAP 12.5-11.1-11.6-13.1-12.3-11.7-11.6-11.8-11.7-11.8-12.2
通過 35.2-48.3-60.6-72.3  上り 70.8-59.1-47.5-35.7  平均 1F:11.95 / 3F:35.84

払い戻し

単勝  11 \900
複勝  11 \480 / 2 \550 / 8 \450
枠連  2-8 \710 (5)
馬連  02-11 \5250 (17)
ワイド 02-11 \1500 (18)/ 08-11 \1170 (13)/ 02-08 \1060 (12)
馬単  11-02 \10330 (30)
3連複 02-08-11 \10670 (29/165)
3連単 11-02-08 \70420 (160/990)

レース分析

まずはレースラップを見てみよう。

12.5-11.1-11.6-13.1-12.3-11.7-11.6-11.8-11.7-11.8-12.2

ポイントは2つ。

・4、5ハロン目に極端に緩んだこと
・以降はずっと11秒台を刻んだこと


予想に反してシュヴァルグランが逃げることになったが、スタートから2、3ハロン目はそこそこ流れた。しかし、4、5ハロン目で極端に緩んだことで、ここでかかるか、脚を溜められるかが一つの分岐点となった。

例えばキタサンブラックはこの区間でリラックスして走ることができなかった結果、直線では後退する一方になってしまった。

しかも6ハロン目からは11秒台と、休む期間がなくなってしまった。「息を入れられるときに入れられた馬」、要するに後ろで待機していて自分のペースで走ることができた馬が好走するようなレースになったわけだ。

先行勢が全滅したように、前に行った馬にとっては極めて厳しい展開となった。

サトノクラウン、ゴールドアクター、そしてミッキークイーンはいずれも最後の直線まで後方に待機していた。一方、キタサンブラック、シュヴァルグラン、そしてシャケトラの先行勢は馬券圏外に落ちてしまった。

このラップに対応できたかどうかが、一つの大きな“分岐点”となったわけだ。

出走馬勝因、敗因、次走への展望

1着 サトノクラウン

気難しい馬で、走らないときは掲示板にも載れないわけだが、ハマったときの爆発力がGI級であることをここで証明することになった。

勝因を挙げるとするなら

・馬場
・展開
・ミルコ・デムーロ騎手の手腕

だろうか。まず重馬場はサトノクラウン、そしてデムーロ騎手が最も得意とする条件だ。この条件で彼ら以上のコンビを見つけることは難しい。


さらに展開の後押しもあった。通常の宝塚記念は逃げ、先行馬の粘り込みが好走のパターンだが、今回は馬場が特殊だったこともあり、例年のような形にならなかった。後ろで待機しても勝負になるような展開になったことが優勝を後押ししたわけだ。

そして目を見張るのはデムーロ騎手の手腕だろう。向こう正面でデムーロ騎手は一度サトノクラウンを前へ促し、先行勢にプレッシャーをかけにいった。これでキタサンブラックら、先行勢は息を入れられなくなってしまった。

しかし、当の本人はペースが速くなると、再び後方に下がって機会をうかがった。結果、十分に脚をためることができ、直線の爆発につながったわけだ。

2着 ゴールドアクター

“終わっていないこと”を証明する2着となった。

展開、そして馬場が向いたのはサトノクラウンと同様。馬場の悪い内側を突いた点は、ゴールドアクターの重馬場適性やパワーに相当の自信を持っていたことの証明だろう。

そして有馬記念や宝塚記念のようなトリッキーな条件が得意なことも証明する形となった。今後は特殊な条件で評価を挙げ、東京や京都のようなコースでは評価を下げる必要がありそうだ。

