2018年4月15日、中山競馬場で皐月賞(GI/芝2000m)が行われる。ワグネリアン、ステルヴィオ、タイムフライヤー、ジャンダルム、キタノコマンドールらが出走するが、どんなレースが展開されるのか? 台頭する可能性を秘めた伏兵とは?
前哨戦である弥生賞を圧倒的な強さで制したダノンプレミアムが優勝候補筆頭と見られていた。しかし、調整がうまくいかずに無念の回避が決定した。2018年の牡馬クラシック路線は大本命が姿を消し、一気に混沌と化している。元々皐月賞は昨年の勝ち馬アルアイン(9番人気)に代表されるように人気薄の好走が目立つ紛れの多いレースだ。
今回は、東京競馬場で代替開催となった2011年を含めた過去10年のデータを基に、オウケンブルースリ産駒オウケンムーンの2018年皐月賞における期待値を探ってみよう。
目次
好走へのカギ① 前走共同通信杯組
近年の勝利・好走で皐月賞の最重要レースに挙げられるのが共同通信杯だ。
2016年 皐月賞1着 ディーマジェスティ(8番人気)
2015年 皐月賞1着 ドゥラメンテ(3番人気)
2014年 皐月賞1着 イスラボニータ(2番人気)
2012年 皐月賞1着 ゴールドシップ(4番人気)
2011年 皐月賞3着 ダノンバラード(8番人気)
2009年 皐月賞3着 フサイチホウオー(2番人気)
上記は、前走共同通信杯を使われ、次走皐月賞でも馬券圏内に好走した馬の一覧である。勝率と連対率に関しては、脅威の40%を超える結果を残している。
皐月賞といえば、弥生賞、スプリングステークス、若葉ステークスの3つのトライアル戦が組まれている。
前走弥生賞、スプリングS組は、過去10年で5勝を挙げているものの、出走頭数自体が多く、共に勝率は5%前後に落ち着いている。
やはり近年のレース傾向を考慮すると共同通信杯組を軽視する訳にはいかなく、2018年共同通信杯の覇者オウケンムーンの期待値は高いと理解できるだろう。
好走へのカギ② 中山競馬場
先週、牝馬クラシック第一弾「桜花賞」が行われた阪神・外回り1600mとは全く異なるコース形態となる皐月賞の舞台・中山2000m(内回り)。
コース最低部のスタンド前付近からのスタートとなり、直後にある急勾配の坂を超え、4つのコーナーを回り終えてから、なお最後の直線で再び上り坂を駆け上る大変タフなコースだ。しかし2014年の路盤改修工事後は、パワーだけではなく速さも必要になってきた。
そんな近年のコース形態に当てはまるのが、先行力を活かしながら持続的な速い脚を繰り出すオウケンムーンなのではないだろうか。
1戦目、新潟1800m「新馬」→3F上がり「33.4」
2戦目、新潟2000m「未勝利戦」→3F上がり「35.3」
3戦目、中山2000m「500万下」→3F上がり「35.2」
4戦目、東京1800m「共同通信杯」→3F上がり「33.5」
2戦目、3戦目は35秒台ではあるものの、時計の掛かる状態で、実際オウケンムーンがメンバー中最速の上がりを繰り出している。
競馬の格言「皐月賞は最も速い馬」が勝つとあるが、オウケンムーンに関しては、速い上がりを使える下地が整っていると言える。
好走へのカギ③ 先行力
そして、過去10年の勝ち馬すべてに共通していえるのが、4コーナー通過順位5番手以内の競馬を皐月賞以前に最低でも1回は経験していることである。
つまり、最低限の先行力を持ち合わせていないと、同レースにおいては参考外ともいえるレースなのである。
無論、オウケンムーンに関しては、2戦目から前走まで4コーナー5番手以内で競馬を進めている。(初戦となる新馬戦は出遅れによって後方の競馬となった)
関係者もオウケンムーンのレース巧者ぶりを高く評価しており、前走共同通信杯組で、速い上がりを繰り出しながら、道中5番手で競馬を進めた先行力を兼ね備えている。
まとめ
上記をご覧いただければ分かるように、近年の好走パターンにガッチリと合致するのが、今回ご紹介したオウケンムーンだ。
牡馬クラシック大本命と目されていたダノンプレミアムが突如回避となり、どの陣営にもチャンスが芽生えている2018年皐月賞。今年は固い決着で収まるのか、それとも昨年同様にアッと驚く人気薄決着となるのか、などなど様々な注目ポイントが目白押しだ。