未来の主役へ――。
2018年2月11日、東京競馬場で共同通信杯(GⅢ/芝1800m)が行われる。クラシックに向けて賞金を加算しておきたい馬達が多く出走してくるレースであるが、近年では弥生賞などのトライアルには向かわずここを勝って皐月賞へと直行するケースが増えている。
近年では好走した馬が後にGⅠで活躍することが多く、2012年はゴールドシップ(1着)ディープブリランテ(2着)スピルバーグ(3着)、2014年はイスラボニータ(1着)サトノアラジン(3着)、2015年はリアルスティール(1着)、ドゥラメンテ(2着)、2016年はディーマジェスティ(1着)が後にGⅠを制している。今年そんな偉大な先輩達の仲間入りが期待されるのが、前走で後にGⅠホープフルSを制するタイムフライヤーをゴール寸前鮮やかに差しきったグレイルだ。
果たしてグレイルはここで好走し偉大なる先輩達に続くことが出来るのか?過去のデータから紐解いていこう。
目次
根拠① 安定した成績
共同通信杯の過去10年のデータを見るとJRAでの連対率が80%以上かどうかで成績の良し悪しがはっきりと分かれている。
過去10年の連対率別の成績を見ていこう。
連対率 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
80%以上 | 8- 4- 3- 21/36 | 22.2% | 33.3% | 41.7% |
80%未満 | 2- 6- 7- 74/89 | 2.2% | 9.0% | 16.9% |
集計期間:2008年~2017年
連対率が80%未満でも勝ち馬がいるように全く勝負にならないわけではない。しかし、成績の差は明白であり、素質馬が多く揃う共同通信杯では過去のレースで安定した成績を残せているかどうかというのが重要な要素である。グレイルは現在2戦2勝であり、当然この条件に当てはまっており好勝負が期待出来るといえる。
根拠② ハンデ
共同通信杯は多くの馬が56kgで出走するが、すでに重賞を制している馬は57kgで出走し1kgのハンデがある。すでに実績を残しているので当然ともいえるがクラシックでは全馬同斤量で出走するのでこのハンデは気になるはずだ。
過去10年の斤量別の成績を見ていこう。
斤量 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
54kg | 0- 0- 0- 3/3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
56kg | 8- 9- 10- 82/109 | 7.3% | 15.6% | 24.8% |
57kg | 2- 1- 0- 10/13 | 15.4% | 23.1% | 23.1% |
集計期間:2008年~2017年
意外にもハンデを背負っている馬の成績は良い。ハンデを背負っているということは他馬よりも実績が抜けているということでもあり、やはり実力的にも一歩抜けているということだ。57kgを背負うとはいえグレイルには不安な材料にはならないだろう。
根拠③ 先行馬
東京の長い直線ということもあり、差し追込馬でも結果が出ると思われがちだが実際には先行馬が有利であり、良いポジションでレースを運べるだけあって一番安定した成績を残している。
過去10年の脚質別の成績を見ていこう。
脚質 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
逃げ | 0- 1- 1- 9/11 | 0.0% | 9.1% | 18.2% |
先行 | 6- 5- 5- 19/35 | 17.1% | 31.4% | 45.7% |
差し | 2- 4- 2- 34/42 | 4.8% | 5.6% | 11.1% |
追込 | 2- 0- 2- 32/36 | 5.6% | 5.6% | 11.1% |
集計期間:2008年~2017年
先行馬の成績がずば抜けて良いことがわかる。特に複勝率は50%に迫る数値であり、いかに良いポジションでレース出来るかが重要といえる。
グレイルは3~4角での位置が新馬戦では3‐2、京都2歳Sでは4‐4というように先行していながらどちらも上がり3ハロン最速を記録していて全くスキが見られない。今回初の遠征であり、たとえ勝てなくともデータが裏付けるように大きく崩れるとは想像しづらい。
まとめ
いかがだっただろうか? 今回は初の遠征、ハンデなど試練が待ち受けているがデータの裏付けもしっかりしており勝ち負け必至といえる。
この試練を乗り越えた先に栄光のクラシックロード、はたまた古馬GⅠといった大舞台の頂が見えるだろう。グレイルが偉大な先輩達に続くことが出来るのか? 栄光の未来を掴み取るためにもここで足踏みは出来ない。