2018年9月23日、中山競馬場でオールカマー(GⅡ/芝2200m)が行われる。出走予定馬には、去年の皐月賞馬アルアイン、AJCC勝ち馬ダンビュライト、函館記念を制したエアアンセムなどがいる。秋競馬に向けていよいよ古馬中長距離路線が動き出すが、その中でも注目はレイデオロだ。
レイデオロの前走はドバイシーマクラシックだったが、前半はかなりのスローで流れ、勝ったホークビルが引っ張る展開となり、レイデオロは折り合いをつけることに四苦八苦する。結果的にそのまま流れ込む形でゴールをし、レコードタイムが芝で飛び出す中、2分29秒45というスロー決着となった。レイデオロは4着を確保し、日本馬最先着が精いっぱいだった。
ドバイシーマクラシックから5か月半、これが休み明け最初のレースだが、当然ながらダービー馬ということもあって評価は高い。期待も当然かかるが、不安もないわけではない。そのあたりを掘り下げていく。
目次
期待① 決め手は申し分なし
ここ数年の中山競馬場は改修工事を行った影響もあるのか、とにかく差しが決まりやすい。先週のセントライト記念はジェネラーレウーノが押し切った形だが、レイデオロの弟レイエンダやグレイルなどが末脚を炸裂させていた。逃げ馬がそのまま残る展開は考えにくく、末脚が光る馬が来やすい。その点ではレイデオロは申し分ない。
ダービーは上がり3ハロンのタイムが3位以内ではなかったが、これはスローペースでルメール騎手が向こう正面で仕掛けたためだ。京都記念も重馬場の影響と考えれば、他では上がり1位のタイムを記録している。それでいて前目でレースができ、決め手もある。アルアインもダンビュライトもガンコも決め手がある馬ではない。切れ味勝負なら普通にレイデオロが上。レイエンダは枠に泣いたが、枠さえ外過ぎなければ問題ない。
不安① 非根幹距離と中山適性
非根幹距離でなぜか強い馬はいるもので、去年の勝ち馬ルージュバックはまさに典型的な馬であり1800メートルや2200メートルのレースに強かった。非根幹距離で重賞が多いのが中山であり、特に格の高い古馬重賞はたいてい1800メートル、2200メートル、2500メートルとことごとく非根幹距離である。アルアインやダンビュライト、ガンコ、ミライヘノツバサなど非根幹距離で結果を出した馬が多い中、レイデオロはやや蚊帳の外といったところか。
中山は2勝しており、一見すると適性もありそうだが、いずれも2歳でのレースというのがどうか。2000メートルで2勝しながら皐月賞では差し届かずの5着。いかにも東京向きというレースをし、結果的にダービーは勝ち、ジャパンカップでも2着に入った。明らかに東京向きで、大本番もジャパンカップだろう。アルアインやダンビュライト、ガンコなどは東京向きという感じはせず、ここで勝ち負けを狙う。理想は追い出して軽く抜け出して勝利だが、そう問屋が卸してくれるだろうか。
不安② 休み明けは走らない?
わざわざオールカマーを選んだのは京都大賞典にメンバーが揃いそうというのがあるかもしれない。毎日王冠ではやや距離が短く、京都大賞典はメンバーが揃う。それならばオールカマーということだろうが、そもそも休み明けではあまり結果を出していない。4か月近い休み明けでぶっつけ本番の皐月賞は5着、4か月の休み明けの神戸新聞杯は勝ったが、2か月半の休み明けの京都記念は3着に負けている。
母ラドラーダも何戦かして結果を出すような馬であり、休み明けは走らない。相手が手薄ならいいが、中山適性という点で一枚上手のメンバーが揃う中ではどうか。1つずつの根拠としては弱いかもしれないが、いくつか重なると嫌なものである。外に回して勝てればいいが、いきなり究極の仕上げではないはずなので反応がイマイチなことも考えられる。
まとめ
当然この中では実績最上位、なにせダービー馬なので無様な競馬はできない。京都記念で負けたのは騎手が違うからなど言い訳はいくらでもできることから、ここであっさり勝ったとしても素直に馬の力ということだろう。ただ不安要素がいくつもあり、差し届かず2着3着というのも十分に考えられる。横綱相撲を見せることもできるが、本当にそこまで力量差はあるのだろうか。京都記念ではアルアインにも負けているので怪しい。
キタサンブラックのように潰しに行けないような馬でもない。まして今回は前に行く馬が揃う。皐月賞は前が流れてレイデオロには最高の展開だったはずだがそれでも5着になった。大本番はダービー、それに向けての調整で本調子の一歩手前だったことは容易に想像がつく。
おそらく天皇賞秋とジャパンカップ、もしくは天皇賞秋をパスしてジャパンカップかもしれないが、いずれも大本番はジャパンカップと見ていい。本調子の一歩手前で勝てれば最高だが、言うほど力量差はなく足元をすくわれてもおかしくない。