引退レースに華を添えることはできるのか――。
2017年12月24日、中山競馬場で有馬記念(GI/芝2500m)が行われる。サトノクラウンやレインボーラインなど今秋同じローテで戦ってきた戦友から、JCを制したシュヴァルグラン、3歳馬からはスワーヴリチャードなど、今年も有力馬が多く出走する。キタサンブラックにとっては引退レースであり、GI7勝や最高獲得賞金の記録もかかる一戦である。
今年の漢字が『北』であったように、キタサンブラックの影響は競馬ファンにとどまらず、世相にまで届く驚異的なものだった。その名馬の引退レースに注目が集まらないわけがなく、有終の美を飾ることが期待される。
これまで有馬記念に2回出走したが勝利したことのないキタサンブラック、競走馬としての最後のレースでどのような力を魅せるのか。能力の高さはすでに証明済みであるが、彼にはいくつかの不安要素が付きまとう。ここではその不安について考察して行こう。
目次
不安① 3走目の呪い
キタサンブラックは、強過ぎるがゆえに買わない要因を探されることが多かった。その中でよく取り上げられているのが3走目に崩れることだ。
崩れるとは言いつつも宝塚記念を除けば馬券内は確保している。3走目をピックアップして考察していくと、2015年の秋は有馬記念3着、2016年の春は宝塚記念3着、その秋は有馬記念3着と勝利できていない。
さらに今年の春に行われた宝塚記念では、ファン投票で1位に推されたものの掲示板からも消える結果となった。このように、3走目の疲労からか、グランプリレースのレベルの高さからか、勝ち切れないことが指摘されている。
3度目の挑戦となる有馬記念だが、例に漏れることなく今年もここが3戦目、このジンクスを破ることができるのか。軸として買うのか考える要因として面白いのではないか。
不安② JCでの敗戦
前述したように3戦目でパフォーマンスを若干落としてしまうことは不安要素の1つである。一昨年、昨年とここが3戦目となるローテーションで臨戦し、有馬記念で敗戦するまでキタサンブラックに土がつくことはなかった。しかし、今年は2走目となるJCで3着に破れた。
この2戦目での敗戦をどう捉えるかがキタサンブラックの重要度を決める分かれ道となるだろう。前走の敗戦を、3戦目を待たずして訪れたパフォーマンス低下と捉えるか。それとも目標はあくまでも有馬記念であり、JCでの敗戦からさらに仕上げて出走してくると捉えるか。
JCでの敗戦をどのように受け取るか、非常に重要なポイントであることは間違いない。
まとめ
引退レースとなるキタサンブラックだが、強さはすでに証明済みで、その能力の高さを疑う者はいないだろう。とはいえグランプリレースともなれば並み居る強豪が集結するため、簡単な戦いにはならないだろう。
パフォーマンスが低下することが指摘される3戦目に有馬記念に向かうローテーションを取ることもあってか、未だ勝利することはできていない。3戦目の呪いや早々に訪れたJCでの敗戦など最強馬にとっても不安要素は拭いきれない。
しかし、C. デムーロ騎手が1番手で大外枠を引き当てる中、ここでも武豊の引きの強さが発揮され、絶好の1枠2番からの出走となった。神様もキタサンブラックの引退レースに華を添えることを望んでいるようにさえ思えた。
この絶好枠から彼はどのようなレースを見せるのか、最強の証明か新時代の幕開けか。たくさんの感動を与えてくれたキタサンブラックの引退レース、キタサン祭りの歌声は中山に響き渡るのだろうか。