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(C)Yushi Machida

10万人を超える大観衆に魅せた圧倒的な力、絶対的王者の引退——。

2017年12月24日、中山競馬場で有馬記念(GI/芝 2500m)が行われた。再度その能力の高さを顕示したキタサンブラックは、2着以下を寄せ付けず見事引退レースVを成し遂げた。

2番人気に推されたスワーヴリチャードは4着での入線となったが、勝者と敗者を決める分岐点はどこにあったのか振り返っていこう。


結果・着順

2017年12月24日(日) 5回中山8日 天候 : 晴  馬場状態 : 良
【11R】 第62回有馬記念
3歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定) 芝 2500m 16頭立

馬名性齢
キタサンブラック牡51
クイーンズリング牝58
シュヴァルグラン牡53
スワーヴリチャード牡32
ルージュバック牝510
シャケトラ牡47
サウンズオブアース牡614
レインボーライン牡49
サトノクロニクル牡311
10ヤマカツエース牡56
11ミッキークイーン牝55
12ブレスジャーニー牡312
13サトノクラウン牡54
14トーセンビクトリー牝515
15カレンミロティックセ916
16サクラアンプルール牡613

LAP  6.8-11.6-11.9-12.2-12.3-13.3-13.2-12.8-12.2-12.1-11.7-11.2-12.3
通過 30.3-42.5-54.8-68.1  上り 72.3-59.5-47.3-35.2  平均 1F:12.29 / 3F:36.86

払い戻し

単勝  2 \190
複勝  2 \120 / 3 \550 / 10 \180
枠連  1-2 \1600 (6)
馬連  02-03 \3170 (9)
ワイド 02-03 \1180 (13)/ 02-10 \280 (2)/ 03-10 \2760 (30)
馬単  02-03 \3810 (12)
3連複 02-03-10 \5420 (16/560)
3連単 02-03-10 \25040 (68/3360)

レース分析

レースラップは以下の通りである。

6.8-11.6-11.9-12.2-12.3-13.3-13.2-12.8-12.2-12.1-11.7-11.2-12.3

キタサンブラックがスタートを決めて楽にハナを取る形で隊列が形成され始めた。序盤は少々流れたが、1周目の直線あたりから徐々にキタサンペースに落ち着いていった。

1角、2角では13.3-13.2-12.8と、大胆と言っていいほどにペースが落とされた。向正面から徐々にペースが上がり、最後の1000mは12.2-12.1-11.7-11.2-12.3とロングスパートではあるものの、直線入り口で一気に突き放した。

直線で追い出されたキタサンブラックは後続の追随を許さず見事優勝を果たした。ラスト1Fは12.3と少々甘くなったが、差せる位置に馬を寄せ付けなかった。

直線であわや大事故ともなりかねない騎乗があったのは残念である。不利を受けたのはシュヴァルグランとサクラアンプルールだが、あれがなければ2、3着は変わっていたかもしれないと思うと少し残念でもある。

しかし、落馬などあればキタサンブラックの祝福ムードではなくなってしまう。彼の強さは十分に伝わった。人馬ともに怪我なく完走できたことが最良の出来事だったといえるだろう。

出走馬勝因、敗因、次走への展望

1着 キタサンブラック

スタートを綺麗に決めて先頭に立った。序盤こそペースが流れたが、1周目ホームストレッチあたりから少しずつペースを落とした。1、2角では13.3-13.2-12.8と大胆に息を入れた。

向正面で少しずつペースが上がり、ラスト1000mは12.2-12.1-11.7-11.2-12.3とロングスパートの形で勝負に出た。かなりペースを落としていたにも関わらず、早い段階で動く馬がいなかったため、キタサンブラックにとっては楽な流れとなった。

直線で追い出されると後続の追随を許さず、一度も先頭を譲ることなく見事引退Vで有馬記念を優勝した。最後の坂で甘くなることが多く、今回も11.2-12.3と甘くなった印象を受けるが、そこに付け入ることのできる位置に他馬を寄せ付けなかった。

2着 クイーンズリング

内枠を活かした完璧な騎乗でこちらも引退レースで結果を残した。直線での斜行はあったものの、それを除けばさすがC. ルメール騎手といった騎乗だった。

内5番手にポジションを取ったC. ルメール騎手、道中ロスなく進めることで脚を溜めることができた。この馬にとっては完全なロングスパートになりきらなかったこと、内枠を活かしたルメール騎手の完璧な騎乗が噛み合って生まれたものだろう。

