アジアエクスプレス(牡4)は平安ステークス(GIII/京都ダート1900m)で2015年の3戦目を迎えた。
名古屋大賞典で2着、アンタレスステークスで2着と惜しい競馬が続いていたため、平安Sでも人気に支持されることになったが、直線伸び切れずに5着に終わった。前走のアンタレスSでは勝ち馬のクリノスターオーに目標とされ、最後に交わされることになった。今回は反対にクリノスターオーの後ろでマークする形となったが、策は実らなかった。
なぜアジアエクスプレスは負けたのか。敗因に迫っていこう。
目次
調教の変化
アジアエクスプレスの変化は調教に見ることができる。
元々調教駆けする馬ではなく時計にインパクトはないのだが、2015年になって坂路で追うことが少なくなり、ウッド追いがメインになっている。少々気がかりな点といえる。
平安Sに向けた調整の中、坂路で追われた数は5本、時計になったのは4月30日の1本のみ。前走のアンタレスステークスを見ても、坂路追いは4本で時計になったのは1本だった。
大前提として、競走馬が10頭いればベストな調整法が十通りある。一概に「これがベスト」と決めつけることはできない。ただし、アジアエクスプレスは最終追いきりを坂路で行った場合、すべてのレースで1着になっている。(2歳新馬、オキザリス賞、レパードステークス)
坂路追いである程度結果が出ているのに、やらなくなってしまったのだ。
一方でインカンテーションは過去、CWを中心に調整を行ってきた。しかし、今は坂路中心となている。5月に入り8本の坂路調教をこなし、最終追い切りでは5F53秒4、ラスト1F12秒8と好タイムを叩き出している。
東西のトレセンで施設の違いがあるため一概にどちらがいい、悪いという話はできない。ただし、数字が実証している点を考えれば少なからずこういった要素も影響はあると判断できる。
Henny Hughes産駒の特徴を暴く
Henny Hughes産駒で4勝以上を挙げているのはアジアエクスプレス、ヘニーハウンド(牡7歳)、ケイアイレオーネ(牡5歳:抹消済)の3頭だ。
ヘニーハウンドの挙げた4勝の内3勝は2歳及び3歳時に挙げたモノであり、ケイアイレオーネも4勝の内3勝は2歳時の頃である。
同じくアジアエクスプレスも4勝の内3勝は2歳時に挙げた勝利である。この戦績を見ると嫌でも「早熟」という言葉が思い浮かんでしまう。
また、ヘニーハウンドの勝ち鞍4勝は1200〜1400m、ケイアイレオーネは2000mで1勝を挙げているものの、1400mで3連勝を飾っている。となると、1900mの平安ステークスでは距離が懸念材料になったと考えることもできる。
選択肢はまだ豊富に存在選択肢
アジアエクスプレスは今後、どのような路線を歩むのか。興味は尽きない。
例えばダート短距離に矛先を向けてみてもいいかもしれない。7月に開催されるプロキオンステークス(中京ダ1400m)に向けて調整という選択肢もあれば、地方競馬のグレード競争という選択肢もある。
あるいは思い切って芝の短距離を使ってみても面白いのではないだろうか。前述のとおり、アジアエクスプレスは短距離で力を発揮する血統背景を持っている。しかも自身が朝日杯フューチュリティステークスを勝ったように、芝に適正がないわけではない。
平安Sでは敗退となったが、豊富にある選択肢を考慮すれば悲観することはないだろう。4歳という年齢を考えてもまだまだ期待を込められるはずだ。
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