2018年12月2日、中京競馬場でチャンピオンズカップ(GI/ダート1800m)が行われる。ゴールドドリーム、サンライズソア、オメガパフューム、ルヴァンスレーヴ、ケイティブレイブらが出走するが、どんなレースが展開されるのか? 台頭する可能性を秘めた伏兵とは?
今回はJRAのダートGIの歴史から見えてくる意外な共通点を紹介していこう。今まで様々な条件、距離で行われてきたJRAのダートGIだが、いずれのレースでも共通した“ある傾向”があった。
予想を進めていく上で避けて通ることができない(避けて通ると馬券的中から遠ざかる)要素とはなんなのだろうか?
なお、今回のデータはJRAの競馬場で開催された過去10年における1600m以上のダートGI(南部杯、JBC含む)を対象とする。
目次
JRAダートGIのある傾向
注目したいのは誕生月だ。
最近は1、2月に生まれる馬が増えてきた。その理由にライフコントロールがある。
サラブレッドクラブラフィアンの岡田紘和代表の言葉を引用しよう。
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繁殖牝馬は通常最も寒い時期には発情を見せず、少し暖かくなる3月以降に良い発情を見せます。したがって自然に任せていては2月中に種付けすることができないので、厩舎内にライトとタイマー等を設置して、繁殖牝馬に日照時間の変化を錯覚させて、人工的に発情が早く来るように管理します。その効果は実証済みです。
※Enjoy Ruffian No.225(2011年2月発行)より引用
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つまり、1、2月に生まれた子馬は本質的に「自然の摂理に反した馬」と言えるのだ。
その弊害は少なくない。それは岡田氏も認めるところだ。
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ただし、一番寒い時期に生まれた仔馬にはより多くの配慮が必要です。放牧地に出す時は必ず馬服を着せ、馬房に戻せばそれを取ったり、天候が急に悪くなれば厩舎に入れ、良くなればまた外に出したり、比較的暖かい時期に比べて健康管理もより注意深く行う必要があります。かといって放牧せずに馬房だけで過ごすのは馬にとって不自然なことであり、母馬のストレスも溜まるので望ましくありません。
※Enjoy Ruffian No.225(2011年2月発行)より引用
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要するに生まれてきた段階では子馬が育つのに適した環境が整っていないのだ。だから生産者は努力して子馬のケアをしている。
もっとも、いくら人間がケアしたところで自然の摂理にそって生まれた子馬とそうでない子馬とではどうしても違いが出てしまう。
事実、JRAのGIでは1、2月生まれの馬より3月以降に生まれた馬のほうがいい成績を残す傾向にある。
そして、ダートGIではこの傾向がさらに強まる。
以下は過去10年における誕生月別の成績だ。(※10番人気以内)
1月生 ( 0- 0- 0- 4/ 4 )
勝率 0.00% │ 単勝回収値 0
複勝率 0.00% │ 複勝回収値 0
2月生 ( 1- 2- 4-36/43 )
勝率 2.30% │ 単勝回収値 22
複勝率 16.30% │ 複勝回収値 50
3月生 ( 7-10- 8-52/77 )
勝率 9.10% │ 単勝回収値 61
複勝率 32.50% │ 複勝回収値 79
4月生 ( 8- 8- 3-47/66 )
勝率 12.10% │ 単勝回収値 68
複勝率 28.80% │ 複勝回収値 78
5月生 ( 6- 4- 7-32/49 )
勝率 12.20% │ 単勝回収値 162
複勝率 34.70% │ 複勝回収値 111
10月生 ( 0- 0- 0- 1/ 1 )
勝率 0.00% │ 単勝回収値 0
複勝率 0.00% │ 複勝回収値 0
ご覧の通り、1、2月生まれの成績が極端に悪いことが分かる。
また、11番人気以下ながら馬券に絡んだ馬は10年で4頭いた。その誕生月を見てみると……
アドマイヤスバル 5月生まれ
コパノリッキー 3月生まれ
ゴールデンチケット 3月生まれ
サンビスタ 3月生まれ
見ての通り、3〜5月に集中している。逆に言えば1、2月生まれの馬は1頭もいないことになる。
危険な人気馬に?
今年も数頭の1、2月生まれの馬が出走を予定している。中でも気になるのがルヴァンスレーヴだ。
ルヴァンスレーヴは人気上位に支持される可能性が高い。3歳ながらすでにダートGIで3勝していて、古馬相手にも好勝負をすると見込まれている。
しかし、ただでさえ3歳馬に厳しいダートGIで、実績のない1月生まれとなると……厳しい戦いになることは避けられそうにないというわけだ。
まとめ
いかがだっただろうか?
意外な注目点かもしれないが、馬の生産の現状とデータを照らし合わせれば納得のいく傾向と言えるわけだ。
果たしてルヴァンスレーヴやアポロケンタッキー(2月生まれ)らはこのデータを覆して勝利を掴むことができるのか? その答えは12月2日に出る。