外国人騎手の大舞台での勝負根性を見せ付けられた。やはり外国人は巧いと表現したくなるエスコートだった。


3着 シュヴァルグラン

中団後ろで道中運んでいたが、3、4角で先に後ろから外を回って動いてきたスワーヴリチャードとともに進出を開始した。内から斜行したクイーンズリングと外から斜行したスワーヴリチャードに挟まれて不利を受ける場面があった。

この不利さえなければ2着まで食い込めていたことも予想でき、非常に残念な結果に終わった。やはり左回りで力を存分に発揮する1頭ではないか。キタサンブラック不在となるこれからのレース、この馬が今後どのような競馬を見せるのか期待したい。

4着 スワーヴリチャード

懸念された右回り、直線で他馬に大きな迷惑をかける形となった。

直線で右鞭を受けても内に大きくヨレてしまい、シュヴァルグランやサクラアンプルールなどに不利を与えてしまったのは良くなかった。

それでも出負けして後方からの競馬になりながら4着は立派で、ここからさらに完成度が上がれば来年の期待は計り知れない。

5着 ルージュバック

最後方で直線を迎えるも上がり最速で懸命に追い込んでの5着。枠がもう少し内になればさらに着順をあげることができた可能性もある。ルージュバックもここで引退か。

キタサンブラックの引退レースだったが、ルージュバックに騎乗した北村宏司騎手は菊花賞まで主戦としてキタサンブラックに跨っていた。彼にとっても思い入れのあるレースだったのではないか、今回騎乗のルージュバックとともに掲示板まで駆け上がってきた。

16着 サクラアンプルール

直線で不利を受けて着順を大きく落とした。穴として注目していたファンは多く、落胆の色を隠せなかった。サクラアンプルール、蛯名騎手ともに怪我なく完走できたのは不幸中の幸い。

ここでこの着順になったのは不利があったことによるもの。中山巧者の実力はまだまだ発揮されていない。今後注目してみたい1頭である。

まとめ

キタサンブラックの引退Vで幕を閉じた今年の有馬記念。キタサンブラックはやはり強かった。今後王者の引退でGIレースのペースに乱れが生じることが予想される。


これからはまた違った意味で面白い競馬が観られるだろう。

ありがとう、キタサンブラック。


シュヴァルグランの勝因、キタサンブラックやレイデオロの敗因は?ジャパンカップ2017回顧

(C) 2017 Ricky All Rights Reserved.

11月26日、東京競馬場でジャパンカップ (GI/芝2500m)が行われ、シュヴァルグラン(牡5/栗東 友道厩舎)が優勝した。逃げた1番人気キタサンブラックを直線で捉え、念願の初GIタイトルを手にした。

強豪がひしめく今年のジャパンカップ、人気馬を退けて優勝したシュヴァルグランの勝因は何だったのか、3着に沈んだキタサンブラックの敗因はどこにあるのか。

勝者、敗者をわけた“分岐点”を、振り返っていくことにしよう。


結果・着順

2017年11月26日(日) 5回東京8日 天候 : 晴  馬場状態 : 良
【11R】 第37回ジャパンカップ
3歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定) 芝 2400m 17頭立

馬名性齢
1シュヴァルグラン牡55
2レイデオロ牡32
4キタサンブラック牡51
11マカヒキ牡46
14アイダホ牡410
9レインボーライン牡48
8ソウルスターリング牝34
16ヤマカツエース牡512
3ギニョール牡59
1012サトノクラウン牡53
1113シャケトラ牡47
125サウンズオブアース牡611
1210ブームタイム牡616
1417ラストインパクト牡714
156イキートス牡513
1615ワンアンドオンリー牡615
177ディサイファ牡817

LAP 13.0-11.2-12.1-12.1-11.8-12.1-12.3-12.2-11.8-11.3-11.8-12.0
通過 36.3-48.4-60.2-72.3  上り 71.4-59.1-46.9-35.1  平均 1F:11.97 / 3F:35.92

払い戻し

単勝  1 \1330
複勝  1 \190 / 2 \140 / 4 \120
枠連  1-1 \1780 (6)
馬連  01-02 \1770 (7)
ワイド 01-02 \460 (5)/ 01-04 \350 (3)/ 02-04 \230 (1)
馬単  01-02 \5250 (19)
3連複 01-02-04 \1300 (2/680)
3連単 01-02-04 \13340 (36/4080)

