あの人気馬には、致命的な欠点がある――。
そんなことが事前に分かっていたら、あなたはその馬を買うだろうか?
今週は京都競馬場で牝馬クラシック最終戦の秋華賞(GI/芝内回り2000m)が行われる。
今回、危険な人気馬になる可能性があるのが、リスグラシューだ。
なぜこの馬が凡走する可能性が十分にあると言えるのか? その背景を、探っていくことにしよう。
目次
秋華賞で追い込み馬は?
まずは脚質の問題が挙げられる。
リスグラシューは言わずと知れた追い込み馬だ。しかし、小回りコースの秋華賞は、追い込み馬が不利を受ける可能性が高い。
実際、追い込み馬がいい成績を残せていないことはすでに検証したとおりだ。
◉秋華賞2017の予想データ分析…5つの消しで好走率4割、回収率210超
当日、武豊騎手が魔法を使ってこの馬を先行させるなら結果は変わってくるかもしれない。しかし、スタートと出足が良くないことを考慮すると、先行策は難しいのではないか。
勝ちきれない性質
そもそもリスグラシュー自身、勝ちきれない傾向にある。どんなレースでも上位に来るだけの力がある反面、勝ちきれない体質、脚質なのだ。
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日付 レース名 着 人
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2017.9.17 ローズSG2 3 3
2017.5.21 優駿牝馬G1 5 3
2017.4.9 桜花賞G1 2 3
2017.3.4 チューリG3 3 2
2016.12.11 阪神ジュG1 2 2
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いつもあと一歩のところまでは来るが、その一歩が遠い。そういう馬が、小回りコースの秋華賞で勝ち切るイメージはあまり沸かないのではないだろうか?
ハーツクライ産駒のクラシック成績は?
さらに血統的な不安要素もある。
ハーツクライの産駒は晩成型で、スタミナが問われるレースに強い傾向にある。
よって、基本的にはクラシックより古馬になってからのほうが安定して走る。
実際、クラシックにおける成績は(2−6−2−34)。2勝を挙げているものの、全体的な数値としては決して高いものではない。
なお、2勝はいずれも府中の芝2400mで行われる日本ダービーとオークスだった。3歳馬にとって、春に行われる2400mのレースは古馬でいう3000m級のスタミナが問われる厳しい条件だ。
ハーツクライ産駒が台頭できたのは……
・スタミナが要求される舞台
かつ
・他の血統の馬たちのスタミナが着ききっていない時期
この2つが理由だったと考えられる。
秋華賞は距離が2000m。舞台は京都。オークスよりスタミナは求められないし、他の血統の馬と比べてアドバンテージを得られる舞台設定でもない。そうなると、苦しい戦いを強いられることは必至なのだ。
ハーツクライ産駒のGI実績は…
そもそもハーツクライ産駒は、国内では東京の芝GIしか勝った経験がない。
京都におけるGIの成績を振り返ってみると……
(0−9−2−25)
なんと2着が9回もあるにもかかわらず、一度も勝てていないのだ。
京都の軽い芝では、どうしても素軽い血統に勝ちきられてしまう――。
そういった問題が現実として降り掛かってくるのである。
まとめ
いかがだっただろうか? ハーツクライ産駒のリスグラシューには、数々の不安要素があることが分かった。
人気薄なら「プラス要素を重んじて買う」という選択肢もあるだろうが、この馬は人気に支持されることが確実である。
それでもあなたは、リスグラシューを買いますか?