2018年4月15日、中山競馬場で皐月賞(GⅠ/芝2000m)が行われる。ワグネリアン、ステルヴィオ、キタノコマンドール、オウケンムーン、ジャンダルム、エポカドーロ、ジェネラーレウーノ、タイムフライヤーらが出走するが、どんなレースが展開されるのか?台頭する可能性を秘めた伏兵とは?
先週の桜花賞に続き、いよいよ3歳牡馬クラシックレースも開幕する。
「最も早い馬が勝つ」皐月賞では、1993年ナリタタイシン、ウイニングチケット(ダービー馬)ビワハヤヒデ(菊花賞馬)3強のレースや、2005年3冠馬になるのが確実と競馬ファンに思わせたディープインパクトなど数々の名勝負が繰り広げられている。
当然のことだが3冠馬となるためには皐月賞を勝たないことには達成することは不可能で、3冠馬になれるような素質馬がいるかどうかを見極めることができるレースでもある。
また、2000mという距離で行われることから、3歳時代だけでなく古馬になってからも中長距離の各路線の先頭で活躍する馬も多く、2400mのGⅠ・ダービーよりも今後の路線選択する幅が広いレースとも言える。
配当傾向を過去10回で見てみると、単勝1番人気が2勝と苦戦しており、三連単では2013年を除き万馬券となっている上に昨年2017年は単勝9番人気→4番人気→12番人気の大番狂わせの組み合わせで1,064,360円と高配当となった。
2018年はどのような決着となるのか。
今回は中山競馬場で行われた2007年以降の皐月賞の結果を元としてデータ分析するが、特に過去の穴馬の共通項から激走馬を探っていく(2011年は東京競馬場で行われたため対象外)。
目次
過去10回の該当馬(2007年以降・単勝6番人気以下で3着以内)
年 | 着順 | 馬名 |
---|---|---|
2017 | 1 | アルアイン |
2017 | 3 | ダンビュライト |
2016 | 1 | ディーマジェスティ |
2014 | 3 | ウインフルブルーム |
2010 | 2 | ヒルノダムール |
2010 | 3 | エイシンフラッシュ |
2009 | 2 | トライアンフマーチ |
2008 | 1 | キャプテントゥーレ |
2008 | 2 | タケミカヅチ |
2007 | 1 | ヴィクトリー |
2007 | 2 | サンツェッペリン |
注目点① 人気薄を狙うなら単勝6番人気から10番人気を中心に
該当馬のリストを見てもわかるように、過去10回で馬券圏内に入った延べ30頭のうち単勝6番人気以下が11頭と4割近くとなっていて高配当を裏付ける結果となっている。
ただし、過去10回のうち昨年のように2頭が該当することも4回ある一方で、該当馬がいないことも3回あり、人気薄を狙うかどうかはじっくりと検討を加えていかなければならない。
それでも今回の該当馬を人気別に見ると、高配当になる場合の人気にはそれほど気にする必要がないことがわかるが、単勝11番人気以下の極端な人気薄を狙うのが得策ではないことがわかる。
人気別集計 皐月賞 過去10回
人気 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
---|---|---|---|
1番人気 | 2- 1- 2- 5/ 10 | 20.0% | 50.0% |
2番人気 | 1- 3- 1- 5/ 10 | 10.0% | 50.0% |
3番人気 | 2- 1- 2- 5/ 10 | 20.0% | 50.0% |
4番人気 | 1- 1- 2- 6/ 10 | 10.0% | 40.0% |
5番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% |
6番人気 | 0- 2- 0- 8/ 10 | 0.0% | 20.0% |
7番人気 | 2- 0- 0- 8/ 10 | 20.0% | 20.0% |
8番人気 | 1- 1- 1- 7/ 10 | 10.0% | 30.0% |
9番人気 | 1- 0- 0- 9/ 10 | 10.0% | 10.0% |
10番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% |
11番人気 | 0- 0- 1- 9/ 10 | 0.0% | 10.0% |
12番人気 | 0- 0- 1- 9/ 10 | 0.0% | 10.0% |
13番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% |
14番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% |
15番人気 | 0- 1- 0- 9/ 10 | 0.0% | 10.0% |
16番人気 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% |
17番人気 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% |
18番人気 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% |
集計期間:2007年 ~ 2017年
年 | 馬名 | 人気 | 単勝オッズ |
---|---|---|---|
2017 | アルアイン | 9 | 22.4 |
2017 | ダンビュライト | 12 | 56.1 |