レース分析

まずはレースラップをチェックしていきたい

13.0-11.2-12.1-12.1-11.8-12.1-12.3-12.2-11.8-11.3-11.8-12.0(36.3-35.1)

ポイントは2つ

・ラスト3Fが最速ラップだったこと
・前半のペースがややスローではあるものの、昨年より早いペースだったこと

全馬ほぼ揃ったスタートでジャパンカップの幕が開けられた。前走とは変わってスタートを綺麗に決めたキタサンブラックがハナに立って1角へと進んで行った。キタサンブラックがそのまま自分のペースに持ち込んだものの、前半のペースがやや早く、昨年のようなキタサンブラックの楽逃げとはならなかった。

その流れの中でのラスト3Fが最速ラップとなり、キタサンブラックには少々苦しい形となった。ギニョールの後ろ、3列目内にポジションを取り、3、4角をロスなく回ったシュヴァルグラン、スタートで挟まれてポジションを下げることになったレイデオロが直線で抜け出して脚を伸ばして行った。

この2頭が直線でキタサンブラックを捉え、そのまま後続を寄せ付けず残り100m付近でシュヴァルグランがキタサンブラックを捉えた。レイデオロはゴール前でキタサンブラックを交わし、3着で入線した。

不良馬場での開催となった天皇賞(秋)に出走せず、万全の状態でジャパンカップに臨んだ2頭での決着となった。期待された天皇賞(秋)組が馬群に沈む中、かかってこいと言わんばかりに堂々と逃げての3着、キタサンブラックは負けて強し、立派な競馬だったのではないか。

(C) 2017 Ricky All Rights Reserved.

出走馬勝因、敗因

1着 シュヴァルグラン

綺麗にゲートから出て、若干出負けしたレイデオロの進路を締める好スタートとなった。内からギニョールの後ろにポジションを取り、3列目内を回って3角、4角とスムースにレースを進めた。

直線を向くと少し外へ追い出して進出し、あとは苦しい展開となったキタサンブラックを直線で捉えるだけとなった。残り100mでキタサンブラックを抜いて先頭に立ち、悲願の初GI制覇となった。

京都大賞典を叩き台に使い、天皇賞(秋)を回避して万全の状態でこのジャパンカップに臨んだこととボウマン騎手のスムースな騎乗が噛み合ったことが大きな勝因だった。

2着 レイデオロ

スタートが良かった両脇に馬に対し、若干出負けしてしまったレイデオロは、ポジションを下げることを余儀なくされる苦しいスタートとなった。中団の内めで3角まで乗り進めるも、4角から直線に向くところで外へ出し、キタサンブラックを目掛けて進出した。


ジリジリと先頭との距離を縮め、ゴール前でキタサンブラックを交わしての2着入線となった。優勝はならなかったものの、初めての古馬との戦いとなった本レースで堂々の2着は評価に値するものだった。

3着 キタサンブラック

前走とは異なり、綺麗にスタートを決めてスムースに先頭に立った。そのまま自分の競馬に持ち込むも、昨年ほどのスローペースに持ち込むことはできなかった。

前半のペースが昨年より早かった中で、ラスト3Fが最速ラップとなる早仕掛けとなったキタサンブラックは、3列目で脚を溜めていたシュヴァルグラン、中団外めから脚を伸ばしてきたレイデオロに交わされて3着に沈んだ。

天皇賞(秋)の疲労や鞍上武豊の怪我など不安要素がいくつかある中、1番人気を背負ってスタートを迎えた。天皇賞(秋)組で馬券に絡むことができたのがキタサンブラックだけであったことから、やはり前走の疲れは計り知れないほど大きく、その状態で3着に残った力はやはり怪物級だった。

7着 ソウルスターリング

毎日王冠、天皇賞(秋)と惨敗しても4番人気に推されたのは、これまでにソウルスターリングに魅せられたファンの想いだろうか。C. デムーロ騎手を鞍上に、勝ったオークスと同じ舞台でスタートを迎えた。

スタートを決めるも折り合いの不安からか中団にポジションを取った。道中少し掛かり気味で3-4角へ。直線を向いてシュヴァルグランの直後に進路を取って進出するも直線で手応えなく、前と離されて7着となった。

