ディープインパクトのレコードを更新する驚愕の決着――。

競馬史に、また名レースが一つ刻まれた。

4月30日に京都競馬場で行われた天皇賞春(GI/芝外回り3200m)で、1番人気のブラックタイド産駒キタサンブラック(牡5)が、3番人気シュヴァルグラン(牡5)、2番人気のサトノダイヤモンド(牡4)を押さえて勝利した。

キタサンブラックの血統や将来性はどういったものなのだろうか? 徹底的に検証していこう。


目次

プロフィール〜血統・誕生日・馬主・調教師・生産者〜

ブラックタイド
シュガーハート
母の父サクラバクシンオー
母の母オトメゴコロ
性別
馬齢5歳
生年月日2012年3月10日
毛色鹿毛
馬主(有)大野商事
調教師清水久詞(栗東)
生産牧場ヤナガワ牧場
産地日高町
馬名意味冠名+父名の一部

血統評価は?

もはや血統の話をするのは野暮な話だ。

ただし、この馬の凄さを再認識するためにも、改めて振り返ってみよう。

キタサンブラックは父ブラックタイド、母シュガーハート、母父サクラバクシンオーという血統だ。

ブラックタイドは現役時代、基本的には2000m以下のレースで活躍していた。全弟ディープインパクトということで素質があったことは間違いないが、あまり長距離に向いた血統というわけではない。ディープインパクト産駒にしても、3000m以上のレースでは苦戦している。

また母系を見ると、さらに長距離GIに向いた血統ではないという印象は濃くなる。サクラバクシンオーはスプリンターだし、母母父のジャッジアンジェルーチは米国のダート血統である。スタミナに長けた血統背景があるわけではない。

にもかかわらず、天皇賞春を連覇してしまうのだから恐れ入る。ひとえにこの馬の強さゆえの勝利、と言っていいだろう。このレベルの馬になると、血統や条件が合う合わないはあまり意味をなさなくなってしまう。

歴史的名馬が、素晴らしいライバルたちとともに最高のレースを作り上げた。

もうその結論だけあれば、十分ではないだろうか。

次走は?

キタサンブラックは3月の段階で大阪杯、天皇賞春、そして宝塚記念というローテーションを組むことが明言されている。よって、当然のことながら宝塚記念に向かうことになるだろう。

ただし、もう“その先”を見てもいいのではないか。国内最強はここ2走で証明した。であれば、世界を見据えてもいいのではないだろうか。

宝塚記念を使うと、その後のローテーションが組みにくくなる。休みを初夏まで伸ばすと、休養が十分に取れないからだ。しかも天皇賞は上位人気3頭が叩き合い、レコードタイムで決着した。シュヴァルグランとサトノダイヤモンドも含めてダメージが残っている可能性は高い。

本当に“日本競馬の悲願”と言える凱旋門賞制覇を目指すのであれば「勇気ある休養」も選択肢に入れていいのではないだろうか。

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