3着 ミッキークイーン

宝塚記念といえば牝馬の台頭――。

期待に違わぬ走りを見せた。マイナスファクターに合致せず、競馬TIMES編集部でも「オススメの1頭」に挙げたように、好走する条件が揃っていたのだから。

3着止まりだったのは上位2頭が強かったこと、そして血統的な面が大きかっただろうか。

ミッキークイーンは“ズブいディープインパクト産駒”ではあるものの、血統的なタフさでは上位2頭に劣っていた。さすがにマルジューやスクリーンヒーロー(ロベルト系)に、ディープ産駒はタフさでかなわない。


今後もディープインパクト産駒が苦手なようなタフな条件で台頭してくる可能性はありそうだ。一見、瞬発力があるように見えるが、実はそれほどでもない。

よって、瞬発力が求められるジャパンカップより、持続力が求められるエリザベス女王杯のほうが向いている、と言えそうだ。

4着 シャケトラ

マンハッタンカフェ産駒は抜群のコース成績を誇っていただけに、台頭があるかと思われた。

しかし、先行勢に厳しいペースとGI級の底力が求められるレースとなり、最後の最後で失速してしまった。

もっとも、キタサンブラックやシュヴァルグランが沈んだ展開で先行しながら4着に粘ったのは立派だった。まだまだキャリアが浅く、成長が期待できる。

5着 レインボーライン

ステイゴールド産駒が得意な舞台でペースが向いたが、5着まで。コーナーで外を回した影響が多少なりともあったと考えられる。

ただし、マイナス要素よりプラスファクターのほうが多かっただけに、現状力負けと言えるかもしれない。

6着 ミッキーロケット

直線、ジリジリ伸びてきたものの、弾けるまではいかず。直線、窮屈になる場面があったとはいえ、この展開だったことを考慮すると、上位とは力の差があったと考えてしかるべきだろう。

7着 スピリッツミノル

ゴールドアクターの前にポジションを取り、内を突く選択をしたが直線では伸びなかった。力負け。

8着 シュヴァルグラン

意表を突く逃げを打ったが、3コーナーで手応えが怪しくなり、4コーナーでは馬群に飲み込まれた。初の逃げで戸惑ったこと、一気に距離短縮となったことでペースに戸惑ったことなど、敗因は複数考えられる。

もっとも、天皇書春上位組のキタサンブラックが同じように沈んだことを考慮すると、レコード決着だったレースの“見えない反動”があったとも考えられる。

よりスタミナのいる条件で見直しだろう。最低でも2400mはほしいところ。

9着 キタサンブラック

もともと合う条件ではなかったことに加え、チグハグな競馬になってしまった。詳細は個別の検証記事にて。

10着 クラリティシチー

展開向かず、馬場の悪いところを通った。現状、力負けだろう。

11着 ヒットザターゲット

残念ながら全盛期の力はもうない。


なぜキタサンブラックと武豊は宝塚記念で惨敗したのか?5つの予兆と敗因とは

(C)Arappa

「競馬に絶対はない」

その格言を痛感させられる結果となった。

6月25日、阪神競馬場で春競馬の“総決算”宝塚記念(GI/芝内回り2200m)が行われ、サトノクラウン(牡5)が優勝した。圧倒的一番人気に支持されたキタサンブラックは、まさかの9着に敗れた。

なぜ現役最強馬は無残に惨敗することになったのか? その理由を検証していこう。


プロフィール〜血統・誕生日・馬主・調教師・生産者〜

ブラックタイド
シュガーハート
母の父サクラバクシンオー
母の母オトメゴコロ
性別
馬齢5 歳
生年月日2012年3月10日
毛色鹿毛
馬主(有)大野商事
調教師清水久詞(栗東)
生産牧場ヤナガワ牧場
産地日高町
馬名意味冠名+父名の一部

数多くあった不安要素

まず、大前提としてキタサンブラックに不安要素がなかったわけではない。それどころか、5つもの明確な不安要素があった。

・天皇賞春の反動
・過去10年で春古馬王道路線連覇はなし
・グランプリは3回走って勝利ゼロ
・叩き3戦目はパフォーマンスを落とす傾向に
・武豊騎手もグランプリは久しく勝っていない

※詳細→宝塚記念2017の予想データ分析…キタサンブラックと武豊騎手の5つの不安要素とは?

