2018年10月14日、京都競馬場で秋華賞(GⅠ/芝2000m)が行われる。出走予定馬には、牝馬三冠を狙うアーモンドアイ、古馬相手に重賞を制したプリモシーン、上がり馬として力をつけたサラキアなどがいる。中でも注目はラッキーライラックだ。アーモンドアイに負け続け、秋華賞で何とか一矢を報いて三冠を阻止したい。
ラッキーライラックの前走はオークスだったが、アーモンドアイのよもやの先行に東京競馬場はどよめく。ラッキーライラックはアーモンドアイのすぐ近くでレースを進め、位置取りは万全だった。しかし、アーモンドアイはメンバー最速の上がり33秒2で後続を突き放す。ラッキーライラックはリリーノーブルやレッドサクヤと同じ33秒9の上がりで3着となった。2着から4着は位置取りの差だが、1着とは実力差か。
オークスから5か月近く経つが、ここが秋初戦となる。奇しくもアーモンドアイと同じだったが、その過程はアーモンドアイとは違い、不安が残る。ラッキーライラックにとっては不安ばかりが募るレースとなりそうだ。
目次
不安要素① オークスからのぶっつけ本番
基本的な秋華賞のローテはローズステークスか紫苑ステークスのトライアル戦を走るかクイーンステークスなど古馬牝馬路線で胸を貸してもらうか、条件戦を戦うかの三択と言っていい。残念なことにオークスからの直行組を含めた前走GⅠ組は過去10年で10頭いながら1頭も3着以内に入っていない。ましてラッキーライラックは中間でトラブルがあり、トライアル戦を使えなかった。
アーモンドアイはジャパンカップなどを視野に入れたローテではないかと言われている。秋華賞よりもジャパンカップ、仕上がりが完璧でなくても大丈夫という判断かもしれない。ところが、ラッキーライラックにそんな展望はない。カワカミプリンセスもオークスからのぶっつけ本番だったが勝利した。状況がラッキーライラックとは違う。完璧な流れならまだしも一頓挫明けは気になる。
不安要素② 鞍上が落馬で乗り替わり
これまですべてのレースにおいて石橋脩騎手が手綱を握った。オークスの負けで外国人騎手への乗り替わりの可能性も出てきたが、秋華賞も石橋脩騎手で行くはずだった。しかし、先週の東京のレースで前の馬が落馬し、それに巻き込まれる形で石橋脩騎手も落馬し骨折、秋華賞に乗れなくなってしまった。いわゆる代打に指名されたのは北村友一騎手である。
北村友一騎手は全国リーディングが今週の時点で6位、既にキャリアハイに到達し、記録更新中となっている。コンスタントに40勝や50勝を挙げてきたが、ようやく次のステージへ上がったと言える。しかし、GⅠでこれまでに連対経験が1度もない。3着が2回あるだけとなっている。人気馬に乗って出ていないという見方も出来るが、突然の代打に対応可能か。真価が問われるのは言うまでもない。
不安要素③ 血統的な不安
ラッキーライラックの母はライラックスアンドレースというアメリカで走っていた馬で一応GⅠ勝利もしている。ただ、これがオールウェザーでの勝利であり、8.5ハロン、1700メートルでの勝利が目立つ。マイルから1800メートルが守備範囲ではないか。父オルフェーヴルの産駒は芝2000メートルまでの勝ち星が異様に目立つ。これは少し引っかかる部分だ。
もちろんエポカドーロのように皐月賞を勝つ馬はいるが、母の適性的に2000メートルはやや長く、父もそこまでスタミナを子供たちに受け継がせている感じではない。まだ2世代目ということもあるのか、下級条件で甘んじる馬が多い。だからこそローズステークスでどこまでやれるかを見たかった。2400メートルでも何とかやれたから大丈夫という見方はできる。ただ、どうにも血統的なところで疑問が残る。
まとめ
嫌な材料が揃いすぎた感はあるが、2番人気に支持される可能性が高い。調教は万全のようだったが、レース間隔が開いたことはマイナスでしかない。まして打倒アーモンドアイを掲げ、枠順次第ではしんどい思いをするかもしれない。アーモンドアイに一頓挫があってラッキーライラックが順調だったらまだ分からないが、状況はむしろ厳しい。
そもそもラッキーライラックは京都の内回りのようなコースは生まれて初めてだ。幅の広いコースで直線も長いところが多かった。これもまた不安材料と言える。ただ前でレースを進める馬なので、それはどうとでもなるか。いずれにしても、乗り越えるべき壁は厚く高い。