今週は東京競馬場で牡馬クラシック第2戦の東京優駿・日本ダービー(GI/芝2400m)が行われる。
上位人気に支持されることが確実なのが、青葉賞を制したアドミラブル(牡3)だ。トライアルレースを圧勝したことで、本番での飛躍も期待されている。
しかし、アドミラブルがダービーを制するためには、いくつかの障害をクリアしなければならない。しかも、そのハードルは決して低くない。
今回はアドミラブルがダービーを制する上でパスしなければならない理由に迫っていこう。
目次
プロフィール〜血統・誕生日・馬主・調教師・生産者〜
父 | ディープインパクト |
---|---|
母 | スカーレット |
母の父 | シンボリクリスエス |
母の母 | グレースアドマイヤ |
性別 | 牡 |
馬齢 | 3歳 |
生年月日 | 2014年3月23日 |
毛色 | 鹿毛 |
馬主 | 近藤英子 |
調教師 | 音無秀孝(栗東) |
生産牧場 | ノーザンファーム |
産地 | 安平町 |
馬名意味 | 賞賛すべき、立派な |
競走成績
レース名 | 距離 | 馬場状態 | 着順 | 人気 |
---|---|---|---|---|
青葉賞G2 | 芝2400 | 良 | 1 | 1 |
アザレア500* | 芝2400 | 稍 | 1 | 1 |
未勝利 | 芝1800 | 良 | 1 | 2 |
新馬 | 芝1800 | 良 | 9 | 4 |
困難な理由その1 青葉賞馬のジンクス
まず最も有名なジンクスを挙げるとするなら“青葉賞馬の呪縛”だ。
青葉賞はダービートライアルとして知られているが、いまだかつてここからダービー馬は一頭も出ていない。
前走レース名 | 着別度数 |
---|---|
青葉賞G2 | 0- 5- 3- 38/ 46 |
勝率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
---|---|---|---|
0.0% | 17.4% | 0 | 87 |
2着が5回あるものの、制覇は一度もない。
シンボリクリスエス
ゼンノロブロイ
アドマイヤメイン
ウインバリアシオン
フェノーメノ
シンボリクリスエスとゼンノロブロイは年度代表馬、フェノーメノはGI2勝、ウインバリアシオンにしても同世代にオルフェーヴルがいなければGIを複数回勝っていてもおかしくないくらいの力を持っていた。
しかし、どの馬もダービーを勝つことができなかった。
3歳の若駒にとって、2400mは長い。青葉賞をステップにする場合、約1カ月の間に2回も2400mを走らなければならなくなる。となると、どうしても競走馬に負担がかかってきてしまう。
アドミラブルにとって、ローテーションが大きなネックになってきそうだ。
困難な理由その2 血統の壁①
アドミラブルは良血馬である。近親にいる馬たちを見てみると……
リンカーン
アンライバルド
ヴィクトリー
などなど、GI戦線で活躍した馬がいる。血統のスケール感としては申し分ない。
しかし、それでも血統面が懸念されるのは「配合が微妙」という点がはっきりしているからだ。
というのも、「ディープインパクト×母系ロベルト系」という組み合わせは大舞台で結果を残せない傾向にある。同じ配合の馬たちを見てみると……
ディーマジェスティ
ゼーヴィント
サトノラーゼン
ニューダイナスティ
モンドインテロ
ディーマジェスティが皐月賞を勝っているとはいえ、「大成功した」といえるほど活躍した馬はいない。サトノラーゼンがダービーで2着になっているが、全体的な傾向としては中央4場よりローカルの小回りコース、タフなレースを得意としている。
ディープインパクトは瞬発力が最大の武器だが、ロベルトの血が入るとどうしてもスピードが鈍ってしまう。よって、スピードよりスタミナが求められるレースで台頭する傾向があるのだ。
だが、ダービーは瞬発力が求められるレースである。よって、ディープインパクト×ロベルト系の配合馬に向くレースかというと、疑問符がつくのだ。
困難な理由その3 血統の壁②
しかもアドミラブルの場合、母父ロベルト系に加え、母母父にトニービンを持っている。そしてディープインパクト×トニービンの配合も、ロベルト系に負けず劣らず、活躍馬を出せていない。GIにおける成績を見てみると……
母父馬 | 着別度数 |
---|---|
トニービン | 0- 2- 1-12/15 |
母父馬 | 勝率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
---|---|---|---|---|
トニービン | 0.0% | 20.0% | 0 | 81 |
ディープインパクト×ロベルト系&トニービンという組み合わせは、考えられる上で最もGIで苦戦しそうな配合……と言えるわけだ。
まとめ
青葉賞でみせたパフォーマンスを見れば、アドミラブルが能力を秘めた馬であることは明らかだ。しかし、ダービーを制覇するために乗り越えなければいけないハードルは、低くないのである。
果たしてアドミラブルは今までの傾向を打ち破り、ディープインパクト産駒として快挙を成し遂げられるのか? その答えは5月28日に出る。