2019年3月31日、阪神競馬場で大阪杯(GⅠ/芝2000m)が行われる。
キセキは一昨年の菊花賞を勝ち、昨秋に天皇賞3着、ジャパンC2着と、古馬中長距離路線の中心的存在。今回も当然、有力の1頭になる。昨秋からは逃げる競馬で結果を出しており、展開のカギを握る馬でもある。
とはいえ、善戦はするものの勝ち切れていない現状。菊花賞以来の勝利をGⅠ制覇で飾ることができるのか。そのポイントを探っていく。
目次
ポイント① 昨秋の激戦の影響は?
昨秋は毎日王冠3着、天皇賞3着、ジャパンC2着、有馬記念5着と、3か月間で一線級を相手に4戦を消化した。特にジャパンCでは、逃げて世界レコードを演出。その反動があったのか、続く有馬記念でも同じように逃げたが、パフォーマンスのレベルを落とした。
3歳秋は、超不良馬場の菊花賞を制した後、香港ヴァーズに出走(9着)。そのダメージがなかなか回復せずに4歳春まで影響した。1番人気に支持された復帰戦の日経賞で9着と大敗し、調子が上がらないことを理由に天皇賞(春)を自重。間隔を空けて宝塚記念に出走したが、2番人気で8着と本来の良さを見せられなかった。
秋に古馬の王道GⅠ3戦を全力で戦うのは厳しいと言われる時代にあって、昨秋に高いレベルで状態を維持しながら3戦全てで上位争いを演じたというのは、かなりの消耗があったはず。その後、休養を挟んでリフレッシュしたが、3歳秋~4歳春の過程を振り返っても、やはりどこまで状態が回復しているかがカギになるだろう。
ポイント② 春は不振だが……
菊花賞1着、ジャパンC2着、天皇賞(秋)3着など、結果を出しているのは夏~秋。時期別の成績を見ると、夏~秋のGⅠシーズン(7~12月)にかけては【4・2・2・2】なのに対して、それ以外の時期(1~6月)は【0・0・3・3】と、明らかに成績が良くない。一昨年は年明けからセントポーリア賞5着、すみれS3着と2戦連続で1番人気を裏切り、昨年も日経賞で9着、宝塚記念で8着と結果が出なかった。秋は季節が合っているのだろうが、それ以外の時期は信頼度が下がる。
昨秋は好調教を連発し、追い切りからも調子の良さを感じさせていただけに、当時のような状態に戻っているかというポイントと併せ、いい時と比べて量と質の両面で遜色ない追い切りができているかをよくチェックしておいた方がいいだろう。
ポイント③ 阪神内回りの適性は?
ストライドの大きな走りをするため、伸び伸びと走れる東京や京都外回りのような広いコースの方が好成績を挙げている。主要4場の中では小回りの中山では日経賞9着、有馬記念5着。道中でやや窮屈そうに走っているように見える部分があり、ともに直線で粘りを欠いた。阪神の成績を見ても、外回りでは新馬1着、毎日杯3着、神戸新聞杯2着と安定しているが、内回りではすみれS3着、宝塚記念8着と、明らかに良くない。
今回は阪神内回りが舞台。単に逃げ馬ということを考えれば有利な舞台だが、キセキにとってコーナー4回の2000mというコース設定が向いているとは言えない。馬の特性を手の内に入れているであろう川田将雅騎手がどのような騎乗をするかもポイントになりそうだ。
まとめ
現役最強と言われるアーモンドアイこそ不在だが、今回はGⅠ馬8頭が顔を揃える豪華メンバーとなる見込み。どの馬にとっても、実力を示すには絶好の舞台と言える。強い競馬を見せながらも白星から1年半以上見放されているキセキは、久々に美酒を味わうことができるのか。