いくら天皇賞春でサトノダイヤモンドを破って現役最強馬の称号を得た馬とはいえ、これだけの不安要素があった中で1.4倍の一番人気になるというのは少々荷が重かったと言えるかもしれない。

想定外の展開の連続

実際のレースでも想定外のことがいくつも起こった。


まず今回はハナを切ることができなかった。ここ数戦も番手からの競馬をしているが、天皇賞春はヤマカツライデンが、大阪杯はマルターズアポジーが大逃げを打ったため、キタサンブラックは実質的な逃げ馬として自分でペースを作ることができていた。

しかし、今回は3番手に控えた。しかもハナを切ったのはシュヴァルグラン。大方の予想を覆す馬、逃げたことがない馬がペースを作ることになり、少々おかしなラップを刻むことになった。

12.5-11.1-11.6-13.1-12.3-11.7-11.6-11.8-11.7-11.8-12.2

2、3ハロン目で加速したが、4、5ハロン目では極端にペースが緩んでいる。キタサンブラックが逃げたときには起こらない現象だ。シュヴァルグラン、そしてシャケトラに並ぶ形で競馬をするしかなかったキタサンブラックは、結果として自分のペースで競馬ができなかったのだ。

さらに向こう正面ではミルコ・デムーロ騎手騎乗のサトノクラウンが外側から上がってきてプレッシャーをかけてきた。ここでまた自分の走りをするのが難しくなってしまった。

象徴的だったのが武豊騎手の手綱だ。いつもはほとんど手綱を緩めた中でレースを進めていくが、この日はガッチリと握られていた。まるでキタサンブラックを必死でなだめるような力の入れようだった。この点からも、いつものキタサンブラックではなかったことがうかがえる。

向かなかった展開

直線に入った段階でほとんど余力が残っていなかったことを見ても分かる通り、非常に消耗の激しいレースとなった。

実際、ペースは速かった。そのことは先ほどのラップと着順別の位置取りを見ると一目瞭然だ。

馬名通過順位
サトノクラウン07-06-06-06
ゴールドアクター06-06-06-09
ミッキークイーン09-09-09-09
シャケトラ02-02-02-03
レインボーライン10-09-10-06
ミッキーロケット03-04-04-06
スピリッツミノル07-06-06-05
シュヴァルグラン01-01-01-01
キタサンブラック03-03-02-03
クラリティシチー03-04-04-02
ヒットザターゲット10-11-11-11

上位3頭は差し、追い込み馬で、先行馬はシャケトラを除いて下位に沈んでいる。シュヴァルグランは天皇賞春で2着になるようなスタミナを誇る馬だが、実力馬であってもこのペースでは持ちこたえられなかったのだ。

リズムの悪い走りをした中で展開も向かなければ、キタサンブラックが沈んだのも無理はない。


数々の不安要素が当たり、実際のレースでも今までのような展開に持ち込めなかった。これらがキタサンブラック惨敗の理由だと考えられる。

秋の復活なるか?次走の選択は……

さて、果たして今後、どのような道を選択するのだろうか?

宝塚記念の結果次第ではフランスの凱旋門賞へ挑戦するプランがあると明言されていた。実際に登録も済ませている。

しかし、ここまでの惨敗を喫すると、話は変わってくるかもしれない。もともと北島三郎オーナーは「息子を知らない土地へ連れていくのはかわいそう」と海外遠征に消極的だった。GIを勝つにつれて前向きな考えに変わってきたと発言していたが、このレースを見て考えを変える可能性がないとは言い切れないだろう。

国内に専念するのか、あるいはこの結果を受けてなお、海外に挑戦するのか。

一つ確かなことは、多くの競馬ファンがキタサンブラックの復活を、今から待ち望んでいるということだ。


キタサンブラックと武豊騎手に期待する5つのこととは?宝塚記念2017

(C)Yushi Machida‏

現役最強馬の証明へ――。

ファンの期待に応えるために――。

6月25日、キタサンブラック(牡5)と武豊騎手は春競馬の“総決算”宝塚記念でグランプリ制覇に臨む。圧倒的な一番人気に支持されることが確実な中、彼らはどんなレースを見せるのだろうか? 宝塚記念の“先にあるもの”とは?

