再び栄冠をつかむために――。
2017年11月19日、京都競馬場でマイルチャンピオンシップ(マイルCS/GI/芝外回り1600m)が行われる。人気になりそうなのが、皐月賞馬のイスラボニータだ。前走の富士ステークスでは4番人気ながら2着に好走し、久々のGI制覇に期待が集まる。
しかし、イスラボニータがマイルCSを制するためには、大きな障害をクリアしなければならない。しかも、そのハードルは決して低くない。
今回はイスラボニータがマイルCSを制する上でパスしなければならない理由に迫っていこう。
目次
困難な理由① フジキセキ産駒の呪縛
フジキセキ産駒に関して探っていくと、いくつか気になるマイナス要素が浮上してくる。
例えば馬齢を見てみよう。イスラボニータは6歳になったが、実はフジキセキ産駒の牡馬は6歳以上になってからGIで好走した実績がない。
年齢 | 着別度数 |
---|---|
2歳 | 0- 0- 0- 6/ 6 |
3歳 | 2- 8- 2-32/44 |
4歳 | 1- 0- 2- 9/12 |
5歳 | 1- 1- 1-16/19 |
6歳 | 0- 0- 0- 9/ 9 |
7歳 | 0- 0- 0- 8/ 8 |
8歳 | 0- 0- 0- 1/ 1 |
集計期間:1999.12. 5 ~ 2017. 6. 4
牡・セン馬のみ
※キンシャサノキセキは外国産で育った環境が普通と異なるため、対象外
6歳以上は(0−0−0−18)。事実、イスラボニータ自身が今年の安田記念で1番人気ながら8着に敗れている。
なお、フジキセキ産駒でGIを勝ったのは最年長なのはファイングレイン。しかし、5歳春の高松宮記念で、まだ「高齢」とくくれる馬齢ではなかった。
牝馬ではストレイトガールが7歳でGIを勝っているが、牡馬では例がない。6歳のイスラボニータにとって、大きな“血統の壁”が立ちはだかることになる。
困難な理由② 人気を裏切ってきた実績
イスラボニータの戦績を振り返ってみると、フジキセキ産駒の傾向に合致していることが分かる。
2歳から3歳にかけての戦績はほぼ完璧だった。早々にクラシックの有力候補となり、皐月賞を制覇。ダービーや天皇賞秋でも好走し、名馬の仲間入りを期待させた。
しかし、古馬になってからは「そこそこ」走るものの、ワンパンチ足りずに勝利をつかむことがなかなかできていない。GIの戦績を振り返ってみると……
日付 | レース名 | 着順 | 人気 |
---|---|---|---|
2017.6.4 | 安田記念G1 | 8 | 1 |
2016.11.20 | マイルチG1 | 2 | 2 |
2016.6.5 | 安田記念G1 | 5 | 4 |
2015.11.22 | マイルチG1 | 3 | 1 |
2015.11.1 | 天皇賞秋G1 | 3 | 6 |
2014.11.30 | JCG1 | 9 | 5 |
2014.11.2 | 天皇賞秋G1 | 3 | 1 |
2014.6.1 | 東京優駿G1 | 2 | 1 |
2014.4.20 | 皐月賞G1 | 1 | 2 |
集計期間:2014. 4.20 ~ 2017. 6. 4
人気以上に好走しているケースもあるが、マイルCSや安田記念で1番人気を含む上位人気に支持されながら一度も勝てていない。
フジキセキ産駒の傾向に合致しているとしたら、年齢を重ねれば重ねるほどパフォーマンスを落としていくはず。となると、今回も優勝は難しいのではないか、という結論に行き当たるわけだ。
まとめ
いかがだっただろうか? イスラボニータが有力馬の1頭であることは間違いないが、勝ち切るためにクリアしなければならないハードルは決して低くないのだ。
果たしてイスラボニータは今までの傾向を打ち破れるのか? そういった観点からマイルCSの出走のときを待つのも面白いだろう。