2019年5月5日、東京競馬場でNHKマイルカップ(GⅠ/芝1600m)が行われる。今回は過去のデータやレース傾向を振り返り、当レースの危険な人気馬を予想していく。
馬券を買う上で特に重要なのは「どの馬を買うか」ではなく「どの馬が消しか」を見極めることだ。
人気馬を「買わない」と判断できれば、余った資金を軸馬の買い足しや穴馬の追加購入に回すことができる。そして人気馬が馬券圏外になれば配当が跳ね上がる。
「人気だから押さえようかな」と毎回人気馬を買ってしまうと回収率は落ちていく。だからこそ「買わない人気馬」を見つけることがカギになってくるのだ。
果たして、人気が想定されるグランアレグリア、アドマイヤマーズ、ダノンチェイサー、ファンタジスト、グルーヴィット、ヴィッテルスバッハらの中で危険なのはどの馬か。しっかり考察していこう。
なお、特に明記していない場合は過去10年のデータを対象とする。
目次
NHKマイルカップの人気馬成績
過去10年のデータを見ると、1番人気は5勝しているが、2着3着がない。信頼度はその馬次第といったところか。
一方、2番人気と3番人気もそこまでいいというわけではない。全体的に分散傾向というのが正しいか。
ではここからは注目のデータをピックアップして紹介していこう。
予想参考データ① ニュージーランドT組の取捨選択
前走NZT(5- 1- 3-55)
勝率 7.8% │ 複勝率 14.1%
長らく唯一のトライアルレースだったニュージーランドトロフィー。そんなこともあって、一応は直結しているともいえるが、来る馬の共通点がありそうだ。
勝ち馬がそのままNHKマイルカップを勝ったのは1回だけ、しかも2着にコンマ4秒差もつけていた。ほとんどは負けた組だが、コンマ5秒差までが圏内となりそう。
人気を裏切った馬の巻き返しがあり、着外からの巻き返しはいずれも4番人気の馬。このあたりを目安にニュージーランドトロフィー組を精査していきたい。
予想参考データ② 必ず1頭は前が残る
東京のマイルは基本的に逃げが残らないとされているが、ここ数年は逃げ馬が3勝を挙げるなど、以前の常識は通用しにくい面がある。
一方、前が残りやすいかと言われればそうでもなく、脚質的に見てもどれもそんなに変わらない。ただ4コーナー5番手までにいた馬が必ず1頭馬券に絡んでいることは覚えておきたい。
上がり最速タイムで直線だけで勝つというのは難しく、去年のケイアイノーテックが稀有な例で、ダノンシャンティのような衝撃的な勝ち方もレアだ。
直線が長くなって強烈な末脚があるから勝てると思ったら大間違い。むしろ痛い目を見る。基本は前でしぶとく粘りそうな馬を買うのがいいかもしれない。
予想参考データ③ クラシック組の巻き返し
今年は皐月賞や桜花賞で走った馬がダービーやオークスではなくNHKマイルカップに矛先を変え、タイトルを狙いに来た馬が多い。
その考え自体は悪いものではなく、皐月賞、桜花賞それぞれで走った馬が勝ったこともある。問題はその傾向である。
桜花賞に関しては2005年ラインクラフト以来、勝ち馬がNHKマイルカップで3着以内に入ったことがない。来ているのは桜花賞で惜敗したような馬だ。
皐月賞の場合はあと一歩届かずという印象。距離が長くてそれまでが精いっぱいというような馬が多く、能力で何とか1秒以内の負けにとどめた馬が目立つ。
これは前走スプリングステークスや弥生賞など皐月賞を目指した組にも言える。2000は長い、そう思い知らされたのが早いか遅いか、その差と見ていいだろう。
2019年の危険な人気馬は?
グルーヴィットは人気に支持される見込みだが、1400メートルまでしか経験がなく勝ち星はいずれもダート。ファルコンステークスでは2着に入ってはいるが、ちょっと一枚足らないか。NHKマイルカップの好走条件に合致せず、危険な人気馬の一頭になりそうだ。
また、グランアレグリアは3つ目の消しデータに合致している。桜花賞は素晴らしい勝ち方だったが、反動が心配だ。ルメール騎手の調子の良さは誰もが知っているが、1倍台に支持される程、鉄板な感じはしない。割引が必要だ。
反対にファンタジストは危険なデータに一つも当てはまらない。皐月賞は惨敗だったが、マイルでもどうかと言われるくらいだったことを思えば、そこまで悲観しなくていい。スプリングステークスも2着に入っており、皐月賞よりNHKマイルカップの方がチャンスがある。人気馬の中で最も不安要素が少ないのが、ファンタジストと言えそうだ。