今回は「キタサンブラックに期待する5つのこと」を焦点に、話を進めていこう。


史上初の快挙へ

まずは“春古馬GI完全制覇”が期待されるところだ。

今年から大阪杯がGIに昇格し、春の古馬中長距離路線が確立した。その初年度に、完全制覇を成し遂げるというのは驚くべきことであると同時に至難の業と言える。

秋古馬3冠を例に見てみよう。

天皇賞秋、ジャパンカップ、そして有馬記念の完全制覇を達成したのは、歴史上わずか2頭しかいない。テイエムオペラオーとゼンノロブロイ。いずれも歴史的な名馬である。

すでにキタサンブラックは「歴史的名馬」と呼べるクラスの戦績を残しているが、宝塚記念を制するようなことがあれば、さらに箔がつくことになる。


近年の競馬界をけん引してきた馬として、競馬ファンが待ち望む快挙を達成したいところだ。

“証明”の必要性

秋古馬3冠の獲得は同時に現役最強馬の証明を意味する。すでに天皇賞春においてサトノダイヤモンドとの“現役最強馬決定戦”を制しているが、宝塚記念は天皇賞春より門戸が広い。

中距離馬はもちろん、マイル路線を歩んでいた馬や牝馬も参戦してくる。ここで勝つようなら「現役最強馬」という肩書はさらに揺るぎないものとなるわけだ。

波乱が起こるのも競馬の魅力ではあるが、「強い馬が勝つべくして勝つ」というのもファンの心に響く。かつてメジロマックイーンに対し「絶対の強さは、時に人を退屈させる」というキャッチコピーがつけられたが、マックイーンは今なお競馬ファンの心に残り続けている。

現役最強を証明し、いつまでも人々の心にとどまるような馬になるための挑戦でもあるわけだ。

(C)Horse Race Photo Studio

武豊騎手久々の…

鞍上のストーリーも見逃すことはできない。鞍上の武豊騎手にとっても久々のグランプリ制覇がかかっているのだ。

実は武豊騎手、宝塚記念で4勝を、有馬記念で2勝を挙げているが、久しくグランプリ制覇の美酒を味わっていない。

宝塚記念

日付馬名着順人気
2016.6.26キタサンブラック2
2015.6.28トーセンスターダム129
2014.6.29ヒットザターゲット12
2013.6.23トーセンラー4
2011.6.26ビートブラック1112
2009.6.28スマートギア8
2008.6.29メイショウサムソン1
2007.6.24ポップロック4
2006.6.25ディープインパクト1
2005.6.26アドマイヤグルーヴ8
2004.6.27リンカーン3
2003.6.29ダイタクバートラム5
2000.6.25ラスカルスズカ3
1999.7.11スペシャルウィーク1
1998.7.12エアグルーヴ3
1997.7.6マーベラスサンデー1
1996.7.7オースミタイクーン107
1994.6.12ベガ135
1993.6.13メジロマックイーン1
1992.6.14メイショウビトリア1210
1991.6.9メジロマックイーン1
1990.6.10シンウインド6
1989.6.11イナリワン2
1988.6.12フレッシュボイス3

