2018年12月9日、阪神競馬場で阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ/芝1600m)が行われる。
阪神外回りで施行されるようになった2006年以降は、ウオッカ、ブエナビスタ、アパパネ、メジャーエンブレムといった名牝が制した2歳女王決定戦。今年は重賞勝ち馬の2頭が人気を二分しそうだ。
そのうちの1頭であるシェーングランツは、2016年の2歳女王で翌年のオークスも制したソウルスターリング(父フランケル)の半妹。デビュー戦こそ5着に敗れたが、2戦目の未勝利戦を5馬身差で圧勝すると、続くアルテミスSでは大外から豪快に差し切って重賞初制覇を決めた。
血統背景、藤沢和雄厩舎、武豊騎手と人気になる要素が多く、過剰人気になる可能性もあるだけに、しっかりと精査しておきたいところ。ここでは3つの不安材料を掘り下げていく。
目次
不安① 2戦連続の馬体減
デビューから2戦目がマイナス2kg、3戦目でさらにマイナス6kgと、馬体重が減り続けている。2戦目と3戦目の間に約2か月半の間隔を空けてリフレッシュさせているだけに、使い減りしているということはないだろうが、いずれにせよ気になるところだ。
その影響もあってか、この中間の調教は軽めに終始している。1週前と当週はともに、負荷が比較的軽いポリトラックコースで追い切られた。この時期に強い負荷をかけることは少ない藤沢和雄厩舎とはいえ、GⅠに臨む過程としてはやや物足りなさを感じざるを得ず、前走の反動や仕上がり具合に不安が残る。
ましてや今回は、初の長距離輸送をクリアできるかも大きなポイントになる。さらに馬体重が減っているようなら、疑ってかかった方がいいかも知れない。
不安② 完成はまだまだ先か
前走は出負け気味のスタートで、行き脚も付かず、後方からの競馬に。さらに勝負どころでも反応が良くなく、位置取りを悪くした。それでも、エンジンがかかってからの脚には凄まじかったし、そんな粗削りなレースぶりで重賞を勝ったのだから、素質の高さは一級品だろう。
とはいえ、この時期で既に優等生の競馬をしていた姉と比べると、完成度という面では遠く及ばない印象。まだ随所に幼い面を見せており、完成には時間がかかりそうで、長い目で見た方がいいかも知れない。
不安③ 先行有利の高速馬場で届くか
阪神競馬は先週開幕し、芝は絶好の状態。先週は内めを通った先行馬が活躍し、速い時計も出ていた。
シェーングランツの3戦はいずれも後方からの競馬。相手関係も強力になるだけに、これまでと同じ競馬では厳しそう。過去10年の阪神JFを見ても、前走で10番手以下の競馬をしていた馬は【0・4・0・29】と苦戦している。
まとめ
2008年ブエナビスタ、11年ジョワドヴィーヴル以来となる、同一GⅠ姉妹制覇の偉業が懸かるシェーングランツ。条件は決して楽とは言えない中で、来年のクラシックに向けてどんな走りを見せるか。