2018年11月25日、東京競馬場でジャパンカップ(GⅠ/芝2400m)が行われる。
シュヴァルグランは昨年のジャパンCで、キタサンブラックやレイデオロを破る大金星を挙げた。昨年と同じ京都大賞典からのステップで、2012、13年のジェンティルドンナ以来となる史上2頭目の連覇に挑む。
一昨年のジャパンCでも3着と好走し、ハンデ58kgを背負ってアルゼンチン共和国杯を勝っており、東京は最も得意とするコース。今年も期待が高まるところだが、掘り下げていくと連覇に黄色信号を灯す2つの死角が見えてくる。
目次
不安① 6歳以上は大不振
ジャパンCの過去10年で、6歳以上は【0・0・2・45】と不振。2013年にエイシンフラッシュが3番人気で10着、2015年にゴールドシップが2番人気で10着など、上位人気で敗れた例もある。1981年の第1回から見ても、6歳以上で優勝したのは2003年のタップダンスシチー(6歳)のみ。同馬は重賞初制覇が5歳秋という晩成型だった。
シュヴァルグラン自身の走りも、昨年より精彩を欠いている。秋初戦の京都大賞典を叩いてジャパンCに臨むのは同じだが、昨年は後方から直線でもしっかりと伸びて0.1秒差の3着だったのに対して、今年は勝負どころで同じように上がっていったサトノダイモンドに突き放された上に、後方から差してきた馬にもかわされ、0.6秒差の4着。もともと叩いて良くなるタイプとはいえ、前哨戦は結果も内容も昨年よりかなり物足りなかった。
その後の調整過程を見ると、昨年の同時期より乗り込み量は多い。このレースにかける陣営の強い思いが感じられるが、裏を返せばそれだけ強い負荷をかける必要があるくらい、思うように調子が上がってこなかったということなのかも知れない。
不安② 昨年の再現は容易ではない
持久力勝負なら現役屈指の実力を誇る一方で、決め手勝負になると分が悪い。それはジャパンCの過去2年を比較してもわかる。一昨年は1000m通過が61秒7でレースの上がり3Fが34秒7。上がり3F34秒台前半を求められる流れで、差し届かずに3着だった。昨年は1000m通過が60秒2でレースの上がり3Fが35秒1。よりスタミナが問われるタフな流れになったことで、パフォーマンスのレベルを上げた。
その昨年はキタサンブラックという強力な逃げ馬が淀みのないペースをつくり、騎乗したヒュー・ボウマン騎手のファインプレーもあって得意の消耗戦に持ち込み、全てがうまくいったという面もあった。しかし、今年は強力な逃げ馬が不在。前走で逃げた馬は2頭いるが、キセキはもともと逃げ馬ではなく、ウインテンダネスは速いラップを刻むタイプではない。昨年のような展開を望むのは難しいだろう。
今年もボウマン騎手が騎乗予定だったが、オーストラリアで騎乗停止処分を受けてジャパンCでの騎乗が不可能になり、鞍上が白紙になったという経緯があった。流れもいいとは言えない。イタリアのトップジョッキーであるクリスチャン・デムーロ騎手に依頼できたのは幸いだったが、テン乗りでどう持ち味を引き出すか。
まとめ
年内での引退が発表されており、ラスト2走となるシュヴァルグラン。まずは相性のいい東京で、ディフェンディングチャンピオンとして力を示すことができるか。