有馬記念

日付馬名着順人気
2016.12.25キタサンブラック2
2014.12.28トーセンラー8
2013.12.22ラブイズブーシェ12
2012.12.23トレイルブレイザー139
2011.12.25レッドデイヴィス6
2010.12.26ローズキングダム0
2009.12.27リーチザクラウン135
2008.12.28メイショウサムソン4
2007.12.23メイショウサムソン1
2006.12.24ディープインパクト1
2005.12.25ディープインパクト1
2004.12.26ダイタクバートラム5
2003.12.28リンカーン4
2002.12.22ファインモーション1
2001.12.23トゥザヴィクトリー6
2000.12.24アドマイヤボス6
1999.12.26スペシャルウィーク2
1998.12.27エアグルーヴ2
1997.12.21マーベラスサンデー1
1996.12.22マーベラスサンデー3
1995.12.24ナリタブライアン2
1993.12.26ベガ6
1992.12.27ヒシマサル3
1991.12.22メジロマックイーン1
1990.12.23オグリキャップ4
1989.12.24スーパークリーク2
1988.12.25スーパークリーク4

最後に勝ったのは2006年、ディープインパクトとともに臨んだ有馬記念だ。実に10年以上、グランプリで勝てていない。ディープインパクト以前となると、1997年のマーベラスサンデーまでさかのぼることになる。

現役最強馬に跨り、武豊騎手が久々にグランプリを勝つ――。


仮にそうなれば、競馬界全体が盛り上がることになるはずだ。

秋の飛躍と、夢への挑戦へ

キタサンブラックにかかる期待は何も宝塚記念制覇だけにとどまらない。日本競馬を代表する馬として、今の世代をけん引する存在として、次なる挑戦への期待がすでに膨らんでいる。

日本競馬界の悲願である凱旋門賞制覇――。

キタサンブラックは、その夢を叶えてくれる馬ではないかと考える者は決して少なくない。

そういう意味で、宝塚記念は重要なレースになる。仮にここで敗れるようなことがあれば、オーナーである北島三郎さんや陣営が海外挑戦を白紙に戻す可能性は十分に考えられる。

秋競馬を盛り上げるためにも、今後世界で日本馬の強さを証明するためにも、キタサンブラックには宝塚記念で結果を出すことが求められるわけだ。

(C)Ko-Mei

最も大事なことは…

ここまで長々と書いてきたが、もっとも重要なことはどんな結果に終わろうとも無事にレースを終えることだ。

特に天皇賞春はレコードタイムが出るような超高速馬場で行われ、レースは最後まで手を抜けない白熱の展開となった。馬にかかる負担も小さくなかったと考えられるわけだ。陣営はキタサンブラックの回復に尽力し、だからこそ出走にこぎつけたわけであるが、競馬というのは“見えない疲労”が突然表沙汰になることがしばしばある。

キタサンブラックが故障するようなことになれば、日本の競馬界にとって大きな損失になる。だからこそ、まずは無事にレースを終え、今後に期待を持てるような終幕になることが求められるのだ。


果たして、キタサンブラックと武豊騎手は宝塚記念で勝てるのか? それとも不安要素に飲み込まれ、苦汁をなめることになるのか?

結果が出るのは6月25日。その結末を、見逃すな。



現役最強馬の座を争う3頭のデッドヒートに、淀が揺れた。

4月30日に京都競馬場で行われた天皇賞春(GI/芝外回り3200m)で、1番人気のブラックタイド産駒キタサンブラック(牡5)が、3番人気シュヴァルグラン(牡5)、2番人気のサトノダイヤモンド(牡4)を押さえて勝利した。

勝ち馬の勝因、敗れた馬たちの敗因は何だったのか? 振り返っていくことにしよう。


レース映像・動画

映像はこちらから(※JRA公式サイト→レース結果のページでご覧いただけます)

結果・着順

2017年 4月30日(日) 3回京都4日 天候 : 晴  馬場状態 : 良
【11R】 第155回天皇賞(春)
4歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定) 芝・外 3200m 17頭立