2016 | ディーマジェスティ | 8 | 30.9 |
2014 | ウインフルブルーム | 8 | 24.9 |
2010 | ヒルノダムール | 6 | 10.7 |
2010 | エイシンフラッシュ | 11 | 40 |
2009 | トライアンフマーチ | 8 | 51.3 |
2008 | キャプテントゥーレ | 7 | 17.1 |
2008 | タケミカヅチ | 6 | 16.7 |
2007 | ヴィクトリー | 7 | 17.3 |
2007 | サンツェッペリン | 15 | 100.6 |
注目点② 父・ロイヤルチャージャー系に注目
過去10年単勝6番人気以下で3着以内に入った11頭中8頭がロイヤルチャージャー系種牡馬となっている。
ディープインパクトやステイゴールド、オルフェーヴルに代表されるように現在の日本種牡馬界の王道とも言えるロイヤルチャージャー系の成績は、クラシックで活躍するような距離での活躍が特に目立ち、皐月賞はまさに十八番と言える。
種牡馬系統別集計 皐月賞 過去10回
種牡馬系統 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
---|---|---|---|
ロイヤルチャージャー系 | 8- 7- 6- 90/111 | 7.2% | 18.9% |
ニアークティック系 | 1- 2- 0- 21/ 24 | 4.2% | 12.5% |
ネイティヴダンサー系 | 1- 1- 3- 26/ 31 | 3.2% | 16.1% |
ナスルーラ系 | 0- 0- 1- 10/ 11 | 0.0% | 9.1% |
集計期間:2007年 ~ 2017年
ソート:着別度数順
馬名 | 父系統 | 種牡馬 |
---|---|---|
アルアイン | ロイヤルチャージャー系 | ディープインパクト |
ダンビュライト | ネイティヴダンサー系 | ルーラーシップ |
ディーマジェスティ | ロイヤルチャージャー系 | ディープインパクト |
ウインフルブルーム | ロイヤルチャージャー系 | スペシャルウィーク |
ヒルノダムール | ロイヤルチャージャー系 | マンハッタンカフェ |
エイシンフラッシュ | ネイティヴダンサー系 | King's Best |
トライアンフマーチ | ロイヤルチャージャー系 | スペシャルウィーク |
キャプテントゥーレ | ロイヤルチャージャー系 | アグネスタキオン |
タケミカヅチ | ロイヤルチャージャー系 | ゴールドアリュール |
ヴィクトリー | ロイヤルチャージャー系 | ブライアンズタイム |
サンツェッペリン | ニアークティック系 | テンビー |
注目点③ 社台ファーム・ノーザンファーム生産馬に注目
馬産地について注目をすると、今回の該当馬13頭中7頭が日本競馬界を席巻している社台グループの中心である社台ファームかノーザンファームの生産馬となっていて中小の個人牧場の生産馬が馬券圏内に食い込んでくるのはなかなか難しい。
生産者別集計 皐月賞 過去10回
生産者 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
---|---|---|---|
ノーザンファーム | 4- 6- 4-39/53 | 7.5% | 26.4% |
社台ファーム | 3- 1- 1-20/25 | 12.0% | 20.0% |
社台コーポレーション白老ファーム | 1- 0- 0- 8/ 9 | 11.1% | 11.1% |
服部牧場 | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% |
出口牧場 | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% |
道見牧場 | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% |
追分ファーム | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% |
橋本牧場 | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% |
ビッグレッドファーム | 0- 0- 2- 1/ 3 | 0.0% | 66.7% |
パカパカファーム | 0- 0- 1- 2/ 3 | 0.0% | 33.3% |
ヤナガワ牧場 | 0- 0- 1- 1/ 2 | 0.0% | 50.0% |
筒井征文 | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% |
集計期間:2007年 ~ 2017年
ソート:着別度数順 ※3着以内に入った生産者のみ
馬名 | 生産牧場 |
---|---|
アルアイン | ノーザンファーム |
ダンビュライト | ノーザンファーム |
ディーマジェスティ | 服部牧場 |
ウインフルブルーム | ビッグレッドファーム |
ヒルノダムール | 橋本牧場 |
エイシンフラッシュ | 社台ファーム |
トライアンフマーチ | ノーザンファーム |
キャプテントゥーレ | 社台ファーム |
タケミカヅチ | 社台ファーム |
ヴィクトリー | ノーザンファーム |
サンツェッペリン | 道見牧場 |
注目点④ 関西馬に期待!
