2018年3月18日、阪神競馬場で阪神大賞典(GⅡ/芝3000m)が行われる。クリンチャー、アルバート、レインボーライン、サトノクロニクル、カレンミロティック、ヤマカツライデンらが出走するが、どんなレースが展開されるのか?台頭する可能性を秘めた伏兵とは?
1987年に長距離王決定戦であるGⅠ・天皇賞(春)に直結するレースとして3月の阪神開催で行われるようになってから30年以上も経ち、すっかりこの時期の名物重賞として定着しているのが阪神大賞典だ。
競馬ファンの間でも記憶に残ることが多いレースとしても知られていて、古くは1996年のナリタブライアンとマヤノトップガンのデッドヒートから近年では2012年外へ逸走したのに2着に入ったオルフェーヴル など話題に事欠かないレースでもある。
もちろん、阪神大賞典に出走した馬は天皇賞(春)でも活躍することが多く、2015年以降は毎年1~3着に入った馬のうちの2頭は前走が阪神大賞典となっている。
配当傾向を過去10年で見てみると、直近5年で三連単の万馬券は1度もなく、単勝1番人気が5連勝と非常に堅く収まっているのに対して、その前の5年は三連単すべてが万馬券、単勝1番人気は5連敗と傾向が異なっている。
2018年はどのような決着となるだろうか。
今回は過去10年の阪神大賞典の結果を元としてデータ分析するが、特に過去の穴馬の共通項から激走馬を探っていく。
目次
過去10年の該当馬(2008年以降・単勝6番人気以下で3着以内)
年 | 着順 | 馬名 |
---|---|---|
2015 | 2 | デニムアンドルビー |
2011 | 3 | モンテクリスエス |
2009 | 2 | ヒカルカザブエ |
注目点① 人気薄は狙っても単勝6番人気か7番人気
該当馬のリストを見てもわかるように、過去10年で馬券圏内に入った延べ30頭のうち単勝6番人気以下が3頭と1割しかおらず、該当馬がいない年がほとんどとなっている。
しかも、人気別に見ると3頭すべてが単勝6番人気か7番人気となっていて人気薄を狙うこと自体が得策ではないこともわかる。
人気別集計 阪神大賞典 過去10年
人気 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
---|---|---|---|
1番人気 | 5- 2- 2- 1/ 10 | 50.0% | 90.0% |
2番人気 | 1- 1- 1- 7/ 10 | 10.0% | 30.0% |
3番人気 | 2- 1- 2- 5/ 10 | 20.0% | 50.0% |
4番人気 | 1- 2- 1- 6/ 10 | 10.0% | 40.0% |
5番人気 | 1- 2- 3- 4/ 10 | 10.0% | 60.0% |
6番人気 | 0- 1- 1- 8/ 10 | 0.0% | 20.0% |
7番人気 | 0- 1- 0- 9/ 10 | 0.0% | 10.0% |
8番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% |
9番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% |
10番人気 | 0- 0- 0- 8/ 8 | 0.0% | 0.0% |
11番人気 | 0- 0- 0- 6/ 6 | 0.0% | 0.0% |
12番人気 | 0- 0- 0- 5/ 5 | 0.0% | 0.0% |
13番人気 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% |
14番人気 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% |
集計期間:2008年 ~ 2017年
年 | 馬名 | 人気 | 単勝オッズ |
---|---|---|---|
2015 | デニムアンドルビー | 7 | 18.6 |
2011 | モンテクリスエス | 6 | 12.6 |
2009 | ヒカルカザブエ | 6 | 21.4 |
注目点② 人気薄は関西馬から
今回の対象馬3頭すべてが関西馬となっている。
GⅠ・天皇賞(春)に向けての関東のステップレースとしては翌週にGⅡ・日経賞も控えていることから関西馬の出走が多いことも影響しているが、たとえ関東馬が遠征したとしても人気を伴っていない場合には馬券圏外に敗れてしまっていることがわかる。
調教師所属別集計 阪神大賞典 過去10年
調教師分類 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
---|---|---|---|
美浦 | 0- 2- 0- 16/ 18 | 0.0% | 11.1% |
栗東 | 10- 8- 10- 66/ 94 | 10.6% | 29.8% |
地方 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% |
集計期間:2008年 ~ 2017年
馬名 | 所属厩舎 |
---|---|
デニムアンドルビー | 関西・角居勝彦 |
モンテクリスエス | 関西・松田国英 |
ヒカルカザブエ | 関西・岡田稲男 |
注目点③ 前走も長距離重賞
今回の該当馬3頭とも前走では長距離重賞を使われている。
中距離から挑戦する馬も多い中で、他馬との比較で人気を落としていても長距離適性のある馬が活躍できていることがわかる。
前走距離別集計 阪神大賞典 過去10年
