2018年6月10日、東京競馬場でエプソムカップ(GⅢ/芝1800m)が行われる。グリュイエールは、もともとクラシック候補としても名前が挙がっていたほどの素質馬。2走前の名古屋城S(芝2200m)では、2.09.9という驚愕の日本レコードを叩き出し、ポテンシャルの高さを示した。
その後に両前脚の屈腱炎を発症し、長期休養を余儀なくされたが、約2年ぶりの実戦となった前走の府中Sを勝ち、オープンに再昇格。勢いに乗って重賞制覇を狙う。
前2走の内容からも、重賞のここでも注目を集める存在。果たして、3連勝はあるのか――。その可能性を探っていく。
目次
ポイント① 長休明けを激走した反動は?
先述の通り、前走は約2年ぶりの実戦で勝利。今回はひと叩きされた分の上積みが見込める一方で、休み明けで激走した反動や二走ボケなどの心配もある。
高い技術を持つ藤原英昭厩舎なら、しっかりと力を出せる状態に仕上げてくるだろうが、屈腱炎で長く休養していただけに、どうしても脚元を気にしながらの調整を強いられているはず。まずは前走からいい状態をキープできているかがカギになる。
ポイント② 高速馬場は味方するか?
先週の安田記念がコースレコードタイの1.31.3で決着したように、今の東京はかなり速いタイムが出ている。芝2200mの日本レコードを保持しているグリュイエールにとって、今の馬場は歓迎だろう。
ただ、高速馬場の適性は申し分ないが、あまり時計が速くなりすぎると、脚に負担がかかり、走りに影響を与えないかという不安もある。
また、東京では週中に雨が降り、日曜も午後に雨の予報が出ている。馬場が渋れば脚への負担は軽減されそうだが、逆に今度は道悪の適性が疑問になる。良馬場以外では、稍重で1回走って3着。うまく力を出せる馬場状態になるか。
ポイント③ 昇級初戦と折り合い
もともと折り合いの難しさがあるタイプで、前走も道中で何度も行きたがる仕草を見せていた。前2走の時計から判断しても、重賞でも十分に通用する裏付けはあるが、今回はメンバーが大幅に強化されるだけに、折り合いを欠いたり、レースに集中し切れなかったりするようだと、厳しいかも知れない。
エプソムCはGⅠの谷間の重賞ながら、例年メンバーの質が高く、重賞実績のある馬が強い。サンプル数は多くないものの、過去10年で昇級初戦だった馬は【0・2・0・5】。データは昇級馬に向かい風となっている。
また、距離短縮で折り合いの不安は軽減されそうだが、芝1800mは【0・0・0・4】。4戦はいずれも重賞で、本格化する前のものだとは言え、結果が出ていないのは気になるところだ。
まとめ
父ディープインパクト×母父キングカメハメハの配合は、今年のダービーを制したワグネリアンと同じ。さらに、オーナーが金子真人HD、鞍上が福永祐一騎手という点も共通している。遅れてきた大器グリュイエールは、ここを飛躍の足がかりとすることができるのか。