調教師の所属別で集計すると該当馬11頭中8頭が関西馬という結果となった。
西高東低と言う長らく競馬界で常識となっている東西の能力差が、関東で行われるGⅠという関東馬にとっての地の利を凌駕するほどにあり、関東馬は実力・人気共に兼ね備えた馬しか結果を残せていない。
調教師所属別集計 皐月賞 過去10回
調教師分類 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
美浦 | 4- 2- 2- 56/ 64 | 6.3% | 9.4% | 12.5% |
栗東 | 6- 8- 8- 91/113 | 5.3% | 12.4% | 19.5% |
集計期間:2007年 ~ 2017年
馬名 | 所属 | 厩舎 |
---|---|---|
アルアイン | 関西 | 池江泰寿 |
ダンビュライト | 関西 | 音無秀孝 |
ディーマジェスティ | 関東 | 二ノ宮敬宇 |
ウインフルブルーム | 関西 | 宮本博 |
ヒルノダムール | 関西 | 昆貢 |
エイシンフラッシュ | 関西 | 藤原英昭 |
トライアンフマーチ | 関西 | 角居勝彦 |
キャプテントゥーレ | 関西 | 森秀行 |
タケミカヅチ | 関東 | 大江原哲 |
ヴィクトリー | 関西 | 音無秀孝 |
サンツェッペリン | 関東 | 斎藤誠 |
注目点⑤ 前走は3着以内
今回の該当馬11頭中9頭までが前走でも3着以内と好走している。
クラシックへ向けては勝ち抜き戦の様相が強いこともあり、皐月賞では他馬との比較で人気を落としていても前走で好走していた馬が、前評判を覆した場合に馬券圏内に入ってくることを示している。
前走着順別集計 皐月賞 過去10回
前確定着順 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
---|---|---|---|
前走1着 | 8- 4- 5- 48/ 65 | 12.3% | 26.2% |
前走2着 | 1- 3- 2- 27/ 33 | 3.0% | 18.2% |
前走3着 | 0- 1- 2- 20/ 23 | 0.0% | 13.0% |
前走4着 | 1- 1- 0- 9/ 11 | 9.1% | 18.2% |
前走5着 | 0- 0- 0- 5/ 5 | 0.0% | 0.0% |
前走6~9着 | 0- 1- 1- 23/ 25 | 0.0% | 8.0% |
前走10着~ | 0- 0- 0- 15/ 15 | 0.0% | 0.0% |
集計期間:2007年 ~ 2017年
馬名 | 前走着順 |
---|---|
アルアイン | 1 |
ダンビュライト | 3 |
ディーマジェスティ | 1 |
ウインフルブルーム | 2 |
ヒルノダムール | 2 |
エイシンフラッシュ | 1 |
トライアンフマーチ | 2 |
キャプテントゥーレ | 4 |
タケミカヅチ | 3 |
ヴィクトリー | 1 |
サンツェッペリン | 8 |
まとめ
ここまでの5つの注目点から、人気薄で激走する可能性のある馬を選定すると次の2頭が該当する。
キタノコマンドール
グレイル
なお、本原稿は最終登録の段階で執筆しているため、仮に今回の該当馬が上位人気に支持されたり、出走回避した場合などは、人気薄が上位に食い込む可能性は低いと見て、素直に上位5番人気までの堅い決着を予想する方法もありそうだ。
後は予想時点での単勝人気やオッズも確認の上、検討を加えていくのも、面白いのではないだろうか。