前走平地距離 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
---|---|---|---|
1600m | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% |
1800m | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% |
2000m | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% |
2200m | 2- 1- 1-14/18 | 11.1% | 22.2% |
2400m | 3- 1- 5-19/28 | 10.7% | 32.1% |
2500m | 3- 5- 2- 6/16 | 18.8% | 62.5% |
2600m | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% |
3000m | 0- 1- 0- 4/ 5 | 0.0% | 20.0% |
3400m | 2- 2- 2-23/29 | 6.9% | 20.7% |
3600m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% |
集計期間:2008年 ~ 2017年
馬名 | レース名 | 距離 |
---|---|---|
デニムアンドルビー | GⅠ・有馬記念 | 2500m |
モンテクリスエス | GⅢ・ダイヤモンドS | 3400m |
ヒカルカザブエ | GⅡ・日経新春杯 | 2400m |
注目点④ 前走着差は1秒以内
過去10年単勝6番人気以下で3着以内に入った3頭すべてで前走1着馬との着差が1秒以内であった。
長距離重賞に出走していると着差が離れがちと考えがちの中で、1秒以内と大敗していないことが重要であることがわかる。
前走着差別集計 阪神大賞典 過去10年
前走着差 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
---|---|---|---|
勝0.6~0.9 | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% |
勝0.3~0.5 | 0- 1- 2- 1/ 4 | 0.0% | 75.0% |
勝0.1~0.2 | 1- 2- 0- 4/ 7 | 14.3% | 42.9% |
勝0.0 | 2- 1- 0- 4/ 7 | 28.6% | 42.9% |
負0.0 | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% |
負0.1~0.2 | 1- 0- 1- 5/ 7 | 14.3% | 28.6% |
負0.3~0.5 | 5- 2- 2-14/23 | 21.7% | 39.1% |
負0.6~0.9 | 0- 1- 2-18/21 | 0.0% | 14.3% |
負1.0~1.9 | 1- 2- 3-17/23 | 4.3% | 26.1% |
負2.0~2.9 | 0- 0- 0- 7/ 7 | 0.0% | 0.0% |
負3.0~3.9 | 0- 1- 0- 2/ 3 | 0.0% | 33.3% |
負4.0~ | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% |
集計期間:2008年 ~ 2017年
馬名 | 前走着差 |
---|---|
デニムアンドルビー | 0.4 |
モンテクリスエス | 0.9 |
ヒカルカザブエ | 0.9 |
注目点⑤ 前走は中団か後方脚質馬が活躍!
過去10年単勝6番人気以下で3着以内に入った3頭すべてが前走で中団か後方からのレースをしていた。
長距離重賞は騎手の駆け引きも重要な要素となっているが、逃げ先行馬をじっくり見ることができる中団や後方からの馬が阪神大賞典では好走できていることがわかる。
前走脚質別集計 阪神大賞典 過去10年
前走脚質 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
---|---|---|---|
逃げ | 0- 0- 1- 10/ 11 | 0.0% | 9.1% |
先行 | 4- 2- 3- 19/ 28 | 14.3% | 32.1% |
中団 | 5- 5- 5- 29/ 44 | 11.4% | 34.1% |
後方 | 0- 3- 1- 21/ 25 | 0.0% | 16.0% |
マクリ | 1- 0- 0- 2/ 3 | 33.3% | 33.3% |
集計期間:2008年 ~ 2017年
馬名 | 前走脚質 |
---|---|
デニムアンドルビー | 後方 |
モンテクリスエス | 中団 |
ヒカルカザブエ | 後方 |
まとめ
ここまでの5つの注目点から、人気薄で激走する可能性のある馬を選定すると次の1頭が該当する。
サトノクロニクル
ただし、堅い決着となることが多いことからも、大穴狙いは得策とはいえず、基本的には今回の該当馬を軸もしくは相手にして上位人気の馬との流しかフォーメーション馬券を検討すると良さそうだ。
また、本原稿は特別登録の段階で執筆しているため、仮に今回の該当馬が上位人気に支持されたり、出走回避した場合などは、人気薄が上位に食い込む可能性は低いと見て、素直に上位5番人気までの堅い決着を予想する方法もありそうだ。
後は予想時点での単勝人気やオッズも確認の上、検討を加えていくのも、面白いのではないだろうか。