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2強に割って入る――。

2018年5月20日、東京競馬場でオークス(GⅠ/芝2400m)が行われる。2強を構成するアーモンドアイとラッキーライラックはもちろん、リリーノーブルやマウレアなども出走を予定している。そんな中、別路線で一番有力視されているのがサトノワルキューレだ。

前走はフローラステークスだったが、4コーナーで14番手にいながら33秒4という末脚を見せつけて粘りこみを図るパイオニアバイオなどを差し切った。前半1000メートルが61秒と決して後ろの組にいい流れではなかったにもかかわらず、差し切って見せたのはかなり大きい。フローラステークス組はここ最近健闘を見せるなど、桜花賞組に割って入ることは十分に可能だ。

サトノワルキューレにとっては初めての同世代の一線級と対戦である。両雄並び立たずという言葉があるように、2強ムードの時ほど何かの馬が割って入るというのは勝負事ではよくある話だ。その一頭になるか、むしろ割って入るのではなく、2強を先行することになる可能性も十分に考えられる。サトノワルキューレが持ち合わせる強みを掘り下げる。


強み① 距離の不安がない

ほとんどの牝馬にとってはオークスの舞台2400メートルは未知の距離である。能力でカバーする馬もいれば明らかな距離適性のなさで沈む馬もいる。ただサトノワルキューレの場合はその心配がない。なぜなら、2400メートルで行われたゆきやなぎ賞に勝利し、距離適性があることを証明しているからだ。

ちなみにゆきやなぎ賞は阪神外回り2400メートルというタフなコースで行われる。菊花賞の前哨戦でもある神戸新聞杯と同じ舞台だ。しかも今年の勝ちタイム2分27秒0は2400メートルでゆきやなぎ賞が開催されるようになった2009年以降で最速タイムである。少頭数で行われやすく、神戸新聞杯でも少頭数なら2分28秒3というタイムもある。ちなみにこの時の勝ち馬はこの後に牡馬三冠を達成するオルフェーヴルだ。

牝馬が上々の勝ちタイムで2400メートルを駆け抜けたという事実だけでも十分な買い材料、強みと言える。

強み② フローラステークスの勝ち方

フローラステークスでは4コーナーで14番手にいながら最後は上がり3ハロンのタイム33秒4の脚を使って差し切った。この勝ち方はオークスに直結する勝ち方だった。同じ東京コースでもマイル戦などは前目で粘りこみを図る馬が意外と残りやすく、上がり最速のタイムでは差し届かないことがある。しかし距離が長くなると、たとえ後方にいても上がり最速のタイムをマークすれば差し切ることは可能だ。

特にオークスのようにほとんどの馬が距離適性が分からぬまま出走しているケースでは、直線一気の末脚が炸裂しやすい。フローラステークスの勝ち方は仮想オークスの乗り方としてほぼ満点に近いものだったと言える。アーモンドアイという強力なライバル、同型馬がいるが、末脚だけ見れば互角の可能性が高い。一緒に走っていないからこそ、能力がどちらが上回っているか調べようがない。ちなみにフローラステークスの勝ちタイムも2001年以降に行われた中では最速タイムだ。

強み③ デムーロ騎手が騎乗

サトノワルキューレはここまですべてのレースにミルコ・デムーロ騎手が騎乗している。実はデムーロ騎手、今年はさほど牝馬クラシック競走に絡んでいない。桜花賞はレッドレグナントに騎乗したが惨敗している。デムーロ騎手自体は全く調子落ちをしておらず、リーディング1位だ。ここに来てようやく本格的な馬に乗ることができた。この事実はとても大きい。

デムーロ騎手が素晴らしいのは思い切りの良さにある。ペースが遅いと分かれば果敢に動く。2011年のドバイワールドカップでペースが遅いとわかるやヴィクトワールピサを後方から押し上げて、見事に勝利を収めた。アーモンドアイが強いことは分かっており、それを負かしに行く乗り方をする可能性がある。

もちろん、これだけの武器を持つ馬なので無理に動く必要もない。それでも、勝利のためなら最善を尽くすデムーロ騎手なら勝負に出てもおかしくない。勝ちにこだわる騎乗ができる。そこが日本の騎手とは違う点だ。

まとめ

サトノワルキューレを含めた3頭で人気を分け合うのではないかという説も有力だが、それでも2強で分け合い、3番手をサトノワルキューレが追いかける展開になりそうだ。目標は明確であり、前目に有力馬がいるので牽制も起こりにくい。純粋なスパート勝負になる可能性は高い。

ラッキーライラックが楽に先行しそのまま押し切る展開はサトノワルキューレもアーモンドアイも何もしないまま終わるようなものだ。それをルメール騎手とデムーロ騎手が許すだろうか。枠順次第だが、無理に内に突っ込む必然性はない。あとは馬体重などそのあたりがどうなるかだ。

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