2018年12月23日、中山競馬場で有馬記念(GⅠ/芝2500m)が行われる。
昨年の菊花賞馬キセキは今秋、毎日王冠3着、天皇賞3着、ジャパンカップ2着と、最高峰のレースで好走を続けている。特に前走は、2.20.6の世界レコードを叩き出して勝ったアーモンドアイから0.3秒差。現役トップクラスの能力を改めて示した。
最強女王が不在の今回は大きなチャンスだと言えそうだが、越えるべき壁はなかなかに高いかも知れない。3つの不安要素を掘り下げていく。
目次
不安① レコード決着の反動
前走のジャパンCは、従来のコースレコードを1.5秒も更新する2.20.6の世界レコードで決着。逃げたキセキは、天皇賞に続いて淀みのないラップを刻んで逃げると、終盤でペースアップして得意の持久力勝負に持ち込み、残り1Fでアーモンドアイに交わされるまで先頭を譲らなかった。スーパーレコードを演出したのは紛れもなくキセキであり、それだけに超高速タイムで走った反動がないかが、まずポイントになる。
ジャパンCで3着だったスワーヴリチャードは、過酷なローテを理由に有馬記念を回避。同じジャパンC組のシュヴァルグランは今秋3戦目なのに対し、キセキは今回が4戦目。関東への長距離輸送も今秋4回目となる。
中間の追い切りでは、相変わらず好調教を連発して不安を感じさせないが、さすがに疲労が蓄積してきているはず。当日はパドックや返し馬での雰囲気をよくチェックしておいた方がいいだろう。
不安② トリッキーな舞台設定
ストライドの大きな走りをするため、伸び伸びと走れる東京や京都外回りのような広いコースが理想と言える。主要4場の中では小回りの中山で、芝内回り2500mはコーナーを6回も通過するコース設定。いずれも東京だった今秋3戦と同じようなパフォーマンスを発揮できるかがカギになる。
中山で走ったのは、3月の日経賞の1回。この時は、我慢が利かずに向こう正面で先頭に立ち、直線で失速して9着と、1番人気を裏切った。海外遠征後の休み明けなど敗因は様々にあったが、陣営も戦前に舞台適性を懸念していたように、やや窮屈そうな走っていた部分があった。以前より力を付け、淀みのないペースで逃げるスタイルを確立した今、トリッキーなコースをどう攻略するか。
不安③ ミスタープロスペクター系の優勝はなし
62年の歴史を誇る有馬記念において、ミスタープロスペクター系の優勝はない。過去20年を見ても【0・3・3・30】。2010年以降は、チャンピオンサイアーであるキングカハメハの産駒を擁しても優勝には届いていない。キセキの父ルーラーシップも、有馬記念には3年連続で出走したが、2番人気に支持された2012年の3着が最高だった。
まとめ
好状態をキープできているか、難解な舞台を克服できるか、そしてミスタープロスペクター系のジンクスを破ることができるかが、優勝へのポイントになりそうなキセキ。平成最後のグランプリで奇跡を起こすことができるか。