好位に付けたかったが折り合いに問題があり、前に壁を作るためにポジションを下げた。それでも力んでしまい、直線では脚が残っていなかった。

10着 サトノクラウン

M. デムーロ騎手の成績を考慮してか、道悪ではないものの3番人気に推された。外めの枠からスタートし、後方外めにポジションを取った。

3-4角で外からジリジリ押し上げて行き、外から直線伸びて行くと思われたが手応えがなく前と離される。M. デムーロ騎手も無理することはなく10着入線となった。実力を十二分に発揮できる条件が狭い印象が強まる結果となった。


なぜシュヴァルグランはジャパンカップで勝てたのか?GI初制覇の4つの理由

(C)はねひろ

今年最後の大レース、直線の叩き合いに府中が揺れた。

2017年11月26日、東京競馬場でジャパンカップ(GI/芝2400m)が行われ、シュヴァルグランがキタサンブラックやレイデオロとの叩き合いを制し、GI初制覇を成し遂げた。

今までなかなか大レースで結果を出すことのできなかった馬が、なぜジャパンカップという大舞台で好走できたのか? その理由を探っていこう。


好走への3つのカギ

まずは好走への3つのカギ、すべてが揃ったことが大きかった。レース前に挙げていたポイントは3つ。一つ一つ、見ていくことにしよう。

ポイント① レース質はどうなる?

シュヴァルグランは中距離馬というよりステイヤーだ。阪神大賞典を勝ち、天皇賞春で2着。また、スタミナの問われるアルゼンチン共和国杯も勝っている。

ジャパンカップとアルゼンチン共和国杯は100mしか違わないが、コース形態上、2500mのほうが遥かにスタミナが求められるようになっている。よって、ジャパンカップは得意条件からズレるのだ。

よって、シュヴァルグランにとって有利な展開……例えばハイペースでスタミナが問われる展開になることが“必須条件”といえる。

今回はキタサンブラックが逃げ、淀みのないペースを作った。ペースが流れて瞬発力勝負にならなかったことが、大きな勝因の一つだったわけだ。

ポイント② 馬場状態

次に馬場状態もカギになる。ある程度スタミナの問われるような馬場状態になったほうが好都合なのだ。

これに関しては、シュヴァルグランに追い風になっている。

ジャパンカップは東京の最終週に行われる。ただでさえ、馬場が良くないことが多いことに加え、今年は雨が続いて不良馬場の中で開催が行われていた。馬場が痛み、スタミナが問われる状態になる可能性は十分にある。

東京は良馬場開催だったが、パンパンの良馬場ではなく、タフなコンディションだった。スタミナ自慢のシュヴァルグランにとって、好都合だったわけだ。

ポイント③ 位置取りが命運を左右する

そしてもう一つカギになるのが、位置取りだ。シュヴァルグランはスタートが上手ではないため、どうしても位置取りが後ろになってしまう傾向にある。しかし、後方から全馬を差し切るような瞬発力は持っていない。

むしろ、好位置につけて持ち前のスタミナを生かして粘り切るような競馬のほうが合っている。

今年の天皇賞春や、昨年のアルゼンチン共和国杯がそうだった。直線の入り口では5番手以内につけ、上がりを3〜5位でまとめてフィニッシュ、という競馬がいいわけだ。

今回は内枠をいかし、前に出して好位置で競馬ができた。ボウマン騎手のエスコートは完璧、120点の騎乗だったと言っていいだろう。

この3つのカギが揃ったからこそ、GIという扉をこじ開けることができたのだ。

さすがのハーツクライ!脅威の成長力

そしてもう一つ。血統的な要因を挙げずにはいられない。

シュヴァルグランの父ハーツクライは、4歳の有馬記念で当時無敗だったディープインパクトを破ってGI初制覇を果たした。その後、ドバイシーマクラシックを楽勝。日本馬にとって最も難しい大レースの一つであるキングジョージでは3着に敗れたものの、当時欧州最強だったハリケーンラン、エレクトロキューショニストと真っ向勝負を演じた。


血統的に、古馬になってから驚異的な力をつける傾向にあるのだ。

それは、産駒を見ても同じ。代表産駒のジャスタウェイは、4歳の秋に天皇賞秋を制し、そこから世界最強馬に駆け上がった。そしてウインバリアシオン、カレンミロティック、アドマイヤラクティら、古馬GIで活躍する馬は多い。

