2018年5月12日、東京競馬場で京王杯SC(GⅡ/芝1400m)が行われる。サトノアレス、グレーターロンドン、ダンスディレクター、キャンベルジュニア、ウインガニオン、ダイメイフジ、シュウジらが出走するが、どんなレースが展開されるのか?台頭する可能性を秘めた伏兵とは?
春のマイル王決定戦GⅠ・安田記念に向けて長きにわたって、この時期に行われている重要なステップレースとなっているのが京王杯SCだ。
ただし、京王杯SCの勝馬が安田記念で勝った例は過去10回では1回もなく2011年勝馬ストロングリターンが安田記念2着、昨年2017年勝馬レッドファルクスが安田記念3着に終わっている。
逆に2012年はストロングリターンが京王杯SC4着から安田記念を制覇、昨年2017年は京王杯SCで単勝1番人気9着だったサトノアラジンが安田記念では単勝7番人気の低評価を覆して制覇という結果となった。
なお、京王杯SC出走馬で次走が安田記念だった馬は過去10年で延べ39頭いるが1着2回2着3回3着2回という結果となっている。
配当傾向を見てみると単勝1番人気の成績がすこぶる悪く2000年以降の18回でも1勝3着2回となっていて、三連単は2005年の発売開始以降すべて万馬券、特に2012年は単勝4番人気→11番人気→13番人気の組み合わせで1,794,700円と高額配当になっている。
2018年も従来の傾向通りの荒れた決着となるのか、一転して人気サイドの決着となるのか。
今回は過去10年の京王杯SCの結果を元としてデータ分析するが、特に過去の穴馬の共通項から激走馬を探っていく。
過去10年の該当馬(2008年以降・単勝6番人気以下で3着以内)
| 年 | 着順 | 馬名 |
|---|---|---|
| 2017 | 2 | クラレント |
| 2016 | 2 | サンライズメジャー |
| 2015 | 3 | オメガヴェンデッタ |
| 2014 | 1 | レッドスパーダ |
| 2014 | 3 | エールブリーズ |
| 2013 | 3 | ガルボ |
| 2012 | 2 | レオプライム |
| 2012 | 3 | インプレスウィナー |
| 2010 | 1 | サンクスノート |
| 2009 | 1 | スズカコーズウェイ |
| 2008 | 2 | キストゥヘヴン |
注目点① 人気薄は人気に関係なく検討を
該当馬のリストを見てもわかるように、過去10年で馬券圏内に入った延べ30頭のうち単勝6番人気以下が11頭と4割近い割合となっていて高配当を裏付ける結果となっている。
しかも、過去10年の内2011年を除いて毎年1頭はリストアップされていて積極的に人気薄を狙うことも考えなければならない。
なお、今回の該当馬を人気別や単勝オッズで見ると、高配当になる場合の人気を気にする必要はないものの単勝万馬券になるような極端な人気薄を狙うのは得策でないことがわかる。
人気別集計 京王杯SC 過去10年
| 人気 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|
| 1番人気 | 1- 0- 1- 8/ 10 | 10.0% | 20.0% |
| 2番人気 | 2- 2- 3- 3/ 10 | 20.0% | 70.0% |
| 3番人気 | 1- 2- 1- 6/ 10 | 10.0% | 40.0% |
| 4番人気 | 2- 0- 1- 7/ 10 | 20.0% | 30.0% |
| 5番人気 | 1- 2- 0- 7/ 10 | 10.0% | 30.0% |
| 6番人気 | 0- 1- 1- 8/ 10 | 0.0% | 20.0% |
| 7番人気 | 0- 1- 2- 7/ 10 | 0.0% | 30.0% |
| 8番人気 | 1- 0- 0- 9/ 10 | 10.0% | 10.0% |
| 9番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% |
| 10番人気 | 2- 0- 0- 8/ 10 | 20.0% | 20.0% |
| 11番人気 | 0- 2- 0- 8/ 10 | 0.0% | 20.0% |
| 12番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% |
| 13番人気 | 0- 0- 1- 9/ 10 | 0.0% | 10.0% |