馬名S性齢
3キタサンブラック牡51
6シュヴァルグラン牡54
15サトノダイヤモンド牡42
10アドマイヤデウス牡610
7アルバート牡66
9ディーマジェスティ牡48
12ゴールドアクター牡65
13トーセンバジル牡59
1シャケトラ牡43
105ファタモルガーナセ915
1114ワンアンドオンリー牡611
1216レインボーライン牡47
138タマモベストプレイ牡714
144スピリッツミノル牡516
1517ヤマカツライデン牡512
1611プロレタリアト牝617
172ラブラドライトセ813

LAP 12.9-11.5-11.2-11.3-11.4-11.6-11.6-13.0-12.5-12.7-12.6-12.5-12.2-11.6-11.7-12.2
通過 35.6-46.9-58.3-69.9
上り 72.8-60.2-47.7-35.5
平均 1F:12.03 / 3F:36.09

レース分析

黒光りする馬体がゴール板を通過したとき、掲示板には「3.12.5」という数字が映し出された。

ディープインパクトが持っていた記録を大幅に更新するレコード決着となった。まさに最高の死闘、最高のマッチレースと表現していいレースだっただろう。

逃げ宣言をしていたヤマカツライデンがハナを切り、2番手にキタサンブラックがつけるという戦前の予想通りの展開となった。シュヴァルグランとシャケトラが並ぶように続き、サトノダイヤモンドは中段につけて最初のコーナーを曲がった。


向こう正面に差し掛かると、徐々にキタサンブラックがヤマカツライデンに迫っていく。ライバルを射程圏に捉えたいシュヴァルグランらも追走し、サトノダイヤモンドもポジションを徐々に上げていった。

3、4コーナーに差し掛かった頃にはキタサンブラックがヤマカツライデンを捉え、先頭に立つ。直線の入り口ではキタサンブラック、シュヴァルグラン、そしてサトノダイヤモンドの3頭が並び、力と力の叩き合いとなった。

キタサンブラックは二枚腰で伸び、シュヴァルグラン、粘るアドマイヤデウス、そしてサトノダイヤモンドが追いすがる。それでも後続を寄せ付けなかったキタサンブラックが、先頭を譲ることなく淀の歓声を自分のものにした。

12.9-11.5-11.2-11.3-11.4-11.6-11.6-13.0-12.5-12.7-12.6-12.5-12.2-11.6-11.7-12.2

ヤマカツライデンが引っ張ったとはいえ、キタサンブラックにとっても決して楽なペースではなかったはずだ。特に武豊騎手がレース後「追いかけに行ってしまった」と話したように、向こう正面では徐々に前へ進出していった。キタサンブラックにとって、簡単なレースではなかったわけだ。

むしろ位置取りとしてはシュヴァルグランやシャケトラのほうがよかったし、距離ロスがあったこと以外はサトノダイヤモンドのレース運びも盤石だった。

要するに、厳しいペースになったため、本当の底力が問われるレースになったわけだ。上位に入線した馬たちは、本当に強い馬だった、という結論を出していいだろう。

出走馬勝因、敗因、次走への展望

1着 キタサンブラック

向こう正面で緩まない程度にペースを落ち着かせ、ライバルに脚を使わせつつ押し切る、というのがキタサンブラックの勝ちパターンだ。しかし、今回は脚をためきれなかったように見えた。

それでも直線で力尽きることなく、後続を押さえてしまうのだから恐れ入る。

本当に強い馬の前では理屈など超えて「すごかった」という言葉しか出てこないものだ。今回のキタサンブラックはまさに「すごかった」というほかない。


キタサンブラックの血統や次走は?歴史的名馬は凱旋門賞へ向かうのか?