要するに、ハーツクライ産駒の成長力がビッグタイトルの獲得につながったわけだ。

まとめ

悲願の栄冠を手にしたシュヴァルグラン。次なる戦いの舞台はどこになるのだろうか? 年末の有馬記念でキタサンブラックと再戦か。あるいはより大きな舞台を見据えて来年へ備えるのか。今後も目が離せない。


(C)はねひろ

6月25日、阪神競馬場で春競馬の“総決算”宝塚記念(GI/芝内回り2200m)が行われ、サトノクラウン(牡5)が優勝した。圧倒的一番人気に支持されたキタサンブラックは、まさかの9着に敗れた。

勝者、敗者をわけた“分岐点”はどこにあったのだろうか? 振り返っていくことにしよう。


結果・着順

2017年 6月25日(日) 3回阪神8日 天候 : 曇  馬場状態 : 稍重
【11R】 第58回宝塚記念
3歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定) 芝・内 2200m 11頭立

馬名S性齢
11サトノクラウン牡53
2ゴールドアクター牡65
8ミッキークイーン牝54
6シャケトラ牡42
7レインボーライン牡47
1ミッキーロケット牡48
3スピリッツミノル牡59
5シュヴァルグラン牡56
10キタサンブラック牡51
104クラリティシチー牡611
119ヒットザターゲット牡910

LAP 12.5-11.1-11.6-13.1-12.3-11.7-11.6-11.8-11.7-11.8-12.2
通過 35.2-48.3-60.6-72.3  上り 70.8-59.1-47.5-35.7  平均 1F:11.95 / 3F:35.84

払い戻し

単勝  11 \900
複勝  11 \480 / 2 \550 / 8 \450
枠連  2-8 \710 (5)
馬連  02-11 \5250 (17)
ワイド 02-11 \1500 (18)/ 08-11 \1170 (13)/ 02-08 \1060 (12)
馬単  11-02 \10330 (30)
3連複 02-08-11 \10670 (29/165)
3連単 11-02-08 \70420 (160/990)

レース分析

まずはレースラップを見てみよう。

12.5-11.1-11.6-13.1-12.3-11.7-11.6-11.8-11.7-11.8-12.2

ポイントは2つ。

・4、5ハロン目に極端に緩んだこと
・以降はずっと11秒台を刻んだこと

予想に反してシュヴァルグランが逃げることになったが、スタートから2、3ハロン目はそこそこ流れた。しかし、4、5ハロン目で極端に緩んだことで、ここでかかるか、脚を溜められるかが一つの分岐点となった。

例えばキタサンブラックはこの区間でリラックスして走ることができなかった結果、直線では後退する一方になってしまった。

しかも6ハロン目からは11秒台と、休む期間がなくなってしまった。「息を入れられるときに入れられた馬」、要するに後ろで待機していて自分のペースで走ることができた馬が好走するようなレースになったわけだ。

先行勢が全滅したように、前に行った馬にとっては極めて厳しい展開となった。

サトノクラウン、ゴールドアクター、そしてミッキークイーンはいずれも最後の直線まで後方に待機していた。一方、キタサンブラック、シュヴァルグラン、そしてシャケトラの先行勢は馬券圏外に落ちてしまった。

このラップに対応できたかどうかが、一つの大きな“分岐点”となったわけだ。

出走馬勝因、敗因、次走への展望

1着 サトノクラウン

気難しい馬で、走らないときは掲示板にも載れないわけだが、ハマったときの爆発力がGI級であることをここで証明することになった。

勝因を挙げるとするなら

・馬場
・展開
・ミルコ・デムーロ騎手の手腕

だろうか。まず重馬場はサトノクラウン、そしてデムーロ騎手が最も得意とする条件だ。この条件で彼ら以上のコンビを見つけることは難しい。


さらに展開の後押しもあった。通常の宝塚記念は逃げ、先行馬の粘り込みが好走のパターンだが、今回は馬場が特殊だったこともあり、例年のような形にならなかった。後ろで待機しても勝負になるような展開になったことが優勝を後押ししたわけだ。

そして目を見張るのはデムーロ騎手の手腕だろう。向こう正面でデムーロ騎手は一度サトノクラウンを前へ促し、先行勢にプレッシャーをかけにいった。これでキタサンブラックら、先行勢は息を入れられなくなってしまった。