| 14番人気 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% |
| 15番人気 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% |
| 16番人気 | 0- 0- 0- 7/ 7 | 0.0% | 0.0% |
| 17番人気 | 0- 0- 0- 6/ 6 | 0.0% | 0.0% |
| 18番人気 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% |
集計期間:2008年 ~ 2017年
| 年 | 馬名 | 人気 | 単勝オッズ |
|---|---|---|---|
| 2017 | クラレント | 11 | 50.4 |
| 2016 | サンライズメジャー | 7 | 19.9 |
| 2015 | オメガヴェンデッタ | 7 | 18.6 |
| 2014 | レッドスパーダ | 10 | 38.4 |
| 2014 | エールブリーズ | 7 | 15.5 |
| 2013 | ガルボ | 6 | 13.8 |
| 2012 | レオプライム | 11 | 41.2 |
| 2012 | インプレスウィナー | 13 | 64.4 |
| 2010 | サンクスノート | 10 | 39.8 |
| 2009 | スズカコーズウェイ | 8 | 14.3 |
| 2008 | キストゥヘヴン | 6 | 25.7 |
注目点② 母父・ニアークティック系かロイヤルチャージャー系に注目
過去10年単勝6番人気以下で3着以内に入った11頭すべての母父馬がニアークティック系かロイヤルチャージャー系の種牡馬となっている。
ニアークティック系の種牡馬にはトランセンドやクロフネ、ダンシングブレーヴなどがいて、どちらかと言うと「ダート」「中距離」が得意分野だが、芝でのレースではあるものの中距離適性で結果を出せている。
また、ロイヤルチャージャー系といえば、サンデーサイレンスやディープインパクトに代表されるように現在の日本種牡馬界の王道とも言える血統であり、京王杯SCは最適のレース条件と言うことができる。
母父馬系統別集計 京王杯SC 過去10年
| 母父系統馬 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|
| ニアークティック系 | 4- 5- 5-46/60 | 6.7% | 23.3% |
| ロイヤルチャージャー系 | 3- 3- 3-37/46 | 6.5% | 19.6% |
| ネイティヴダンサー系 | 2- 1- 1-22/26 | 7.7% | 15.4% |
| セントサイモン系 | 1- 0- 0- 4/ 5 | 20.0% | 20.0% |
| ナスルーラ系 | 0- 1- 1-21/23 | 0.0% | 8.7% |
| マンノウォー系 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% |
| その他のエクリプス系 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% |
集計期間:2008年 ~ 2017年
ソート:着別度数順
| 馬名 | 母父系統 | 種牡馬 |
|---|---|---|
| クラレント | ニアークティック系 | ダンシングブレーヴ |
| サンライズメジャー | ニアークティック系 | Deputy Minister |
| オメガヴェンデッタ | ニアークティック系 | ホワイトマズル |
| レッドスパーダ | ニアークティック系 | Storm Cat |
| エールブリーズ | ニアークティック系 | Caerleon |
| ガルボ | ニアークティック系 | ジェネラス |
| レオプライム | ロイヤルチャージャー系 | サンデーサイレンス |
| インプレスウィナー | ロイヤルチャージャー系 | ブライアンズタイム |
| サンクスノート | ロイヤルチャージャー系 | Halo |
| スズカコーズウェイ | ニアークティック系 | French Deputy |
| キストゥヘヴン | ニアークティック系 | ノーザンテースト |
注目点③ 前走は中団か後方待機馬が活躍!