2着 シュヴァルグラン

最高の条件、最高の枠順、最高の展開だった。

ハーツクライ産駒は成長力が魅力だ。この馬も例に漏れず、今までに増して力をつけてきた。今回はいい枠順を引けたし、キタサンブラックを見る形でレースが進められた。

しかし、それでもキタサンブラックには届かなかった。レース後、鞍上の福永祐一騎手が「思い通りのレースができた」と語ったように、ケチのつけることのない完璧なレースだった。

それだけに、キタサンブラックの強さを褒める他ない。

3着 サトノダイヤモンド

池江泰寿調教師が「相手の方が3つも4つも5つも上」と話したように、どこまでも届かない差があったようにすら感じられた。

もっとも、このレベルになるとほんの少しの差が勝負を分けてしまう。外枠で多少なりともロスがあったことも影響したはずだ。

もう勝ち馬が3頭いればいいのに……とすら感じられたレースだっただけに、今はただただ無事とさらなる飛躍を期待したい。

4着 アドマイヤデウス

特筆すべきは岩田康誠騎手の騎乗ぶりだろう。好スタートからポジションを取ると、あとはなるべく内へ内へ入るように馬を導いた。結果、3、4コーナーではラチ沿い2頭目を、1、2コーナーではラチ沿いに入り、距離ロスを防いだ。

最後、現役最強馬クラスの3頭に競り負けてしまったが、120点のレースだった。馬券を勝ったファンは悔しがりつつ「これで負けたら仕方ない」と思えるレースだったのではないだろうか。さすが岩田騎手、といったところ。


アドマイヤドン産駒、もしくはミスプロ系全体に言えることだが、どうしても3000m以上の底力勝負になると勝てない。キングカメハメハ産駒(キングマンボ系=ミスプロ系)が長距離レースを苦手としていることでも分かるだろう。

あまり得意な条件ではないだけに、大健闘の4着だった。

5着 アルバート

同じくアドマイヤドン産駒のアルバートは中段から我慢の競馬をした。スムーズな競馬ではあったが、なかなか内に入れられず、アドマイヤデウスと比較しても距離をロスしていた感は否めない。

また、なかなか反応が鈍いタイプのため、4コーナーの仕掛け時に置いていかれてしまった。

もっとも、内をつけるような器用なタイプではないし、血統的な欠点もあったため、こちらも力を出し切っての5着だったといえるだろう。

6着 ディーマジェスティ

スタートで出負けしてポジションを悪くし、内に入れずに終始大外を回して距離をロス……というチグハグな競馬になってしまった。直線の入り口では伸びてきたため、一瞬「おっ」と思わせたが、残り200m付近で他の馬たちと脚色が同じになってしまった。

もっとも、あれだけ距離をロスしていて伸びてきたらそれこそ怪物級であるため、このレースぶりで止まるのは仕方なかった。むしろ健闘の6着といえるのではないだろうか。

セントライト記念以降、歯がゆい結果が続いているが、これは血統的な側面が大きそうだ。ディープインパクト産駒×ロベルト系の組み合わせはどうしても中央よりローカル的な条件を得意としている。タフな馬場、コーナー4回などの条件で巻き返しが期待される。

7着 ゴールドアクター

横山典弘騎手が「スタートで終わってしまった」と語ったように、残念なレースになってしまった。本来は先行してアドマイヤデウスのような競馬がしたかったはず。ずっと先行してきた馬が二桁番手につける時点で勝負にならなかった。

ノーカウントと捉えてOKだろう。

8着 トーセンバジル

枠順と脚質の問題でどうしてもロスの多い競馬になってしまった。4コーナーでは一瞬内をつこうとしたように見えたが、スペースがなくて諦めて……といった競馬だった。今回は相手が強かったし、キャラクターとしても「最後の直線で脚は使うけど、それまでのロスが……」というタイプのため、これ以上はどうしようもなかったか。

9着 シャケトラ

スタート、やや出負けしたが、盛り返して好位置を取った。ただ、終始田辺裕信騎手と喧嘩し、行きたがってしまった。2週目の3、4コーナーではほとんど手応えなく、3強の叩き合いを後方で眺めていた。

