2017年11月12日、京都競馬場でエリザベス女王杯(GI/芝2200m)が行われる。
過去10年の傾向から3歳馬が優勢(1着4回2着4回3着3回)となっているが、今年は秋華賞の1着馬ディアドラ、2着馬リスグラシュー、3着馬モズカッチャンの上位3頭が揃って出走を予定している。
その中で、ここではおそらく人気を落とすであろうモズカッチャンにフォーカスする。古馬を交えた女王決定戦で相手は強くなる一方、激走への可能性を示唆する要素が数多くあるのだ。
目次
期待① 前走の敗因
前走、10月15日に京都競馬場芝2000メートルで行われた、3歳牝馬限定GⅠ最終戦秋華賞で3着に敗れたが、レース後に1、2コーナーの間で右前を落鉄したのが大きな原因であることがわかっている。
秋華賞は今回で22回の開催だったが、今回ははじめての道悪・重馬場での開催であった。
その中でレースの半分以上の距離を落鉄した状態で走り、本来の走りができなくても3着に入ることからも、万全の体制で出走すれば十分巻き返しが期待できるところである。
期待② 絶好調の鞍上
モズカッチャンの鞍上は秋競馬初戦の2走前GⅡローズステークスから絶好調のミルコ・デムーロ騎手である。
M.デムーロ騎手は秋のG1だけでもスプリンターズステークスをレッドファルクスで連覇、まさに死闘とも言える不良馬場で行われた菊花賞をキセキで勝利している。
今年のJRAでの勝利数はルメール騎手164勝、戸崎騎手152勝に次ぐリーディング3位となる150勝に既に到達、4位の福永騎手が99勝と50勝の差があることからもまさに3強の状態。
今年の重賞は既に自己最多となる15勝でルメール騎手とは13勝で競っているものの、エリザベス女王杯に騎乗予定のない戸崎騎手はGⅢのみ4勝と大きく差をつけている。
また、京都競馬場の芝コースは今年ここまで84回騎乗して1着18回2着17回3着10回、勝率21.4%、複勝率53.6%と高アベレージを維持している。
さらに、エリザベス女王杯は昨年クイーンズリングで制覇しているなど、まさに向かう所敵なしの好条件が揃った状態となっている。
期待③ 心強い継続騎乗
継続騎乗している馬が好成績を残している傾向があるエリザベス女王杯ではあるが、今年はとにかく乗り替わりが多くなりそうである。
ディアドラ ルメール→岩田 ※ルメールはヴィブロス騎乗
リスグラシュー 武豊→福永
ルージュバック 北村宏→ムーア
クイーンズリング M.デムーロ→C.デムーロ ※M.デムーロはモズカッチャン騎乗
クロコスミア 岩田→和田 ※岩田はディアドラ騎乗
トーセンビクトリー 福永→アッゼニ ※福永はリスグラシューに騎乗
スマートレイアー 武豊→川田
過去10年で前走からの乗り替わり馬の成績はのべ66頭中1着1回2着2回3着2回となっていて、馬券で狙う馬を絞る条件としては十分すぎるほど悪い成績となっている。
期待④ 悪くない血統の相性
ハービンジャー産駒であるモズカッチャン。
ハービンジャー産駒は芝の中距離が最も好成績を残している。京都の重賞成績も悪くない。
京都の芝重賞で10番人気以内に支持されたハービンジャー産駒の成績を見てみると……
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着別度数 勝率 複勝率 単回値 複回値
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2- 3- 3-10/18 11.1% 44.4% 68 118
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※3000m以上の特殊距離は除外
高い好走率を誇っている。実際、秋華賞でもハービンジャー産駒のワンツーフィニッシュだったし、その一週前の京都大賞典ではトーセンバジルが6番人気ながら2着に食い込んできている。
ハービンジャー産駒にとって、京都の中距離重賞は悪い条件ではないのだ。
まとめ
今年だけで既に8回目の出走となり、疲労も心配されるところだが、調教に騎乗した鮫島一歩厩舎の野田助手からは大きなダメージもなく秋3走目でむしろよくなっていてデキは申し分ないとのコメントも出ている。
オークス2着、秋華賞3着とディアドラやリスグラシューと比較しても引けを取らない実績を積み重ねてきたモズカッチャン。
オークス2着から秋初戦ローズステークス時に和田騎手からM.デムーロ騎手に乗り替わった際、一部に波紋を広げたが、その判断がここにきて好走への布石になるかもしれない……というわけだ。