過去10年単勝6番人気以下で3着以内に入った11頭中8頭が前走で中団か後方待機からのレースをしていた。
東京競馬場は直線が長いこともあって、芝の状態などの要因の影響はあるものの小回りの競馬場と異なり、中団や後方待機馬にもチャンスは多く、逃げ馬を目標に見ながらレースを進めることができる中団・後方待機馬が京王杯SCでは好走できている。
前走脚質別集計 京王杯SC 過去10年
| 前走脚質 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|
| 逃げ | 0- 3- 0- 3/ 6 | 0.0% | 50.0% |
| 先行 | 0- 2- 3- 33/ 38 | 0.0% | 13.2% |
| 中団 | 9- 3- 4- 58/ 74 | 12.2% | 21.6% |
| 後方 | 1- 2- 3- 38/ 44 | 2.3% | 13.6% |
集計期間:2008年 ~ 2017年
| 馬名 | 前走脚質 |
|---|---|
| クラレント | 逃げ |
| サンライズメジャー | 逃げ |
| オメガヴェンデッタ | 中団 |
| レッドスパーダ | 中団 |
| エールブリーズ | 後方 |
| ガルボ | 先行 |
| レオプライム | 後方 |
| インプレスウィナー | 中団 |
| サンクスノート | 中団 |
| スズカコーズウェイ | 中団 |
| キストゥヘヴン | 後方 |
注目点④ 前走は1400m~1600mに出走
前走の距離から見た時に、今回の該当馬11頭中10頭が前走でマイル戦か1400m戦を使われていた。
マイル前後の距離から挑戦する馬も多い中で、他馬との比較で人気を落としていてもマイル適性のある馬が活躍できていることがわかる。
前走距離別集計 京王杯SC 過去10年
| 前走距離 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|
| 1200m | 4- 2- 4- 51/ 61 | 6.6% | 16.4% |
| 1400m | 1- 2- 2- 19/ 24 | 4.2% | 20.8% |
| 1600m | 4- 6- 4- 59/ 73 | 5.5% | 19.2% |
| 1800m | 1- 0- 0- 4/ 5 | 20.0% | 20.0% |
| 2000m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% |
集計期間:2008年 ~ 2017年
| 馬名 | 前走距離 |
|---|---|
| クラレント | 1600 |
| サンライズメジャー | 1600 |
| オメガヴェンデッタ | 1600 |
| レッドスパーダ | 1200 |
| エールブリーズ | 1600 |
| ガルボ | 1600 |
| レオプライム | 1400 |
| インプレスウィナー | 1400 |
| サンクスノート | 1400 |
| スズカコーズウェイ | 1600 |
| キストゥヘヴン | 1400 |
注目点⑤ 鞍上は関東の騎手
最後に、騎手の視点から注目点を探ると過去10回で単勝6番人気以下で3着以内に入った11頭中10頭の鞍上が関東の騎手となっている。
重賞レースであるので以前であれば継続騎乗するケースも多く、関西馬には関西の騎手が騎乗することが主流で、実際上位人気馬の場合は今でもその傾向は強い。
ただ、上位人気にはならなさそうで逆転を狙っているような馬は、近年では騎手の腕を見込んだり、開催競馬場に乗り慣れている騎手に依頼するケースが増えてきている。
騎手所属別集計 京王杯SC 過去10年
| 騎手所属 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|
| 美浦 | 6- 4- 6- 91/107 | 5.6% | 15.0% |
| 栗東 | 3- 6- 4- 38/ 51 | 5.9% | 25.5% |
| 地方 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% |
| 外国 | 1- 0- 0- 4/ 5 | 20.0% | 20.0% |
集計期間:2008年 ~ 2017年
調教師所属別集計 京王杯SC 過去10年
| 調教師分類 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|
| 美浦 | 5- 1- 5- 62/ 73 | 6.8% | 15.1% |
| 栗東 | 5- 9- 5- 72/ 91 | 5.5% | 20.9% |
集計期間:2008年 ~ 2017年
| 馬名 | 騎手 | 調教師 |
|---|---|---|
| アドマイヤリード | C.ルメー | 関西・須貝尚介 |
| デンコウアンジュ | 蛯名正義 | 関西・荒川義之 |
| ジュールポレール | 幸英明 | 関西・西園正都 |
| ストレイトガール | 戸崎圭太 | 関西・藤原英昭 |
| ケイアイエレガント | 吉田豊 | 関東・尾形充弘 |
| ミナレット | 江田照男 | 関東・大和田成 |
| ヴィルシーナ | 内田博幸 | 関西・友道康夫 |
| ストレイトガール | 岩田康誠 | 関西・藤原英昭 |
| ホエールキャプチャ | 蛯名正義 | 関東・田中清隆 |
| ドナウブルー | C.ウィリ | 関西・石坂正 |
| ヒカルアマランサス | 内田博幸 | 関西・池江泰郎 |
| ニシノブルームーン | 北村宏司 | 関東・鈴木伸尋 |
| ブラボーデイジー | 生野賢一 | 関西・音無秀孝 |
| ショウナンラノビア | 柴田善臣 | 関西・岡田稲男 |
まとめ
ここまでの5つの注目点から、人気薄で激走する可能性のある馬を選定すると次の1頭が該当する。
テオドール
なお、本原稿は特別登録の段階で執筆しているが、今年の京王杯SCの登録頭数は24頭(出走可能頭数18頭)となっていて賞金順により除外対象となっている馬が多数いるので注意が必要だ。
後は予想時点での単勝人気やオッズも確認の上、検討を加えていくのも、面白いのではないだろうか。