しかし、当の本人はペースが速くなると、再び後方に下がって機会をうかがった。結果、十分に脚をためることができ、直線の爆発につながったわけだ。

2着 ゴールドアクター

“終わっていないこと”を証明する2着となった。

展開、そして馬場が向いたのはサトノクラウンと同様。馬場の悪い内側を突いた点は、ゴールドアクターの重馬場適性やパワーに相当の自信を持っていたことの証明だろう。

そして有馬記念や宝塚記念のようなトリッキーな条件が得意なことも証明する形となった。今後は特殊な条件で評価を挙げ、東京や京都のようなコースでは評価を下げる必要がありそうだ。

3着 ミッキークイーン

宝塚記念といえば牝馬の台頭――。

期待に違わぬ走りを見せた。マイナスファクターに合致せず、競馬TIMES編集部でも「オススメの1頭」に挙げたように、好走する条件が揃っていたのだから。

3着止まりだったのは上位2頭が強かったこと、そして血統的な面が大きかっただろうか。

ミッキークイーンは“ズブいディープインパクト産駒”ではあるものの、血統的なタフさでは上位2頭に劣っていた。さすがにマルジューやスクリーンヒーロー(ロベルト系)に、ディープ産駒はタフさでかなわない。


今後もディープインパクト産駒が苦手なようなタフな条件で台頭してくる可能性はありそうだ。一見、瞬発力があるように見えるが、実はそれほどでもない。

よって、瞬発力が求められるジャパンカップより、持続力が求められるエリザベス女王杯のほうが向いている、と言えそうだ。

4着 シャケトラ

マンハッタンカフェ産駒は抜群のコース成績を誇っていただけに、台頭があるかと思われた。

しかし、先行勢に厳しいペースとGI級の底力が求められるレースとなり、最後の最後で失速してしまった。

もっとも、キタサンブラックやシュヴァルグランが沈んだ展開で先行しながら4着に粘ったのは立派だった。まだまだキャリアが浅く、成長が期待できる。

5着 レインボーライン

ステイゴールド産駒が得意な舞台でペースが向いたが、5着まで。コーナーで外を回した影響が多少なりともあったと考えられる。

ただし、マイナス要素よりプラスファクターのほうが多かっただけに、現状力負けと言えるかもしれない。

6着 ミッキーロケット

直線、ジリジリ伸びてきたものの、弾けるまではいかず。直線、窮屈になる場面があったとはいえ、この展開だったことを考慮すると、上位とは力の差があったと考えてしかるべきだろう。

7着 スピリッツミノル

ゴールドアクターの前にポジションを取り、内を突く選択をしたが直線では伸びなかった。力負け。

8着 シュヴァルグラン

意表を突く逃げを打ったが、3コーナーで手応えが怪しくなり、4コーナーでは馬群に飲み込まれた。初の逃げで戸惑ったこと、一気に距離短縮となったことでペースに戸惑ったことなど、敗因は複数考えられる。

もっとも、天皇書春上位組のキタサンブラックが同じように沈んだことを考慮すると、レコード決着だったレースの“見えない反動”があったとも考えられる。

よりスタミナのいる条件で見直しだろう。最低でも2400mはほしいところ。

9着 キタサンブラック

もともと合う条件ではなかったことに加え、チグハグな競馬になってしまった。詳細は個別の検証記事にて。

10着 クラリティシチー

展開向かず、馬場の悪いところを通った。現状、力負けだろう。

11着 ヒットザターゲット

残念ながら全盛期の力はもうない。



現役最強馬の座を争う3頭のデッドヒートに、淀が揺れた。

4月30日に京都競馬場で行われた天皇賞春(GI/芝外回り3200m)で、1番人気のブラックタイド産駒キタサンブラック(牡5)が、3番人気シュヴァルグラン(牡5)、2番人気のサトノダイヤモンド(牡4)を押さえて勝利した。

勝ち馬の勝因、敗れた馬たちの敗因は何だったのか? 振り返っていくことにしよう。


レース映像・動画

映像はこちらから(※JRA公式サイト→レース結果のページでご覧いただけます)

結果・着順

2017年 4月30日(日) 3回京都4日 天候 : 晴  馬場状態 : 良
【11R】 第155回天皇賞(春)
4歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定) 芝・外 3200m 17頭立

