2017年11月19日、京都競馬場でマイルチャンピオンシップ(マイルCS/GI/芝外回り1600m)が行われる。
エアスピネル、イスラボニータ、サトノアラジン、レッドファルクスらが出走するが、どんなレースが展開されるのか? 台頭する可能性を秘めた伏兵とは?
今回は3歳クラシック、マイル路線から参戦してくる馬たちについて考えていこう。実はマイルCSは3歳馬にとって厳しいGIとして知られている。実際はどうなのか? なぜ3歳馬たちは苦戦を強いられているのか、考えていくことにしよう。
目次
芳しくない3歳馬の成績
マイルCSは3歳馬にとって「鬼門」と言えるレースだ。それは言葉ではなく、過去の実績を見れば一目瞭然と言える。
◆3歳馬成績
集計期間:2007.11.18 ~ 2016.11.20
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勝率 複勝率 単回値 複回値 着別度数
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0.0% 3.2% 0 12 0- 0- 1- 30/ 31
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なんと、過去10年で馬券に絡んだのはわずかに1頭。唯一、ゴールスキーが好走したものの、この年は国内のマイルGIを勝った馬が2頭のみ、しかも1頭は長期休み明け2戦目のジョーカプチーノ、もう1頭は安田記念制覇で燃え尽きてしまったショウワモダンというメンバー構成だった。
要するに、ある程度のレベルになると3歳馬が好走するのが極めて難しくなるのだ。
では、なぜ3歳馬はこんなにも苦戦を強いられているのだろうか?
時期の問題は?
一つ考えられるのが「この時期の3歳馬はまだ成長しきっていないため、古馬と力差がある」ということだ。実際、成熟度でみれば古馬のほうが高い。
しかし、それではマイルCSより前に実施される天皇賞秋やエリザベス女王杯で3歳馬が活躍している説明がつかない。今年もエリザベス女王杯を制したのは、3歳のモズカッチャンだった。
もちろん、時期の問題もあるだろうが、原因はもっと別のところにあると考えていい。
3歳馬が苦戦する最大の理由は……
では、何が最大の理由なのか? 答えは「斤量」である。
マイルCSは3歳馬の斤量が56キロに設定されていて、古馬と一キロしか差がない。たかが一キロ、されど一キロ。わずかな差が、ここまで大きな成績の差を生み出しているのだ。
例えばマイルCSとは反対に、3歳馬の斤量が恵まれる凱旋門賞(3歳牝馬54.4キロ/古馬牡馬59.5キロ)では、3歳牝馬の成績が圧倒的にいい。過去10年の勝ち馬は7頭が3歳馬、うち4頭が3歳牝馬だった。
また、秋GIにも古馬と3歳馬の斤量差が一キロしかないレースがある。ダートGIのチャンピオンズカップだ。
過去10年で(0−2−2−20)と、勝ち馬はゼロ。圧倒的に古馬がいい成績を残している。
それだけ、斤量の差は大きな結果の違いとなって現れるわけだ。
今年の3歳馬たちは……
今年は5頭の3歳馬がエントリーしている。しかも、実績のある実力馬が名を連ねている。
アメリカズカップ 牡 3
サングレーザー 牡 3
ジョーストリクトリ 牡 3
ペルシアンナイト 牡 3
レーヌミノル 牝 3
サングレーザーは4連勝でスワンステークスを制した素質馬だ。ディープインパクト産駒ということもあり、注目を集めている。またペルシアンナイトは皐月賞2着、レーヌミノルも桜花賞を制した実績馬である。
今年は例年より実績馬が揃った印象だけに、台頭が期待されるところだ。もっとも、やはり過去の実績を見る限り、3歳馬たちにとって厳しい戦いが待っている可能性が高いこともまた事実である。