サートゥルナーリアは不安要素を吹き飛ばしてクラシック制覇を果たせるのか?
2019年4月14日に牡馬クラシック第1戦の皐月賞(GI/芝2000m)が中山競馬場で行われる。予想を進めていく上で最も注目されるのが1番人気が予想されるサートゥルナーリアの扱いだ。
父ロードカナロア、母シーザリオ、兄にエピファネイアやリオンディーズを持つ超良血馬は昨年末のホープフルステークスを圧勝した。ここでも上位人気が確実視されている。
しかし、不安要素も指摘されている。中でも最大の要素が、ホープフルステークスからの休み明けという点だ。
■休み明けの不安を克服できるか?
皐月賞の歴史上、二ヶ月半以上の休み明けから勝利した馬はただの1頭もいない。
10週以上間隔が空いた馬の成績は記録がある限り(0−0−5−24)。連対した馬すらおらず、連対馬が必ず何らかのステップレースを使っていることが分かる。
なお、29頭の中にはサトノダイヤモンド(1番人気3着)、ジャングルポケット(2番人気3着)らも含まれている。
過去の例にならうと、サートゥルナーリアは3着が精一杯ということになる。過去の指標を元に評価を落とすファンも多くいるはずだ。
では、サートゥルナーリアはこのハンデを克服できる可能性はあるのだろうか?
■アーモンドアイやグランアレグリアも“例外”
いくつかサートゥルナーリアに有利な例を持ち出すなら、真っ先に思い浮かぶのがアーモンドアイだろう。
アーモンドアイは2番人気で昨年の桜花賞を制した。そしてステップレースにしたのはチューリップ賞でもフィリーズレビューでもクイーンカップでもなく、年明け間もないシンザン記念だった。
さらに今年の桜花賞でも朝日杯フューチュリティステークス以来の休み明けだったグランアレグリアがダノンファンタジーら、トライアルを使ってきた馬たちを一蹴した。
2年連続で“例外”が起きたというのは、サートゥルナーリアにとって追い風だろう。
しかも単に例外が偶然起きたというわけではない。
偶然が2年連続で起きたのなら、もはやそれは必然と捉えるべきだろう。
というのも、アーモンドアイとグランアレグリアはいずれもノーザンファーム生産馬だ。馬は違えど牧場が同じ。ということは、ノウハウが蓄積されていることは言うまでもない。
そしてサートゥルナーリアは2頭と同じノーザンファーム生産馬である。
牡馬と牝馬、皐月賞と桜花賞という違いがあるとはいえ、前例のないローテーションというデータを覆すには十分な“証拠”ということができる。
■血統面も休み明けは◎
さらにサートゥルナーリアの血統面を見ると、休み明けが苦手でないことが分かる。
もともとロードカナロアはレース間隔を空けながら結果を残してきた。休み明けが苦になることはない。
実際、産駒の成績を見ても休み明けの成績は良好だ。
代表産駒のアーモンドアイも間隔をあけたほうがいいタイプというのは有名な話だろう。他にもステルヴィオの休み明けの成績は(2−2−1−0)と一度も馬券圏内から外れていない。ダノンスマッシュも休み明けの京阪杯を勝っている。
さらに加えるならサートゥルナーリアも、2、3戦目は2カ月以上間隔が空いた中で結果を残している。久々を苦にするとは考えづらい。
要するに、サートゥルナーリアは“消しデータ”を覆して好走するだけの要素を持っているわけだ。
■ダービー狙いは確実。血統的にも……
もっとも、他にも不安要素はある。
例えば陣営が設定している目標がそうだ。
サートゥルナーリアの最大目標は日本ダービーである。
つまり、皐月賞は事実上の“たたき台”ということになる。もちろん勝つつもりで出走するだろうが、ダービーの状態が「100」だとしたら皐月賞は幾分か落ちた状態での出走になるはずだ。
また、血統的にも“ダービー向き”が見え隠れする。
母のシーザリオは中山、東京ともに結果を残しているが、タイプとしては東京向きと考えられる。その父スペシャルウィークが皐月賞で3着となり、ダービーで圧巻のパフォーマンスを披露したことからも明らかだろう。
兄のエピファネイアにしても弥生賞、皐月賞、そして有馬記念で勝つことはできなかった。
全く適正がないわけではないが、一方で適正が高いという判断もし辛い。
要するにローテーションを覆せるポテンシャルは十分にあるが、「皐月賞よりダービー向き」と判断できる要素が複数あるわけだ。
果たしてサートゥルナーリアは皐月賞を制すことができるのか?
“敗れる要素”は複数ある。しかし一方で新たな歴史の幕開けを目のあたりにする可能性もまた、十分にあるわけだ。