馬名S性齢
3キタサンブラック牡51
6シュヴァルグラン牡54
15サトノダイヤモンド牡42
10アドマイヤデウス牡610
7アルバート牡66
9ディーマジェスティ牡48
12ゴールドアクター牡65
13トーセンバジル牡59
1シャケトラ牡43
105ファタモルガーナセ915
1114ワンアンドオンリー牡611
1216レインボーライン牡47
138タマモベストプレイ牡714
144スピリッツミノル牡516
1517ヤマカツライデン牡512
1611プロレタリアト牝617
172ラブラドライトセ813

LAP 12.9-11.5-11.2-11.3-11.4-11.6-11.6-13.0-12.5-12.7-12.6-12.5-12.2-11.6-11.7-12.2
通過 35.6-46.9-58.3-69.9
上り 72.8-60.2-47.7-35.5
平均 1F:12.03 / 3F:36.09

レース分析

黒光りする馬体がゴール板を通過したとき、掲示板には「3.12.5」という数字が映し出された。

ディープインパクトが持っていた記録を大幅に更新するレコード決着となった。まさに最高の死闘、最高のマッチレースと表現していいレースだっただろう。

逃げ宣言をしていたヤマカツライデンがハナを切り、2番手にキタサンブラックがつけるという戦前の予想通りの展開となった。シュヴァルグランとシャケトラが並ぶように続き、サトノダイヤモンドは中段につけて最初のコーナーを曲がった。

向こう正面に差し掛かると、徐々にキタサンブラックがヤマカツライデンに迫っていく。ライバルを射程圏に捉えたいシュヴァルグランらも追走し、サトノダイヤモンドもポジションを徐々に上げていった。

3、4コーナーに差し掛かった頃にはキタサンブラックがヤマカツライデンを捉え、先頭に立つ。直線の入り口ではキタサンブラック、シュヴァルグラン、そしてサトノダイヤモンドの3頭が並び、力と力の叩き合いとなった。

キタサンブラックは二枚腰で伸び、シュヴァルグラン、粘るアドマイヤデウス、そしてサトノダイヤモンドが追いすがる。それでも後続を寄せ付けなかったキタサンブラックが、先頭を譲ることなく淀の歓声を自分のものにした。

12.9-11.5-11.2-11.3-11.4-11.6-11.6-13.0-12.5-12.7-12.6-12.5-12.2-11.6-11.7-12.2

ヤマカツライデンが引っ張ったとはいえ、キタサンブラックにとっても決して楽なペースではなかったはずだ。特に武豊騎手がレース後「追いかけに行ってしまった」と話したように、向こう正面では徐々に前へ進出していった。キタサンブラックにとって、簡単なレースではなかったわけだ。

むしろ位置取りとしてはシュヴァルグランやシャケトラのほうがよかったし、距離ロスがあったこと以外はサトノダイヤモンドのレース運びも盤石だった。

要するに、厳しいペースになったため、本当の底力が問われるレースになったわけだ。上位に入線した馬たちは、本当に強い馬だった、という結論を出していいだろう。

出走馬勝因、敗因、次走への展望

1着 キタサンブラック

向こう正面で緩まない程度にペースを落ち着かせ、ライバルに脚を使わせつつ押し切る、というのがキタサンブラックの勝ちパターンだ。しかし、今回は脚をためきれなかったように見えた。

それでも直線で力尽きることなく、後続を押さえてしまうのだから恐れ入る。

本当に強い馬の前では理屈など超えて「すごかった」という言葉しか出てこないものだ。今回のキタサンブラックはまさに「すごかった」というほかない。


キタサンブラックの血統や次走は?歴史的名馬は凱旋門賞へ向かうのか?

2着 シュヴァルグラン

最高の条件、最高の枠順、最高の展開だった。

ハーツクライ産駒は成長力が魅力だ。この馬も例に漏れず、今までに増して力をつけてきた。今回はいい枠順を引けたし、キタサンブラックを見る形でレースが進められた。

しかし、それでもキタサンブラックには届かなかった。レース後、鞍上の福永祐一騎手が「思い通りのレースができた」と語ったように、ケチのつけることのない完璧なレースだった。

それだけに、キタサンブラックの強さを褒める他ない。

3着 サトノダイヤモンド

池江泰寿調教師が「相手の方が3つも4つも5つも上」と話したように、どこまでも届かない差があったようにすら感じられた。

もっとも、このレベルになるとほんの少しの差が勝負を分けてしまう。外枠で多少なりともロスがあったことも影響したはずだ。

もう勝ち馬が3頭いればいいのに……とすら感じられたレースだっただけに、今はただただ無事とさらなる飛躍を期待したい。

4着 アドマイヤデウス

特筆すべきは岩田康誠騎手の騎乗ぶりだろう。好スタートからポジションを取ると、あとはなるべく内へ内へ入るように馬を導いた。結果、3、4コーナーではラチ沿い2頭目を、1、2コーナーではラチ沿いに入り、距離ロスを防いだ。