1枠1番という最高の枠を引いたこともあって人気になっていたが、さすがに初のGIでは荷が重すぎた。

10着 ファタモルガーナ

枠順を利して一発を狙ったが、厳しかった。さすがに力が足りなかったし、高速馬場も向かなかった。

11着 ワンアンドオンリー

3番手につける積極的な競馬だったが、最後のコーナーでは手応えがなく、後退していった。

ワンアンドオンリーに関しては以下の記事で書いたが、3歳時の消耗がすべて。今後も厳しいだろう。

ダービー馬ワンアンドオンリーは古馬GIで勝てない?宝塚記念惨敗の真相を暴く

12着 レインボーライン

出遅れで最後方に待機し、一発を狙ったが、前の3頭が強すぎた。最内をつけば幾分か着順を上げられただろうが、スペースがなく厳しかった。

13着 タマモベストプレイ

力負け。

14着 スピリッツミノル

力負け。

15着 ヤマカツライデン

レコードタイムを演出する良い逃げをうってくれた。積極的なレース運び、名勝負の演出という意味で、感謝したい。

16着 プロレタリアト

力負け。

17着 ラブラドライト

力負け。


キタサンブラックの血統や次走は?歴史的名馬は凱旋門賞へ向かうのか?


ディープインパクトのレコードを更新する驚愕の決着――。

競馬史に、また名レースが一つ刻まれた。

4月30日に京都競馬場で行われた天皇賞春(GI/芝外回り3200m)で、1番人気のブラックタイド産駒キタサンブラック(牡5)が、3番人気シュヴァルグラン(牡5)、2番人気のサトノダイヤモンド(牡4)を押さえて勝利した。

キタサンブラックの血統や将来性はどういったものなのだろうか? 徹底的に検証していこう。


プロフィール〜血統・誕生日・馬主・調教師・生産者〜

ブラックタイド
シュガーハート
母の父サクラバクシンオー
母の母オトメゴコロ
性別
馬齢5歳
生年月日2012年3月10日
毛色鹿毛
馬主(有)大野商事
調教師清水久詞(栗東)
生産牧場ヤナガワ牧場
産地日高町
馬名意味冠名+父名の一部

血統評価は?

もはや血統の話をするのは野暮な話だ。

ただし、この馬の凄さを再認識するためにも、改めて振り返ってみよう。

キタサンブラックは父ブラックタイド、母シュガーハート、母父サクラバクシンオーという血統だ。

ブラックタイドは現役時代、基本的には2000m以下のレースで活躍していた。全弟ディープインパクトということで素質があったことは間違いないが、あまり長距離に向いた血統というわけではない。ディープインパクト産駒にしても、3000m以上のレースでは苦戦している。

また母系を見ると、さらに長距離GIに向いた血統ではないという印象は濃くなる。サクラバクシンオーはスプリンターだし、母母父のジャッジアンジェルーチは米国のダート血統である。スタミナに長けた血統背景があるわけではない。


にもかかわらず、天皇賞春を連覇してしまうのだから恐れ入る。ひとえにこの馬の強さゆえの勝利、と言っていいだろう。このレベルの馬になると、血統や条件が合う合わないはあまり意味をなさなくなってしまう。

歴史的名馬が、素晴らしいライバルたちとともに最高のレースを作り上げた。

もうその結論だけあれば、十分ではないだろうか。

次走は?

キタサンブラックは3月の段階で大阪杯、天皇賞春、そして宝塚記念というローテーションを組むことが明言されている。よって、当然のことながら宝塚記念に向かうことになるだろう。

ただし、もう“その先”を見てもいいのではないか。国内最強はここ2走で証明した。であれば、世界を見据えてもいいのではないだろうか。

宝塚記念を使うと、その後のローテーションが組みにくくなる。休みを初夏まで伸ばすと、休養が十分に取れないからだ。しかも天皇賞は上位人気3頭が叩き合い、レコードタイムで決着した。シュヴァルグランとサトノダイヤモンドも含めてダメージが残っている可能性は高い。

本当に“日本競馬の悲願”と言える凱旋門賞制覇を目指すのであれば「勇気ある休養」も選択肢に入れていいのではないだろうか。


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