最後、現役最強馬クラスの3頭に競り負けてしまったが、120点のレースだった。馬券を勝ったファンは悔しがりつつ「これで負けたら仕方ない」と思えるレースだったのではないだろうか。さすが岩田騎手、といったところ。


アドマイヤドン産駒、もしくはミスプロ系全体に言えることだが、どうしても3000m以上の底力勝負になると勝てない。キングカメハメハ産駒(キングマンボ系=ミスプロ系)が長距離レースを苦手としていることでも分かるだろう。

あまり得意な条件ではないだけに、大健闘の4着だった。

5着 アルバート

同じくアドマイヤドン産駒のアルバートは中段から我慢の競馬をした。スムーズな競馬ではあったが、なかなか内に入れられず、アドマイヤデウスと比較しても距離をロスしていた感は否めない。

また、なかなか反応が鈍いタイプのため、4コーナーの仕掛け時に置いていかれてしまった。

もっとも、内をつけるような器用なタイプではないし、血統的な欠点もあったため、こちらも力を出し切っての5着だったといえるだろう。

6着 ディーマジェスティ

スタートで出負けしてポジションを悪くし、内に入れずに終始大外を回して距離をロス……というチグハグな競馬になってしまった。直線の入り口では伸びてきたため、一瞬「おっ」と思わせたが、残り200m付近で他の馬たちと脚色が同じになってしまった。

もっとも、あれだけ距離をロスしていて伸びてきたらそれこそ怪物級であるため、このレースぶりで止まるのは仕方なかった。むしろ健闘の6着といえるのではないだろうか。

セントライト記念以降、歯がゆい結果が続いているが、これは血統的な側面が大きそうだ。ディープインパクト産駒×ロベルト系の組み合わせはどうしても中央よりローカル的な条件を得意としている。タフな馬場、コーナー4回などの条件で巻き返しが期待される。

7着 ゴールドアクター

横山典弘騎手が「スタートで終わってしまった」と語ったように、残念なレースになってしまった。本来は先行してアドマイヤデウスのような競馬がしたかったはず。ずっと先行してきた馬が二桁番手につける時点で勝負にならなかった。

ノーカウントと捉えてOKだろう。

8着 トーセンバジル

枠順と脚質の問題でどうしてもロスの多い競馬になってしまった。4コーナーでは一瞬内をつこうとしたように見えたが、スペースがなくて諦めて……といった競馬だった。今回は相手が強かったし、キャラクターとしても「最後の直線で脚は使うけど、それまでのロスが……」というタイプのため、これ以上はどうしようもなかったか。

9着 シャケトラ

スタート、やや出負けしたが、盛り返して好位置を取った。ただ、終始田辺裕信騎手と喧嘩し、行きたがってしまった。2週目の3、4コーナーではほとんど手応えなく、3強の叩き合いを後方で眺めていた。

1枠1番という最高の枠を引いたこともあって人気になっていたが、さすがに初のGIでは荷が重すぎた。

10着 ファタモルガーナ

枠順を利して一発を狙ったが、厳しかった。さすがに力が足りなかったし、高速馬場も向かなかった。

11着 ワンアンドオンリー

3番手につける積極的な競馬だったが、最後のコーナーでは手応えがなく、後退していった。

ワンアンドオンリーに関しては以下の記事で書いたが、3歳時の消耗がすべて。今後も厳しいだろう。

ダービー馬ワンアンドオンリーは古馬GIで勝てない?宝塚記念惨敗の真相を暴く

12着 レインボーライン

出遅れで最後方に待機し、一発を狙ったが、前の3頭が強すぎた。最内をつけば幾分か着順を上げられただろうが、スペースがなく厳しかった。

13着 タマモベストプレイ

力負け。

14着 スピリッツミノル

力負け。

15着 ヤマカツライデン

レコードタイムを演出する良い逃げをうってくれた。積極的なレース運び、名勝負の演出という意味で、感謝したい。

16着 プロレタリアト

力負け。

17着 ラブラドライト

力負け。


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